「絡新婦の理」

京極夏彦

★★★★★


あらすじ
 次々と起こる連続目潰し殺人事件。殺されたのは全て女性、しかしその女性 の間には何の関係も見当たらなかった。またもや単独で捜査を始める木場修こと 木場修太郎。しかし容疑者に友人の名が・・・。一方敬虔なる基督教女子中学校 で起きる呪いによるといわれる教師の死。さてさて我らが京極堂こと中善寺秋彦 の憑き物落としはいかなる結果をもたらすか?

感想
 確かにおもしろい。文句なしに5つ星だし、96年のNo.1です。是非読 んで下さい。厚いし、押さえる手が最初の方は疲れるが、途中からそれを忘れる 位に物語に引き込まれます。これだけ厚いのに話に無駄がありません。次から次 に話は進みます。他のホームページでも論議されているように、映画を見るよう に話は進みます。起承転結がはっきりしており、導入、登場人物、屋敷等「はい 、映画化して下さい」と言わんばかりです。多くの人が語る「京極堂と桜」もい い感じです。ただ個人的には映画化は反対です。これを映像化し俳優が演じ既成 概念を植え付けられると京極のとても魅力ある登場人物が自分の中で変化してし まいそうでイヤなのです。それはさておき、これだけ京極の本がおもしろい原因 の一つは「兎に角」登場人物のキャラクターによるものと断言できます。見事で す。新作を読みたくなるのも、また彼らに会いたいからなのでしょう。こういう 登場人物を魅力的にするのは最近の日本の新本格と呼ばれる人達には少ないです (彼らはトリックに重点を置いているからだと思います)。だからこんなにも京 極夏彦がベストセラーになるのでしょう。最後にこの本を読む方は絶対今までの 4作を読んでからにしましょう。最低でも「うぶめ」と「もうりょう」は必須で す。そうしないと結末に面白味を欠きますよ。だって・・・・・。


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