
◇ 民事再生法(個人版)

1.はじめに
企業向けの再建手続きを定めた民事再生法が、去る平成12年4月1日より施行されたことはご存知だとおもいますが、このたび、個人事業者やサラリーマンなど「個人」の救済再生を目的とした個人版民事再生法が法制審議会でとりまとめられました。
この個人版民事再生法の適用条件と特徴を簡単に説明すると以下のようになります。
(1) 個人事業者の再生に関する項目
適用条件としては
- 一定額以上の定収入が見込めること
- 債権者の同意が必要である(半数以上の同意)
- 住宅ローン等を除いた債務の総額3,000万円以内を3年間(場合によっては5年)返済すれば残りの債務は免除される
(2) サラリーマンの再生に関する項目
- 弁済総額は、年収の2年分から最低限度の生活費等を除いた額を3年間(場合によっては5年)で返済すれば残りの債務は免除される
- 上記(1)同様、債務の総額から住宅ローン等は除かれる
- 債権者の同意は不要
(3) 住宅ローンに関する項目
- ローンの弁済期間を最大で10年間延長することができる
- ただし、そのローンの最終弁済時に、債務者の年齢が70歳を超えていないことが条件
2.破産法との違い
今まで個人の清算型法制には「破産法」、いわゆる自己破産の手続きしか方法がありませんでした。
(1)破産法の場合
- @ 申し立てをした時点で世間から「破産者」のレッテルを貼られてしまう
- @ 申し立てをした時点から事実上、債権者は一切の弁済を受けることができなくなる
- @ 住宅ローンをかかえて破産した場合、住宅を手放さねばならない
など、債権者、債務者双方にとってデメリットとなる部分が多くあります。
(2)個人版民事再生法の場合
- @ 債務者が一定額を弁済すれば、残りの債務は免除されるため、債務者にとっては「破産者」のレッテルを貼られることなく再生の道を探ることができ、債権者にとっては、破産法にくらべ、より多くの債権を回収できる可能性がある
- @ 債務者は破産法に比べ住宅ローンの返済延長等、出来る限り住宅を手放さないで済む
- @ 破産法と違い、債務者は資格制限等の社会的不利益を受けることなく再建できる
3.税務上の留意点
- 債務者が弁済を免れた部分については、「一時所得」として所得税が課税される可能性がある。通常、破産法の適用の場合は、債務者に税負担の余力が残っていないため、課税に目をつぶらなければならないケースが多いが、今回の個人版民事再生法の場合は、適用申請をせずに自力で再建を図ろうとする者とのあいだに所得税の課税上、不公平が生じてしまうため。
- 住宅ローンの返済延長にともなう住宅ローン減税額に、基本的に影響はなし
以上、個人版民事再生法については今のところ、メリットの部分が多くとり上げられていますが、実際の運用や実務上の影響については、施行が予想される来年の春以降の状況を注視する必要がありそうです。
実際に活用する際には様々な要件や手続きが規定されています。
必ず事前に専門家にご相談下さい。
(10/25/2000 )
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