クイーンの定員 #056
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マックス・カラドス
メシュイン 1914年
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![]() Methuen 1st Edition |
盲目の探偵マックス・カラドスは、その後天的ハンディキャップを指先で紙面をなぞることにより字を読むなど、類い稀な才能で補います。彼の補助として抜群の記憶力を持つ従僕パーキンソンと、ワトスン役のカーライルとともに描かれる本書は、クイーンにして「いかなる規準からみても、これまでに書かれた十大短編探偵小説集のひとつに数えあげられる」と言わしめます。
収録短編
| ・ | ディオニュシオスの銀貨 −The Coin of Dionysius− |
| 古銭商に紹介され、カーライルがディオニュシオスの銀貨の真偽を確かめるべく訪れた先は、偶然にも旧知の間柄だったマックス・カラドスでした。10年前に不慮の事故で光を失ったカラドスでしたが、その驚くべき感覚で銀貨の正体を見抜きます。マックス・カラドスの紹介にほぼ徹した彼の初登場作品です。 | |
| ・ | ナイツ・クロス信号事件 −The Knight's Cross Signal Problem− |
| セントラル・アンド・サバーバン鉄道の普通列車が、ナイツ・クロス駅構内で折りから発車しようとしていた電車と衝突し、死者27名、重軽傷者40余名の大事故が発生します。普通列車の機関士は信号が青だったと主張しますが、信号手も事故の5分前から信号は”停止”だったと言い張ります。カラドスは二人の主張が食い違っていてもおかしくないと調査を始めました。意表をついた動機に、S・S・ヴァンダインもアンソロジーに選んだ作品です。 | |
| ・ | ブルックベンド荘の悲劇 (別題:真夜中の悲劇) −The Tragedy at Brookbend Cottage− |
| ホリヤーは自分の妹ミリセントが義弟である彼女の夫クリークに毒殺されそうになったことをカラドスに打ち明け助けを求めます。クリークは別の女性と付き合っているし、ミリセントも彼を憎んでいるのだが、不思議とまだ一緒に住んでいるとも言います。話を聞いたカラドスは早速二人の住む屋敷へと向かいました。屋敷全体を使った殺人方法や捕物帳、そして意外な結末と楽しませてくれます。 | |
| ・ | ストレイスウェイト卿夫人の奸知 −The Clever Mrs. Straithwaite− |
| ストレイスウェイト卿夫人の所有する真珠のネックレスが五千ポンドの査定のもと保険にかけられます。保険会社は宝石の鑑定人が代ったことに伴い、再度ネックレスの査定を申し込んだところ、夫人の差し出したネックレスは同じ五千ポンドの値打ちはするものの全く別のネックレスでした。そのネックレスが夫人が観劇中に盗難にあってしまいます。話を少し複雑化しすぎですし、カラドスの推理も見られません。 | |
| ・ | −The Last Exploit of Harry the Actor− |
| カラドスはカーライルに連れられて行った街の貸し金庫で不審な男を見かけます。その後その貸し金庫で盗難が発生し、被害者がカラドスの元へやってきます。完全なセキュリティに守られた金庫からいかにして物が盗まれたのか?物語が少し長くて、話が変に展開するのが残念です。 | |
| ・ | −The Tilling Shaw Mystery− |
| ある屋敷で叔父が甥を撃ち、その後自分も自殺するという事件が発生しました。幸いなことに、甥は時計のおかげで一命を取り留めます。しかし叔父の娘は自分の父親が人を殺して、自殺するはずが無いと信じ、マックス・カラドスに捜査を依頼しに来ます。心の動きに焦点をおいた感動的な作品です。 | |
| ・ | 玩具の家の喜劇 −The Comedy at Fountain Cottage− |
| カーライルの姪夫婦が最近家を買ったのですが、隣人に困っていると言います。姪によると、勝手に人の庭にいろいろな物を捨てるらしいのです。この話に興味をもったカラドスは姪の家を出かけますが、そこで彼女らが当面している家に関するある事情を聞かされます。カラドスの目となるパーキンソンの働きがとても愉快です。 | |
| ・ | 闇試合 −The Game Played in the Dark− |
| X伯爵夫人の依頼により「かみそり」ギドとその一党がある文書の盗み出しに成功します。警察の必死の追跡にもかかわらずギド達の行方は判りませんでした。またその頃、カルデア美術館から陳列してあったコインが盗まれる事件と、イタリアのブドー畑から銀貨が発見されるという事件が同時に発生します。見つかった銀貨が盗難品かどうか確かめるために、カラドスはブドー農園の夫人と共に銀貨を見に行きます。一党に対するカラドスの仕掛けた作戦が闇試合、不利を利にかえる様が圧巻です。 |
![]() 創元推理文庫 吉田誠一訳 |
『マックス・カラドスの事件簿』(1978)吉田誠一訳(創元推理文庫)収録作品 |