世界探偵小説全集16

Hamlet Revenge!

「ハムレット復讐せよ」


マイクル・イネス


1937

★★★
国書刊行会
滝口達也訳


あらすじ
 イギリス有数の大邸宅で各界の名士を集めシィクスピアの「ハムレット」が上演されることとなった。英国を代表する面々が集まったその公演中に出演者の一人でもあるイギリス大法官が銃殺される。「ハムレット」にかかわる事件の予告状もいくつか来ていた。捜査にあたるアプルビイ警部は英首相から国家機密情報が裏で動いていたことを知らされる。果たして殺人事件と国家機密情報に関わりはあるのか?

感想
 これほどまでにシェイクスピアに彩られたミステリーがあったでしょうか?英文学者でもあった著者の学識がいたるところにちりばめられています。まるで大学で英文学の講義を聞いているかのように難解な言葉で語りかけてきます。前半は登場人物の過多もあり良く理解できない状態が続きますが、読了後にはそこに隠されていた伏線にうなされるでしょう。事件直後のアプルビイ警部の捜査方法には難癖をつけたくなります。

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