17年にわたって腸内細菌に関わって来て、健康維持の原則はとてもシンプルなものであることを知った。もともと、人間の身体には自然治癒力(恒常性維持機能ともいう)が備わっていて、身体が多少バランスを崩しても、正常な状態へ戻そうとする働きによって復元する力をもっている。

病気になるということは、自然治癒力つまり復元力が限界を超えてしまったことを意味する。

自然治癒力の限界を超えることが病気の発症ということになる。発症後の対応を治療という発症以前に発症させないための対応を予防といっていいでしょう。
腸内細菌をライフワークとしてから学んだことは、発症してしまってからも、自然治癒力つまり恒常性維持機能をたかめてやることができることを経験を通して知った。

身体に復元力を持たせるためには、それなりの条件をととのえてやらなければならない。ひとくちに病気といっても、軽い場合も、またたいへん重い場合もある。

よく45歳を過ぎたら下りのエスカレーターをのぼるようなものだと云われる。だんだん年を重ねてくると下る速度は早まって来るから予防もそれに見合っただけの対応をしないと、維持がむつかしくなって来る。

人それぞれに顔形が違うように、身体の内側の状態も違う。ほんの少ししかマイナスの要因を持っていない人、複合してマイナスの要因を持っている人。マイナス要因の巣になっている人。その程度は実に様々だ。人はそれぞれに一様でないことをよく理解して特にマイナスの因子をたくさん持っている人は、それに見合うだけのプラスの要因を身体に入れてやること。

つまりマイナスを超えるプラスの因子、マイナスの要因に負けないだけのプラスの要因を身体の中に入れてやらないと身体の復元力は回復しない。自然治癒力が復元力を回復することが予防なのだ。

また、疾病にも回復の速度があることを知った。特別な場合を除いて、急性、慢性、長期にわたる慢性、慢性で長期間薬物を投与している。

最も改善しにくいのは、慢性でホルモン剤を常用している場合だ。その理由もそれなりに理解しているつもりだが領域外なのでここでは割愛します。

ただ健康とはほぐすことで、おさえこむものではないということがわかりました。