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釣りキチ三平 矢口高雄 講談社

 今も本屋にこのマンガおいてあるんですね。思わず一冊買ってしまいました。
これ、もちろんバス関連のマンガではありません。 しかし僕くらいの世代で今バス釣りをしている人の多くがこのマンガの影響を受けたのではないでしょうか。
 僕も例外ではなくバス釣りをするきっかけとなったという意味で欠かすことのできないものなので、あえてここで取り上げましょう。

 たしか僕が小学校4、5年生くらいの時にテレビアニメで見たのが最初でした。
 様々な釣りをその天才的なセンスでこなしていく主人公三平に胸をワクワクさせながらみていたのですが、その中でも特に強く印象に残ったのがルアーを使った釣りでした。
 皆がそうであったように餌でフナやクチボソを釣っていた当時の僕には、あの金属のかたまりを使って魚を釣るなどとは全く異次元の世界の釣りであり、さらに「ルアー」と「リール」という少年には魅力的なアイテムを駆使した釣りであることからたちまちその虜となったのです。
 といっても当時はまだルアーフィッシングがそれほど普及しておらず、しかも子どもの機動力はたかがしれているので結局実際に僕がルアーフィッシングを始めたのは社会人になってからと遅かったのですが、このマンガに出会っていなければおそらく今でもバスフィッシングをすることはなかったでしょう。
 ルアーというとバスフィッシング専門の僕の頭に今でも浮かぶのはスプーンなのですがこれも三平がスプーンを使ってイトウと格闘していたのが強く印象に残っているからです。

 ちなみに思わず買った1冊とは「釣犬ハチ公編」でバスフィッシングを題材にした話が収められています。
 バスフィッシングのいわゆるノウハウを取り上げているものではなく、また最後はちょっぴり悲しい結末になっています。
 これに限らず釣りキチ三平全般に言えるのは著者の釣りや自然に対する強い愛着と読者へのさりげないメッセージがちりばめられており、この歳で読むとあらためてそれを強く感じる不朽の名作です。

 (Feb/20/99)

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ブラックバス移殖史 金子陽春・若林務 つり人ノベルズ

 日本のブラックバスは、大正14年に赤星鉄馬氏がアメリカ・カリフォルニア州から神奈川県芦ノ湖に移殖したことからその歴史は始まります。

 この本は「ブラックバス移殖のルーツと習性(金子陽春著)」と「日本のブラックバス研究史(若林務著)」の二部構成で1980年代半ばに発表されたものの再録(1998年初版)です。

 前半では赤星氏の移植にまつわる話やその後の各地への移殖の記録が、後半では草創期のブラックバス研究の歴史やいくつかの研究内容が書かれています。
 これをみると、草創期のブラックバスは、どちらかというと水産関係の公的な調査・研究対象として各地に移殖されていたようです。
 1960年代以降は現在に至るまで各地に次々と広がっていくのですが、何と震生湖でのバスの確認は1963年頃と、相模湖、津久井湖での確認から間もない日本でも老舗のフィールドであることも書かれていて地元バサーとしては興味深いところです。

 現在の基準に照らし合わせると、客観性や当時の移殖の正当性に論議が分かれる部分があると思いますが、それまでバラバラだった日本のブラックバスの歴史や研究に関する文献を1冊に系統だてた初めての書籍という点では貴重な資料でありバイブル的な存在です。

 (New ! Mar/07/2004)



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