
【民事再生法】
平成12年7月12日、そごうグループが債務免除案を撤回し、裁判所に民事再生法の適用を申請しました。そこに至るまでの経緯は、各種新聞紙上でも皆さんご覧になってご存知のことと思いますが、では、民事再生法とはどのような法律なのでしょうか。
立法の経緯
我が国の倒産法は、大正11年に制定された(1)破産法、(2)和議法、昭和13年の商法改正の際に定められた(3)会社整理法、(4)特別清算、そして、昭和27年に制定された(5)会社更生法の5つが存在していました。いわゆる「倒産五法」と呼ばれるものです。
これら「倒産五法」はその立法時期があまりにも古く、手続きが煩雑であるうえに、処理に非常に時間がかかるため、現在の社会情勢に即さないものとなっていました。
そこで、これら「倒産五法」の欠点を見直し、現在の社会情勢に即した新法として、民事再生法が、平成11年12月22日に公布され平成12年4月1日から施行されたわけです。同時に従来の再建型手続法である和議法が廃止されました。
民事再生法の特徴と「倒産五法」との違い
企業の早期再建を促すのが目的であり、経営者がそのまま残って再建計画を遂行でき、その処理も迅速かつ簡素な手続きですむ点が新法の特徴です。
主なものとして
@会社更生法が株式会社のみを対象にしているのとは違い、すべての法人(株式会社、有限会社、医療法人、学校法人等)・個人が利用対象となっている。
A申立てが破たん前でも可能であり、再建計画の提示も手続開始後に提出すればよい
(和議法は破産原因が生じた時点で申請をし、同時に和議条件を提示しなければならない)。
B手続の執行は原則として債務者が行う(会社更正法は管財人)。
C事業活動の継続に必要な工場等が担保になっている場合、その時価相当額を金銭で裁判所に納めれば担保権を抹消することが出来る。
D申立てから手続開始決定までのあいだに、裁判所から、すべての債権者に対し、債務者財産への強制執行の禁止命令や、担保権者に対する競売手続中止命令がなされる(会社更生法では担保権が手続の中に取り込まれている)。
E再建計画の決議は、債権者集会の出席債権者数の過半数かつ、総債権額の2分の1以上の賛成で可決可能(和議法では総債権額の4分の3以上)。
F裁判所からの手続開始の決定が、申立てから比較的早い時期にだされ(数ヶ月程度、会社更生法では1〜2年)、計画遂行も迅速に行われる(3〜5年程度、会社更生法では10年〜20年)。などが挙げられます。
法令施行後の状況
民事再生法の施行から、わずか3ヶ月弱ですが、申請数はすでに200件を突破しています。そのなかでも、そごうグループのような大企業だけでなく、中小企業の申請数が多い点からも、この新法が、簡易で迅速な、まさに現在の社会情勢に即したものであることがわかります。
しかし、一方では、企業側にとってなんでもありの徳政令的なもの、という甘い認識を危惧する見方もあります。再建計画の遂行を怠れば債権者から計画の取消しを求められること、債務者の財産隠匿行為等に対して10年以下の懲役又は200万円以下の罰金が課される、信用調査機関では「倒産企業」として扱うため、世間では事実上の倒産と評価される、など実体はそう甘くないようです。
現在、申請をしているところで、再建計画を認められないといったケースもかなり出てくるのではという予測もあります。いくらこの新法が再建型倒産法だといっても、市場競争に生き残れる成算がない企業は駄目だということです。
得意先が申立てた場合
得意先が民事再生手続を申し立てた場合も注意が必要です。「売掛金の回収が不可能になる」「担保権の実行に制限が加えられる」など、影響は決して少なくないといえます。再建計画が認められ、手続が開始しても、得意先のキャシュフローや資金繰り、そして実施状況を常に注視しておくことが肝要です。
(August 04, 2000)