The Dying Alderman

「議会に死体」


ヘンリー・ウェイド


1930

★★★
原書房
武藤崇恵訳

 自治都市クウェンバラの市議会が休憩に入った直後、議場に残っていた財政委員長のベイジル・トラントが首をナイフで刺され死んでいるのがトラント夫人によって発見されます。トラントは参事会員席でうつ伏して死んでおり、机上の書類には鉛筆で書かれたダイイング・メッセージが残されていました。トラントが殺された時間は議会休憩中の数分間に絞られ、そのとき市議会場にいた人物が容疑者となりました。

 主要な警察官が三人(頑固地元警視、新任地元警察本部長、若手ヤード警部)登場するが、三人が一致協力して事件の捜査をしている訳では無く、お互いに微妙な間合いを保ちながら、それぞれが独自の見解を持っているため、誰が真犯人を突き止めるかが興味のポイントとなっています。容疑者が限られたなかでの、アリバイ崩し、ダイイング・メッセージ、どんでん返し、とお楽しみ満載です。

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