クイーンの定員 #020

ランドルフ・メイスンと7つの罪
The Strange Schemes of Randolph Mason

メルヴィル・D・ポースト
Melville Davisson Post

G・P・パトナム 1896年
New York: G. P. Putnam


長崎出版

悪徳弁護士のランドルフ・メイスンが明らかに悪事でありながら法的には罪にならない手段を依頼人に提案します。


収録短編

罪体
(別題:罪の本体)
−The Corpus Delicti−
婚約者とともに楽しい時間を過ごしていたサミュエル・ウォルコットに一通の手紙が届けられ、それを読んだウォルコットは突然凍りつきます。それはウォルコットの愛人からの手紙で、ウォルコットがかつて殺人を犯したことを脅迫の材料として、スペインでの結婚を求めるものでした。
マンハッタンの投機家
(別題:マンハッタンの相場師)
−Two Plungers of Manhattan−
株の仲買人で投機家の兄弟が株で莫大な利益を得るための資金として五千ドル必要としていました。兄弟から相談を受けたランドルフ・メイスンは、ある屋敷の売買で一儲けすることを提案します。
ウッドフォードの共同出資者
−Woodford's Partner−
卸商の秘書をしていた男が買い付けのために二万ドルを持たされてニューヨークへ向かいます。ところが移動中に現金を入れた鞄がすりかえられ、男は会社の資金である二万ドルを失ってしまいます。男の兄はランドルフ・メイスンに相談し、ある家畜商から現金を得る手段を提案されます。
ウィリアム・バン・ブルームの過ち
−The Error of William Van Broom−
妹の生活費を工面したい男がランドルフ・メイスンを訪ね、違法にならずに宝石商からネックレスを得る方法を教わります。
バールを持った男たち
(別題:いかさま師たち、金策)
−The Men of the Jimmy−
ランドルフ・メイスンはある男から賄賂に使うための金の工面を相談されます。その男は禁固刑になっている仲間を救い出すため、看守に賄賂を渡そうとしていたのでした。そこでメイスンは誘拐事件の謝礼に目を付けます。
ガルモアの郡保安官
−The Sheriff of Gullmore−
ウェスト・ヴァージニア州ガルモア郡では新しい保安官が選出され、旧保安官は新保安官に決算を提出しなければなりませんでした。しかし旧保安官は郡の公金を私的に流用しており、悪事がばれないために金銭の穴埋めをしなければなりませんでした。
犯意
−The Animus Furandi−
病弱になったランドルフ・メイスンを救うため、メイスンの事務員を務めているパークスはある一大事を決行します。それはメイスンの知恵を借りて金を合法的に手に入れ、その金でメイスンをフランスに移そうというものでした。

『クイーンの定員T』(1992)各務三郎編(光文社文庫)収録作品
「罪の本体」

『詐欺師ミステリー傑作選』(1990)小鷹信光編(河出文庫)収録作品
「マンハッタンの相場師」

『完全犯罪大百科/下』(1980)厚木淳訳(創元推理文庫)収録作品
「金策」

『ハヤカワ・ミステリマガジン』1977年3月号収録作品
「いかさま師たち」