Crooked House

「ねじれた家」

アガサ・クリスティ

1949

★★★★

Collins Crime Club 1st edition in UK


あらすじ
 奇妙にねじれた家に住む一家の主が毒殺された。殺された主は大富豪で、遺産は妻や子、孫に配分される予定だったが、肝心の遺言書が行方不明になっていた。妻は主より何十歳も若く、家庭教師と恋愛関係にあるとも噂されていた。果たして遺産目当ての殺人だったのか?被害者の孫と婚約したチャールズがロンドン警視庁の父の命を受けてねじれた家に乗り込んだ。

感想
 クリスティが晩年に得意としましたが、ほぼ登場人物の会話によって物語が構成されています。不必要な描写を省き、核心である殺人事件の終始を、家族の口を使うことにより見事に表現しています。多少人物描写に難があるとは思いますが、「娯楽としてのミステリここにあり」という感がとてもしました。エンディングもすばらしく、読み易い一冊です。

おまけ

 その1)マザー・グース(p9,p31)
 題名になっているマザー・グースの歌です。
ねじれた男がいて、ねじれた道を歩いていった
ねじれた垣根で、ねじれた銀貨を拾った
男はねじれた鼠をつかまえるねじれた猫を持っていた
そしてみんな一緒にちいさなねじれた家に住んでたよ
There was a crooked man and he went a crooked mile.
He found a crooked sixpence beside a crooked stile.
He had a crooked cat which caught a crooked mouse,
And they all lived together in a little crooked house.


 その2)エゼリン(eserin)(p28)
 別名フィゾスチグミン(physostigmine)。西アフリカ、ギニアのカラバル川流域に産するマメ科の植物physostigma venesumの種子に含有されるアルカロイドで、かつてギニアの原住民の間でこの豆を裁判に用い、食べて死亡すれば有罪、助かれば無罪になったそうです。

 その3)ボルジア家(p46)
 毒殺の例えとしてクリスティがよく引用します。その家系の悲劇は「カリブ海の秘密」に詳しく書いています。
 その4)クリスティの中のシェイクスピア(p128)
 「レディーマクベス」が例えられていますが、「マクベス」はクリスティが最も引用する作品の1つでしょう。
「ねじれた家」
アガサ・クリスティー
田村隆一訳
ハヤカワ文庫

 その5)口述録音機(p161)
 「アクロイド殺し」で有名なディクタホンのことです。


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