諌早湾・干拓事業 公式資料集

* 開設97/10/14


 半年もたつとどんな事件も次の事件にその席を譲り、マスコミから忘れ去られていきます。しかし、関心を持つ人がいなくなったのでもなければ、新しく関心を抱く人がいないわけでもありません。

 政府や自治体の正式見解やそれへの批判・データー等々の資料的価値のあるものを収録して、自分の力で問題を理解しようとする人の役に立てたいと思い、このホームページを作成します。ご覧になる方には「地元の要望」の本当の姿が見え てくると思います。

(1997/10/14 記)


動き---諌早湾干拓事業・最新情報(1999年分)


 

1999/12/8 有明海水質調査実施へ
 12/8 の長崎県議会の答弁で明らかになったことですが、佐賀有明海の潮流と水質の調査が来年1月から実施されることになりました。
・背景:タイラギの休漁、アサリの死滅、赤潮の発生などが閉め切りの影響と疑われている。
・要望者:佐賀、福岡、熊本の三県有明海魚連
・実施者:九州農政局
・調査者:北部九州土地改良調査事務所
・調査目的:有明海の現状把握の基礎資料
・調査内容:潮の流向・流速、水質、プランクトン、底質のほか水温・塩分
・調査期間:2000年1月中旬〜2001年3月頃まで
・調査地点:有明海の佐賀、福岡、熊本各県の沿岸
  潮流調査9地点、水質調査11地点、プランクトン調査11地点

 本事業実施の前の1985年に九州農政局が3県漁連と水産業への影響を調べる調査を行う確認書が交わされています。これが行われていないとして調査の実施を閉め切り直後の1997年6月から3県漁連が何度も九州農政局に申し入れてました。農水省との約束はすぐには実行されないようで、2年半かかってやっと実施されることになりました。この調査は2001年の事業再評価の資料となると思われます。

1999/12/3 国営農地開発事業は平成15年度の完了。国営干拓事業は?
 総理府地方分権推進委員会は、直轄事業(国営事業)の見直しを検討して「山林原野の農地への開発を主な目的とする事業について、完了時期の明確化等を図る。」と勧告した(第五次勧告 平成10年11月19日)。これを受けて閣議決定された第2次地方分権推進計画(平成11年3月26日)の中で、農水省は現在の「国営農地開発事業」は平成15年度の完了させると表明した。干拓も農地造成のための事業であることから、第五次勧告の趣旨から言えば干拓も勧告に含まれと考えるのが妥当だと思われるので、関係省庁に問い合わせを行いました。
 農水省は問い合わせに「国営農地開発事業」に干拓事業は含まないとの答でした。
 分権委事務局に問い合わせたところ「山林原野の農地への開発を主な目的とする事業」に干拓が含まれないとの話はヒヤリング時に農水省からはなかったということでした。
 「国営諌早湾干拓事業」も2003年(平成15年)に中央干拓地の一部が農地として供用開始となります。諌早湾干拓事業は2003年に向けて大きく動き始めています。(「公式資料ページ」提供ニュース)

1999/11/30 洪水時に河口から800mの地点で調整池の効果がなかったことが証明される。
 1999年7月23日諌早豪雨のときの河口から800m上流にある不知火水位観測所水位データをもとにして長崎県農林部が、満潮時に海面水位より低く調整池水位を保ったことによって、次の2点で効果があったと発表。

不知火の水位が低下した。
●水位低下によって周辺の排水が促進され、浸水被害と軽減できた。

 これに対して、「諌早湾と防災」に関して調査と分析を続けている「長崎自然史仮想博物館」は11/30に「低平地排水効果の検証」の中で、長崎県農林部の発表は根拠がなく事実に反していることを、気象や各種水位データと浸水地域調査などによって実証した。

◎調整池による
不知火水位低下効果はなかった。
不知火での河川水位が地盤高を下回り、自然排水が可能になった時には、稼働していた2つの排水機場のポンプは止まり流域の浸水もなくなっていた。したがって、たとえ仮に水位低下効果があったとしてもそれによる排水効果はなかった。

 調整池が潮位より水面を低くコントロールしても、2kmより上流の諌早市街地での本明川水位を低下させる効果はないことがすでに分かっていますが、今回、一地域の例ですが河口から800mの地点でも水位を下げる効果が全くなかったことが明らかになったことで、調整池に頼って河川氾濫防止対策や排水対策を怠れば、水害の原因を自らが招くことになりかねず、今回の誤った発表への深刻な反省なくして、災害から市民の命を守る行政の使命と責任は果たせない。

1999/11/7 諌早湾タイラギ漁7年連続休漁(新泉水海潜水器組合-53人-総会決定)
 組合では10/12の潜水による調査の結果、成貝が確認されず、主に12月から3月に行われる今季の漁を7年連続で休漁にすることを決めた。有明海のタイラギ漁獲量が回復しているのと好対照となっている。

