Enterococcus faecalis KAWAI





ここでの僕とは「エンテロコッカス・フェカリス・カワイ株」のことをさしています。
そのほかのいかなるものの別称ではございません。


NO.2      監修 河合 康雄    作詩  清水 石根






B 地の塩



僕は発見されたときから 避けられない 宿命を負っていました
僕に定められていたことは 死んで物質になることでした
僕が死んではじめて 人々のお役にたつのです
みずからの命を捨てて 他者の命を救うことほど 崇高な愛はないといいます



僕はこの地上で愛ほど大切なものはないと 心から思っています
それでも僕の心の奥底では 生きたい 生きることこそが 僕の証と
命はなににもかえられないほどの 重さをもつと 僕の心はいうのです
僕は自問自答しました それでも 想いのいきつく先は
生きたい・・・・・



そんなとき僕は聞いたのです お前を待っているひとがいるんだよ
僕ははっとしました 避けられないさだめなら よろこんで役割りを果たそうと
僕が死菌になったときの働きは 僕が生菌でいるときの三倍もあるというのです
その差を ひとの背丈にたとえれば 五メートル以上にもなるのです
僕は 観念するしか 僕の道はないと思いました










C 小さな命のたびだち



僕の名前は エンテロコッカス・フェカリス・カワイ株
おおきさは 約1ミクロン(1ミリの1千分の1)のおおきさです
からだは 小さいけれど 僕を見つけてくれた 博士がいうことには
お前の からだのなかには 300種類以上の物質があるだろうといいます
博士が生涯をかけても とても全部の 解明は難しいといいます
僕が見つけられて約20年 いくつもの働きがその後も 解明されています


僕の使命は次々と培養され 
次々と殺されて物質になっていくことです
僕の理解者、僕を頼みとする人がいる限り
僕の使命はつづくのです


僕は死菌になるさだめをうけいれて
全国各地津々浦々に送り出されました
僕をまっているたくさんのひとと
出会いました そしていろいろなことを見聞きしました
それからの僕は 変わりました
こだわりから放たれて素直になれました
素直になると いままでよく見えなかったものが
みえるようになってきたのです




【正式学名】 エンテロコッカス・フェカリス・カワイ株

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