『はじめてのアメリカ』



1978年6月、ペットフードの先進国アメリカの実情を視るためのツアー旅行がメーカーによって組まれ参加した。機がロスアンゼルス空港に向けて着陸態勢に入ったとき、眼下には真白な真綿のような雲の合間から、目にも鮮やかな、木々の緑、芝生の緑とともにカラフルな色調の家々が目に入った、ところがキラキラとなんとも眩しいのである。

この無数のキラキラの光源は何だろう。程なくしてキラキラの正体がわかった家々のプールの水面が朝の陽光に反射していたのである。  

1978年日本も豊かになっていたが、スケールの違いをまざまざと見せられたような気がした。そしてなぜかかってこの国に戦いを挑んだ国があったことを考えていた。    

そして私のアメリカの第一印象はやる気のある人間にとっては素晴らしい国である一方、日の当たらない、恵まれない人々にとっては住みにくい国だと思った。

添乗員は危険だから裏通りには行かないようにと口うるさく言う。あるときを境に少しぐらい危険でも裏通りに入って普通の生活の臭いする場所を見て歩くことを心がけた。そして肌で感じ取ることの大切さを知った。

しかし危険に対するそなえを充分に整えた上でないと、やはりおもて通りが安心なのかも知れない。