Anything You Say Can and
Will Be Used Against You


「あなたに不利な証拠として」


ローリー・リン・ドラモンド


2004

★★★★
早川書房
駒月雅子訳

 女性警察官五人の働く姿を描いた傑作短編集です。著者自身が元警察官であり、さらに多くの警察関係者の助言を得ているため、フィクションでありながら限りなくリアルに近い世界がそこには描かれています。事件そのものが物語の軸ではなく、事件に関わった女性たちの勇気や葛藤・挫折など彼女たちの心の動きがあふれんばかりの筆力で描かれています。キャシーの一遍「傷跡」は2005年度MWA最優秀短編賞に輝いています。

Katherine
キャサリン
「完全」「味、感触、視覚、音、匂い」「キャサリンへの挽歌」

女性警察官キャサリンはレストランに強盗に入った男を追い詰め、拳銃を向けて止まるよう命令します。しかし男はその命令を無視し、銃とナイフを手にして近づいてきたため、キャサリンは男に向けて発砲をします。

Liz
リズ
「告白」「場所」

深夜のパトロールを行っていたリズは交通事故の現場に出動させられます。被害者は頭部に重傷を負っており、リズはなんとか助けようと、被害者の砕けた頭蓋骨を両手で押さえます。

Mona
モナ
「制圧」「銃の掃除」

病室でひとりの男が拳銃を持って威嚇しており、モナがその男の説得にあたります。男の兄は射殺されており、男の父親は酸素吸入器と点滴をつけてベッドに横になっていました。

Cathy
キャシー
「傷跡」

ひとりの女性が男に暴行された上、胸をナイフで刺され重傷を負う事件が発生し、〈被害者サービス〉のキャシーがその被害女性の心のケアにあたります。しかし警察は事件はその女性の狂言だと結論づけるのです。

Sarah
サラ
「生きている死者」「わたしがいた場所」

女性が自宅で殺害され、被害者を弔うために女性警察官たちは私的に集まって黙祷を捧げていました。そこへ容疑者である女性の夫が現われ、女性警察官たちに緊張が走ります。

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