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The Pale Horse |
| Collins Crime Club 1st edition in UK |
あらすじ
近くの子供に呼ばれて神父がアパートを訪ねたら、ある女性が死にかけていて懺悔をしたいと言う。息を引き取るのを見守った神父は帰りがけに喫茶店に立ち寄り、そこで何かを書き留めた。そして喫茶店を出た後、何者かに殺された。神父が書き留めた紙は靴の中に隠して有り無事だった。そこには9人の名前が書かれており、その内の何人かはすでに死んでいる。果たして名前の謎は?
感想
説明文が長く、会話が他の作品と比べて少ないので少し読みづらいですが、結末には驚かされます。物語の展開にあまり起伏がありませんが、最後にストンと落としてくれます。ある意味で、途中が平坦だからこそ、最後の穴が効いて来るのかもしれません。リストに載っていた人物達に関しての結末には不満な点が少しあります。オリヴァ夫人の活躍も、もっと見たかったです。
おまけ
| その1)蒼ざめた馬 題名の「蒼ざめた馬」は訳者あとがきにも書かれている通り、聖書のヨハネ黙示録からの引用です。詳しく述べたいところですが、訳者も物語の中での牧師夫人の言葉に委ねているので、ここでは省略します。 その2)作家オリヴァ夫人 (p21) 「死者のあやまち」(1956)で40以上あった彼女の作品は、ここでは55作と言っています。5年間で15作書いたのだとすると、りっぱです。また、クリスティ自身の気持ちを代弁するかのように「そりゃわたしも小説の中では幾度も大犯罪者を−大犯罪者に近い人間を−創りましたよ。ところが実際にはそれがだんだん困難になってゆくのです。そういう人間の真の姿を知らないうちは、堂々とした人物にしておけても、いったん内情がわかってしまうとね−なんだかいやにくだらない人間に思えてきて。」と発言します(p91)。なお56作品目の題は「白いオウム」だそうです(p329)。 その3)「マクベス」と「ハムレット」と「から騒ぎ」(p55-p58,p170,p332) イースターブルック達が「マクベス」を観劇してきた後の会話がなされます。わりと詳しく会話されており、やはり何度も「マクベス」を観たイギリスの人達でも魔女の演出に興味を持つんだと感心させられました。また「ハムレット」の以下の一節も引用されています。
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| その4)暖炉の奥の子供 (p59) 「親指のうずき」でタペンスが、老女が「暖炉の奥に子供が埋められている」と言うことを経験しますが、この作品でデーヴィッドが全く同じ経験しています。ただタペンスの場合11時10分と聞きますが、デーヴィッドは12時10分と聞く違いがあります。クリスティは同じネタを使ったことに気づかなかったのでしょうか? |
「蒼ざめた馬」 アガサ・クリスティー 橋本福夫訳 ハヤカワ文庫 |
その5)イギリスの通貨 (p77)
ポンドの歴史は8世紀にまでさかのぼります。当時のアングロ・サクソン時代にはスターリングとかペニーと呼ばれていた銀貨鋳造されていました。そして1ポンドの銀からその銀貨240枚が鋳造されたのです。ノルマン人のイギリスへの新入後、この銀貨を継承し、古代ローマの度量衡や貨幣の単位であるリブラ(Libra)、ソリドゥス(Solidus)、デナリウス(Denarius)をそれぞれポンド、シリング、ペニーと対応させ、1ポンド=20シリング=240ペンスとしました(1971年2月13日まで)。ポンド、シリング、ペニーの略称である£(またはlb、s、dはそれぞれLibra、Solidus、Denariusからきているそうです。さて、イースターブルックが1本5シリングのバラを6本と、7シリング6ペンスのアスパラガスの葉を買った訳ですから、合計37シリング6ペンスになるはずです。ところがポニーは35シリングと間違えたばかりでなく、イースターブルックが2ポンド(つまり40シリング)払ったのに対して、おつり5シリングのはずを6シリング渡してしまったわけです。
その5)ボルジア家 (p103)
詳しくは「カリブ海の秘密」に書いていますが、ボルジア家とは、15〜16世紀のイタリア政治史を飾る名門で、その家庭内殺人の疑いから毒殺の代名詞にもなっています。
その6)現実の事件
「蒼ざめた馬」の物語が現実になったことが3度ありました。
1)出版から10年後のハートフォードシャーで起きました。これに関与した法医学者が「蒼ざめた馬」を読んでいて発覚しました。
2)1975年に南アフリカで起きます。しかし未遂に終わっています。犯人が本を読んで止めたそうです。
3)医者も診断をつけかねていた病気の子供の命が、看護婦が小説内容に似ている事に気づき、一命を取り留めたとのことです。
クリスティは特に1)の事件に関してとても悲観していました。自分がこの小説を書いたために実際に人が死んだと自責の念にかられたためです。
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THE PALE HORSE Agatha Christie "The great master of crime fiction in action once more. For sheer contri- vance the plot could not be bettered snd the superb craftmanship shows no sign of failing. The suspense and quite feverish interest are sustained to the very end." LORD BIRKETT |
| Rear Dust Jacket of "The Mirror Crack'd from Side to Side" Collins Crime Club 1st edition in UK |
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