 1990年4月の潮受堤防工事開始以来、1991年10月に大量死が発生、1992年の不漁を経て、1993年から休業に入る。県は1997年から漁場に砂を入れる対策を続けているが、今回の調査で確認された稚貝は昨年の約1/5、漁が可能な数の約1/20でしかなかったことから、改善されるどころか悪化の一途をたどっている。漁民はこれを干拓事業の影響としているが、九州農政局諌早干拓事務所は1993年6月に設置した「諌早湾漁場調査委員会」で専門家が生育不良の原因を調べているが「結論が出ていない」と語っている。6年かかっても結論がでない。その間に組合員は半減した。
 結論がでないことが国に有利に働く視点で報道がされていては100年たっても改善は見込めない。不漁については挙証責任は国と県にあります。証明できなければ公有水面埋立承認の取り消しを!(98年記事

1999/10/6 農水省高木勇樹事務次官が定例記者会見で、2001年に「時のアセス」を行うと表明
 2001年2月前後に着手して2002年8月に結論を出す予定のようです。手はずについてまとめます。(追記:「2001年2月前後に着手して2001年8月に結論」が正しいようです。)

 ●
再評価の流れ
a「諌早干拓事務所」が「基礎資料」を作成して「九州農政局」へ提出。
b「九州農政局」が「国営事業管理委員会」を設置しここが干拓事業「再評価」を行い「
第三者委員会」を設置して「再評価結果」を「諮問」する。
c「
第三者委員会」が「意見を付して」「再評価結果」を「国営事業管理委員会」へ報告。
d「九州農政局長」が干拓事業の「実施方針案」を作成し、「構造改善局長」に報告。
e「構造改善局長」が翌年度以降の「実施方針」を決定する。
 第3者委員会の人選と公開が焦点になるが、委員会の議事録すら公開しない農水省では見込みがない。

1999/9/21 工期6年延長、事業費120億円増加の見通し(県知事・県議会答弁)
 やっぱり!地盤の悪い内部堤防がそんなに早くできるわけがないというのが専門家の一致した見方だった。そして2003年度から中央干拓地西側と小江干拓地(計約700ヘクタール)の農地としての供用を開始するとのこと。これをどう見るか?干拓地を半分に縮小しその後は農水版「時のアセス」で中止するという含みか?それとも既成事実化したいだけなのか?それを決めるのは国民の声です。
 工費はこれで2490億円に。国税による国営事業なのにまるで、長崎県がすべてを決めているような話です。まず国民に説明し理解を求めるという態度に農水省はいつになったらなるのでしょうか?
(後記:99/12農水省が事業計画の変更を公表。事業費は当初の1350億円から2490億円へ1140億円増加。報道された120億円増は誤報。事業費が1350億円のままでこれを超過して2370億円まで支出が行われていた。その間一度も事業計画の変更はなかった。今回が初の変更なので前の計画と比較すると1140億円増となる。

1999/9/12 午後 諌早湾で漁業被害に抗議して漁民が北部排水門放水実力阻止

 小長井漁協の漁民約10名が乗った漁船6〜7隻が北部排水門も前で2時間半にわたって抗議行動を行い、この間、排水門からの排水を実力阻止。漁民は湾内漁業に影響はないとした国の約束が違うと国が話し合いに応じるように求めた。
 この国の約束とは、「諫早湾干拓事業にかかわる環境影響評価対策委員会」が出した結論によるものです。このときの委員長は塚原博・九州大学名誉教授ですが、現在は大分県の「中津港港湾改修環境影 響調査(カブトガニ、アオギス)検討委員会」委員長であり10/13「港湾改修が干潟へ及ぼす影響は小さい。カブトガニ、アオギスの生息に問題となるような影響はない」という工事ゴーサインの最終結論を出しています。九州大学や九大教授は国民に対する「説明責任」をどう考えているのでしょうか?

1999/8/19 22:20〜22:50 NHK総合TVで諌早特集放送予定
 梅雨明けから本格的な内部堤防建設工事が着工されます。その前に閉め切りから2年4ヶ月を経過した諌早湾の様子が放映されます。是非ご覧下さい。
 <題名>「変わりゆく干潟の海・長崎県・諌早湾」
 <内容>干拓工事と干潟の変化▽生態系の今

