クイーンの定員 #004
追いつめられて ベルンハルト・タウハニッツ 1860年 |
John Camden Hotten 1st edition |
イギリスを代表する文豪チャールズ・ディケンズが、実在した毒殺魔トマス・グリフィス・ウェインライトの生涯をヒントに書いた短編ミステリです。原書では冒頭にウェインライトについて多数のページが割かれています。
・ | 追いつめられて −Hunted Down− |
サンプスン氏が営む生命保険会社にジュリアス・スリンクトンなる人物が保険の申込用紙をもらいに来ます。その時サンプスン氏はスリンクトンに直接会いませんでしたが、後日友人に食事を招かれた際、偶然にも彼と再会します。そこでサンプスン氏は、スリンクトンには二人の姪がいて、その内の一人が最近亡くなったことを知ります。更に数日後、スリンクトンは自分が身元保証人になってアルフレッド・ベックウィズという男の保険契約をサンプスン氏の保険会社と結びます。しかし二人の出会いはこれだけでは終わりませんでした。短編ながら起承転結のはっきりとした作品で、完全にミステリの形態をとっています。サンプスン氏がスリンクトンと再会する海辺のシーンを静とすると、ラストでベックウィズが怒りと共に語るシーンが動となっており、コントラストのおもしろさもあります。 |
『犯罪文学傑作選』(創元推理文庫)収録作品
「追いつめられて」
『エラリー・クイーンズ・ミステリマガジン1956年9月号』(1956)村上啓夫訳(早川書房)収録作品
「追いつめられて」(第1章が削除されています)