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The Man In The Brown Suit |
| John Lane The Bodley Head Ltd. Reprint in UK |
あらすじ
原始人の研究にかけては世界的権威だった父を持つアンは、ある日地下鉄のホームの端に立っていた男が自分の背後の何者かに驚きホームに転落死亡する事故に出会う。その男の死亡を確認した医者が落とした紙切れには何やら暗号らしきものが書かれていた。続いて起きる殺人事件にも首をつっこむアン。冒険好きの彼女はついに父の残してくれた全財産をつぎ込み、事件の謎を解くべく南アフリカ行きの船に飛び乗った。
感想
クリスティの冒険物の中でも特に人気のあるこの作品。なんていっても主人公アン・ベディングフェルドの向こう見ずな行動が好評を博す理由の一つでしょう。後年の「ナイルに死す」を彷彿させる船上での事件の数々、南アフリカ上陸後のスピーディな展開は決して読者を飽きさせません。「大佐」は誰だ?という核心の問題を忘れるくらい、物語は次から次に展開していきます。もちろん女史お得意の恋愛話も織り込まれて、極上のミステリーに仕上がっています。
おまけ
| その1)ネアンデルタール人 (p16p99) ムステリアン文化とは、ネアンデルタール人が発達させたもので、死者を葬り花をたむけたりしたそうです。原始的宗教も発達していて、心情・情緒は現在と隔たりが無かったそうです。その後約5万年前にオーリナシャン文化によってムステリアン文化は置き換えられ、新しいこの文化の担い手はホモ・サピエンスでした。クロマニヨン人がそれにあたり、多くの壁画、彫刻を残しています。 その2)ボルジア家 (p63) ルクレツィア・ボルジアの悲劇は毒殺者の例えとしてクリスティの作品に度々登場します。 「カリブ海の秘密」、「蒼ざめた馬」を参照して下さい。 その3)テネリフェ(p77) アフリカ大陸北西部に位置するカナリア諸島の島の一つで、諸島の中で最も美しい島と言われています。40万人が住み、観光地になっています。 その4)クリスティの中のシェイクスピア(p111) 「オセロ」の中から、オセロとデズデモーナの関係が引用されています。 |
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| その5)クリスティの中の日本(p120) 「キモノ」という単語が出てきますが、実際原書にも"loveliest kimonos"と本当に書かれています。 |
「茶色の服の男」 アガサ・クリスティー 中村能三訳 ハヤカワ文庫 |
その6)南アフリカ共和国
この作品には当然のことながら南アフリカ共和国の地名が多くでてきます。下の地図を参考に位置を確認して下さい。
| ケープタウン | (p144) | 南西部にある南アフリカ最大の港町 |
| ダーバン | (p144) | 南東部にある海岸リゾート |
| マウント・ネルソン・ホテル | (p144) | ケープタウンに実在する19世紀の英国調の5つ星ホテル |
| テーブル・マウンテン | (p160) | ケープタウンの市街地を囲むようにしてそびえる岩山 |
| ヨハネスブルグ | (p206) | 北東部にある南アフリカ最大の都市で金生産の中心地 |
| キンバリー | (p207) | 中央部にある世界的に有名なダイヤモンド発掘の中心地 |
その7)暗号解決部の校正ミス(p314)
ハヤカワミステリ文庫では冒頭に出て来る暗号が最後に解き明かされる部分で決定的な校正ミスまたは訳ミスを犯しています。これでは暗号の本当の意味が何だか判りません。多くの方が「おかしい」と気づくでしょう。もちろん原書は正しく書かれていますし、創元推理文庫も正しく訳しています。是非修正して欲しいですね。
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| 「茶色の服を着た男」 アガサ・クリスティ 向後英一訳 創元推理文庫 1987年4月10日 31版 イラスト:ひらいたかこ |
「茶色の服を着た男」 アガサ・クリスチィ 向後英一訳 創元推理文庫 1982年9月17日 28版 |
南アフリカ共和国地図
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