*視聴の感想
 諌早湾で漁をしながら「死に海になってしまった。」と言った漁民の言葉が心に響きました。  98年3月(4月?)には再びCODが10(mg/l)まで上昇し、このドブ池と化した調整池が諌早湾内漁業を壊滅に追い込んでいる。
 7/23の大雨で貯まった調整池の淡水を長期間に渡って排水するために、「大雨の浸水は数日で引くが、漁民は長くこの調整池の排水で苦しめられる。排水がやってくると漁にならない。湾が汚れてまた赤潮が発生する」と漁民が語っていた。
 調整池によって大雨時の浸水が少なくなり水の引きも速くなったと盛んに感謝の陳情が農水省に繰り返される。その代わりに迷惑を被っている人たちのことをいったい諌早の農民達はどう考えているのでしょう?「私たちのせいで心苦しい。諌早湾の 漁業が回復するまで、干拓工事は中断しても構わない」となぜ言わないのでしょうか?内部堤防建設を中断して水門を開け海水を入れても、「防災効果」に変わりはないのに。「腹八分」は健康のためだけではない。「二兎を追う者は一兎を得ず」です。やがて国民の心は農業と農民から離れ、一番大切なものを失うことになる。

 収入の約半分を占めていたというタイラギの不漁が続いているが、有明海のタイラギ漁獲量は回復している。あきらかに干拓事業の影響だ。ところがインタビューに答えて九州農政局諌早干拓事務所の副所長が「なんでも干拓のせいにされる。因果関係は明かではない」と言って平然としている姿が映し出された。

 諌早湾が「死に海」となり、漁民が苦しんでいても、農業さえよければ知ったことではないという農政に任せて、消費者は安心して食料を口にできるのだろうか?関西や関東の大消費地の消費者はこの地元農協や農民を支えている。どこから何を買うかは消費者一人一人の選択です。

 水門を開け海水を入れて海が生き返るまで、
 
私は長崎県の農産物は買わない。

 
1999/8/5 7/23の諫早市の集中豪雨の現地調査結果がHP「長崎自然史仮想博物館」に掲載されました。---->「緊急公開1999年7月23日の諫早市の集中豪雨」
 調整池の防災効果について、「市街地の洪水軽減効果は皆無」「小野島地区で洪水中の防災効果は皆無」「森山以東と白浜の農地冠水については要精査」「高潮はもともと起こっていない」と書かれています。

1999/7/23 諌早市1時間雨量過去最大、避難勧告
8:50  長崎海洋気象台、長崎県南部・北部に大雨洪水警報
9:00  本明川警戒水位3.2mを越える。1時間雨量44mm
9:15  諌早市が32000世帯(92000人)に避難勧告 
9:20  本明川水位ピーク3.61m 
10:00 1時間雨量101mm(1797アメダス記録開始より過去最高)
11:00 1時間雨量92.5mm 24時間雨量323mm
16:36 避難勧告解除(避難者350人)
17:00 降り始めからの総雨量367mm
 降雨範囲が狭い局地的豪雨だったことから、観測地点(諌早市役所)の雨量の割に被害は少なかったようです。(全半壊一部破損3 床上床下浸水661、 死者1<---「7/27諌早市まとめ」に改訂しました。)
 原田氏と布袋氏の「現地からの報告と分析」があります。

1999/6/3 小長井漁協青年部が県に漁業被害調査と緊急融資の要望書提出
 長崎県小長井町漁協青壮年部の漁業者五人が要望書を長崎県に提出。昨年夏ごろ2度の赤潮で養殖あさりが大量に死滅。今年の5月にも赤潮が発生。北部排水門付近から赤潮が発生していることから、干拓事業の影響だとして、第三者機関による影響調査などを求めた。
 
1999/5/26 本明川「洪水予報河川」指定へ
 西日本新聞によると本明川は来年4月から、水位又は水量を示しての本格的な洪水注意報・洪水警報が行われることになります。予報の技術的な困難性が解消された結果なら、洪水の起きそうな時以外は排水門を開放して潮水を入れておくことがより可能になる。また、調整池堤防の決壊や新干拓地の浸水に備えてのものなら、干拓事業によって危険が増大したことに対する対応となる。
 この規定は水防法第十条第二項にあります。多摩川と相模川が指定されている神奈川県の実際の運用は「神奈川水防計画 資料24」にあります。
1999/5/15 北部排水門付近でまた赤潮が発生
 5/13に2時間半の排水を行った調整池北部排水門から佐賀県方向へ幅7〜12mで長さ2km(これは西日本新聞5/15 漁業者の証言。)の赤潮が発生。汚染された調整池から排出された水によってプランクトンが異常発生したと見られるが、九州農政局諫早湾干拓事務所は排水量は少ないから原因とは考えにくいといつもの通りに否定。
 調査をしなければ原因は分からない。原因が分からなければ、干拓工事の影響ではない。という3段論法はいつまで続くのでしょうか?

1999/4/29 本明川洪水防災に調整池は無効。アニメーション公開される。必見!
大雨の時に満潮を迎えても、潮位は河口から2Kmまでしか本明川の水位に影響を与えない。諌早市街の防災に調整池は無効というアニメーションが布袋氏のホームページで公開される。「諫早湾と防災」(布袋 厚)

1999/4/25 諌早市議選で岩永賢一氏当選!


