Death from Nowhere


スチュアート・タウン


1950

★★★
Wiegers
1st edition in USA

Act T(The Claws of Satan)

 販売したギロチンの手品の支払いが停止されたことを知った奇術師ドン・ディアボロは、屋外アミューズメント・ハウスの経営者でギロチンの買い主であるJ・J・ハーゲンバッハのオフィスに単身乗り込みます。秘書からハーゲンバッハは会議中と制止されますが、ディアボロはお構いなしにオフィスに入っていこうとします。そしてドアの鍵が内側から開けられディアボロがオフィスのなかに入った瞬間、ディアボロは何者かに頭を殴られて気絶してしまいます。数分後、彼がオフィスの床で目を覚ますと、ハーゲンバッハは机に座ったまま死んでおり、オフィスは内側から鍵がかけられ、ドアには椅子がくっ付けられて開かないようになっていました。ハーゲンバッハの顔には五本の線状の痕が残っており、まるで豹に引っかかれて死んだようでした。そこへ警察が現れ、オフィスのなかで別の死体を発見します。ハーゲンバッハの秘書は、ディアボロの前にオフィスに入ったのはたった一人だけでその死体の男では無いと証言します。そしてディアボロが入った以降、誰もオフィスから出てきていないとも言うのです。

 チャーチ警視は、鍵のかかった部屋で被害者と一緒にいたディアボロを犯人と決め付けており、ディアボロはあの手この手で警察から逃れながら、自分が無実であることを証明するために事件の真相を追究していきます。とにかく最初から最後まで驚かされ放しです。前半は次から次へと謎が提示され、各章の終わりが驚きの新事実で締められます。後半になると一転してディアボロによる謎解きが開始されるのですが、今度はどんでん返しが繰り返され、またもや驚きの連続なのです。事件の不可思議さ、警察を翻弄するディアボロのマジック、そして息つく暇も無いほどの早い展開と、とにかく読んで楽しい作品です。

Act U(The Enchanted Dagger)

 奇術師ドン・ディアボロが外出先から帰ってくると、小間使いのチャンがアレクサンダーなる人物から電話がかかってきたと伝えます。ディアボロはアレクサンダーという名前に覚えが無く、早速残された番号に電話すると、それはホテル・ウィンフィールドにつながりました。ホテルのオペレーターはアレクサンダーの部屋から返答が無いというので、ディアボロはかけ直すことにします。そしてディアボロが再びアレクサンダーに電話をかけると、今度はなんとチャーチ警視が電話に出たのです。宿泊者の女性から近くの部屋で音がすると聞いたホテル探偵がアレクサンダーの部屋に入ると、ひとりの男が剣で背中を刺されて床に倒れているのが見えます。しかしその瞬間、ホテル探偵は何者かに頭を殴られ気絶してしまいます。ホテル探偵が再び目を覚ますと、部屋には誰もおらず、床には血だけが残っていたのでした。そして通報を受けた警察が現場に向かうと、ちょうどそこへディアボロから電話がかかってきたのでした。 この不思議な事件と平行して、ディアボロはある富豪から超能力を持った男を紹介されます。そしてそのお披露目の席で、警察も同席するなか、富豪の秘書がひとりでに宙を動いた剣で刺し殺されるのです。

 テレポーテーションや空中浮遊など不可能事がいろいろ登場するのですが、作品全体の構成に甘さがあるため、それらの不可能事が霞んでしまっています。他の作品に比べてレッド・へリング的な騙しの要素が少なく、驚く場面が少ないのも物足りなさを感じます。残念ながらドン・ディアボロ物では一番不出来な作品と言えるでしょう。

Red Star Mystery (Oct/1940)
1st edition in USA
Red Star Mystery (Dec/1940)
1st edition in USA
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