世界探偵小説全集12 Murder in the Basement 「地下室の殺人」 アントニイ・バークリー 1932 ★★★ | |
国書刊行会 佐藤弓生訳 |
あらすじ
新婚の夫婦が引っ越してきた新居の地下室から、死後数ヶ月たった女性の死体が発見される。目立った遺留品も無く、警察は被害者を特定出来ず五里霧中だったが、探偵ロジャー・シェリンガムの協力により、ある学校に努める教師だと判明する。被害者は当時妊娠しており、その父親が犯人と目された。
感想
構成の妙、スピーディな展開が賞賛に価します。互いにうまく絡み合っており、飽きることなくページをめくることができます。エンディングも、大袈裟に犯人当てがなされるのでは無く、裏側にある真実を垣間みるという少し変わった形をとっています。巻末の解説を読めば判りますが、本書を単独の作品とは見ずに、シェリンガムとモーズビー警部が登場する一連の作品群の中での一作品という捉え方をすれば、納得できるのかもしれません。
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