クイーンの定員 #103


ヒルデガード・ウィザーズの謎
The Riddles of Hildegarde Withers

スチュアート・パーマー
Stuart Palmer

ジョナサン・プレス 1947年
New York: Jonathan Press


Jonathan Press
1st Edition

収録短編

西部から来た叔母さん
−The Riddle of the Lady from Dubuque−
(The Puzzle of the Scorned Woman)
  ラプハム夫人は若い娘エルシー・ペンダーが自分の拳銃を盗んだことを知り警察に通報します。エルシーは愛する男性がラプハム夫人の娘と結婚することに抵抗しており、ラプハム夫人はエルシーが盗んだ銃で誰かを撃つのではないかと心配していました。ミス・ウィザーズはラプハム夫人宅に潜入し、事件を未然に防ごうとしますが、パイパー警視が突然現れ、エルシーが銃で殺害されたと告げます。
−The Riddle of the Yellow Canary−
  音楽プロデューサーのアーサー・リースは若い女性作曲家のマーギー・ソーレンスを殺害します。アーサーはマーギーに青酸入りのカプセルを飲ませ、遺書らしき紙を残し、部屋は内側から鍵がかかるように仕掛け、自殺に見せかけて立ち去ります。警察は自殺と判断しますが、ミス・ウィザーズは疑問を抱き、アーサーが作った鉄壁の証拠を打ち崩します。
青い指紋の謎
(別題:青い指紋)
−The Riddle of the Blue Fingerprint−
(A Fingerprint in Cobalt)
  大きな衣装ダンスが競売にかけられている最中、その衣装ダンスのなかから男性の絞殺死体が発見されます。被害者は美術品収集家の男性で、死後48時間が経っていました。その男性のポケットからひとつの指紋が写った写真が発見されますが、それは事件関係者の誰の指紋でもありませんでした。しかし、競売場に居合わせたミス・ウィザーズはその指紋の人物を特定し、それから犯人を突き止めます。
医者と瓜ふたつの男
−The Riddle of the Doctor's Double−
  ミス・ウィザーズがパイパー警視と歩いていると、近くの建物から女性の叫び声が聞こえます。二人が駆けつけると、その家の主人が床に倒れていましたが、幸いかかりつけの医師の指示で一命は取り留めます。その際、医師は主人が数週間前から隣人に命を狙われているとパイパー警視に明かします。そして翌日、今度は本当に主人が首を絞められて殺害されます。
12の紫水晶
−The Riddle of the Twelve Amethysts−
  紙箱製造業者のジョージ・シュラッパーは結婚一周年記念日に紫水晶の首飾りを妻に贈ろうとしていました。しかし、その日に妻が夫からもらったものは安い琥珀玉の首飾りで、紫水晶の首飾りはひとりの女中を辞めさせるための手切れ金に使われたと妻は考えました。その後、匿名の人物から紫水晶が毎月一個ずつ送られてくるようになり、ジョージ・シュラッパーは半狂乱になります。
犯罪博物館の謎
(別題:黒の博物館)
−The Riddle of the Black Museum−
  警察本部の真向かいにある犯罪博物館でホテルの給仕頭だった男性が展示物の紐で首を絞められ殺害されます。事件発生当時、展示室には被害者の他に政治家とジャーナリストが一人ずつおり、二人はお互いに相手が犯人だと主張していました。
緑の氷
−The Riddle of the Green Ice−
(Drop of Green Fire)
  マンハッタンにある宝石商に強盗が入り、ダイヤを盗んで逃走します。犯人は女性が運転する車に乗って逃走しており、追いかけた警察官を銃で殺害していました。また、犯人は最も高価なエメラルドの指輪を奪っておらず、宝石泥棒としては新米と思われました。
混乱した殺人
−The Riddle of the Snafu Murder−
  とあるバーで兵隊二人が一人の女性を奪い合う騒ぎがあり、女性はヒルデガード・ウィザーズと名乗ります。その女性は兵隊の移動に興味を持っていたようで、FBIが調査に乗り出します。本物のヒルデガード・ウィザーズは、偽者は自分の教え子であると考え、ひとりの女性に思い当たります。そして同じ頃、その女性の自宅で兵隊が殺害される事件が起きていました。

『別冊宝石75号』(1958)田中小実昌訳収録作品
「西部から来た叔母さん」

『EQ1982年1月号』(1982)(光文社)収録作品
「青い指紋の謎」

『宝石1957年7月号』(1957)収録作品
「青い指紋」

『クイーンの定員V』(1992)各務三郎編(光文社文庫)収録作品
「医者と瓜ふたつの男」

『エラリイ・クイーンズ・ミステリマガジン1956年9月号』峯岸久訳(早川書房)収録作品
「12の紫水晶」

『復刻エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン No.1-3』(1995)峯岸久訳(早川書房)収録作品
「12の紫水晶」

『アメリカ探偵作家クラブ傑作選2』(1961)井上一夫訳(東京創元社)収録作品
「犯罪博物館の謎」

『宝石1958年2月号』(1958)収録作品
「黒の博物館」

『エラリイ・クイーンズ・ミステリマガジン1957年10月号』(早川書房)収録作品
「緑の氷」

『犯罪の中のレディたち/上』(1979)厚木淳訳(創元推理文庫)収録作品
「緑の氷」

『ハヤカワ・ミステリマガジン1979年5月号』(1979)水野谷とおる訳(早川書房)収録作品
「混乱した殺人」