湘南花ごよみ
胡蝶ワビスケ

植物学者
レディオ湘南パーソナリティ
  酒井 良平

ツバキ科ツバキ属の常緑小低木。葉は互生(ごせい)鋸歯(きょし)は細かく葉の先端はとがる。
早春に咲く白と(べに)の混じった小輪(しょうりん)の花は猪口咲(ちょこざ)きと呼ばれ、おちょぼ口のような形。
蝶が羽を広げて舞っているようにも見えることから「胡蝶(こちょう)」と名がついた。
ワビスケの仲間は、サザンカほどではないが、めしべの子房(しぼう)に白い毛が密生する。
子房に毛がなく、緑色に光っているツバキとはこの点で区別されるが、その出生(しゅっしょう)については今だによくわかっていない。
ワビスケの名の由来は、千利休の下男(げなん)侘助(わびすけ)が栽培していたとも、秀吉の朝鮮出兵の折、侘助という(さむらい)が現地から持ち帰ったとも言われ、定説はない。
ワビスケの花には文字通り()びた風情があり、昔から茶花として茶人に愛好されてきた。
京都の龍安寺(りょうあんじ)には方丈(ほうじょう)の東庭に、秀吉の()でた日本最古の胡蝶ワビスケが今も花を咲かせており、大徳寺の総見院(そうけんいん)には秀吉お手植えと伝えられる胡蝶ワビスケが現存する。
壮大な大坂城や聚楽第(じゅらくだい)を築いた秀吉が、ワビスケの中で最も小型で可愛らしい胡蝶ワビスケを好んだとは、天下人の意外な一面が垣間(かいま)見えるようでおもしろい。 

 




2月の花だより
鎌倉に咲く花をご案内します。

ウメ……瑞泉寺、東慶寺、荏柄天神、十二所果樹園、
      宝戒寺、光則寺、長谷寺
ツバキ…江の島サムエル・コッキング苑、龍口寺、瑞泉寺、宝戒寺
      海蔵寺、英勝寺、浄智寺



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