1999/4/18〜25 諌早市議会議員選挙に見直し派立候補?
 1999/4/15 東京新聞の「こちら特報部」に「公共事業の在り方問い 後半戦”少数派”の戦い」「地方議会が変われば国政も変わる」という記事が掲載され、そこに諌早湾干拓事業の見直し・徳島吉野川可動堰の住民投票実現・千葉三番瀬干潟の埋め立て中止・を求めて活動する市民団体と立候補予定者の様子が大きく報道されています。立候補したかどうか未確認ですが、結果が注目されます。
*岩永賢一(諌早市議選・市民ネット偏西風---旧諌早湾干潟緊急救済本部)
*鈴木美和子(習志野市議選・三番瀬Do会議)
*金丸あさこ(徳島市議選・市民ネットワーク----旧第十堰住民投票の会)

1999/4/14 諌早湾閉め切り2周年
 
干潟を守る日1999 in 東京・シンポジウム
  よみがえれ!諫早干潟 ―世界に学ぶ干潟の再生―-- 

 諫早干潟緊急救済東京事務所ではWWFジャパンと共催で、潮止めからまる2年になる諫早湾干拓事業を検証するシンポジウムを、4月10日に東京で開催します。
 このシンポジウムでは、生物の激減や水質の悪化など、この2年間で具体的に明らかになった干拓事業の問題点について、諫早干潟緊急救済本部の山下弘文氏や、九州大学名誉教授の安東毅氏を講師に迎えて解説していただきます。
 また、諫早湾と同様に干拓による環境破壊が問題となり、ついに水門の開放に至った韓国の現状を、最新の現地取材からレポート。日本湿地ネットワークが5月のラムサール会議に向けて制作した、日本各地の湿地の現状を紹介するビデオの上映も予定されています。
 後半のディスカッションでは、法政大学教授の五十嵐敬喜氏、元環境庁長官の岩垂寿喜男氏、衆議院議員の笹山登生氏もパネラーとして加わり、諫早湾潮受け堤防の水門開放、干潟の回復、賢明な利用への道筋を探ります。

●日 時:1999年4月10日(土)
     13:00pm〜17:00pm(開場12:30pm)
●場 所:虎屋第2ビル  7Fホール
     (港区元赤坂1−5−8 赤坂見附駅/永田町駅より徒歩6分)
●参加費:1,000円(高校生以下500円)
●主 催:世界自然保護基金日本委員会(WWFジャパン)
     諌早干潟緊急救済東京事務所
●後 援:日本野鳥の会/日本湿地ネットワーク/諫早干潟緊急救済本部
●お問い合わせ:諫早干潟緊急救済東京事務所 TEL 03-3986-6490
NEW!干潟を守る日1999ホームページ(全国各地のイベントが紹介されています)


1999/2/25 22:00〜22:45 NHK教育テレビ放送 必見!
ETV特集
 「海をゆく(4)命をはぐくむ海に暮らす・長崎・諫早湾」
 有明海の奥まった所にある諫早湾は、タイラギやアサリ、ボラ、スズキなどの魚介類が多い海として知られてきた。国による干拓事業が進められ、広大な干潟が消滅して2年近く。工事開始から漁獲量は減少し、湾内の漁師たちの生活を脅かしている水中撮影による映像などを交えながら、湾内の海洋生物の現状を紹介する。
 毎日漁に出る老漁師平田実さん(69歳)と不漁で陸にあがった息子さんたちの姿を追う

1999/2/10 名古屋港・藤前干潟埋め立て申請取り下げ
環境破壊の公共事業が埋め立て申請後に中止されるという記念すべき日です。農水省・長崎県・農民による諌早湾干潟破壊は最後の愚挙として記録され、その責任を問われ続けることでしょう。

1999/1/9 地元新聞に1万人の意見広告の募集
長崎新聞によると「諫早湾一万人の思い実行委員会」(魚住昭三代表世話人)が9日に発足して、諌早湾干拓事業への批判・疑問の声の募集を始めた。4/14日のギロチン2周年までに、地元の声なき声を集めて新聞に掲載しようという運動です。希望者は配付されているチラシに記載の郵便局の振り込み用紙に、31文字以内にまとめて申し込む。一口1000円。
 春には閉めきり2周年がやってきます。地元の声がたくさん集まれば大きなインパクトになります。長崎県農協が干拓賛成・推進の陳情を行っているのですが、諌早湾干潟は農業者の専有物ではないのに、農業者だけの意見にしか耳を傾けない農水省や長崎県は、農産物を誰に買って貰うつもりなのだろうか?

2008 2003 2001 2000 1999 1998


諌早湾干拓事業公式資料ページ
http://www.cityfujisawa.ne.jp/~559-mori/isahaya/