世界探偵小説全集10 The Man Who Slept All Day 「眠りをむさぼり すぎた男」 クレイグ・ライス 1942 ★★★ | |
国書刊行会 森英俊訳 |
あらすじ
週末パーティーに呼ばれた7名の男女。招待主は兄弟の富豪だった。朝、目が覚めて女相続人マリリーが見たものはは招待主の弟の死体だった。しかし、その事実を他の客に告げられないマリリー。そして次にその死体を発見した者もその事実を隠すのだった。そしてまた次の人物も・・・。
感想
クレイグ・ライスと言えば、「大あたり殺人事件」や「大はずれ殺人事件」が有名ですが、この一作も隠れた名作だと思います。ネタバレしないぎりぎりで話すると、全員が死体を発見しておきながら、誰もそれを漏らさず隠し通すという物語の進行は他に無いプロットだと思います。本の終盤まで「いつ死体がばれるの?」という興味を持ち続けさせ、一気に結末を迎えます。ただ会話の主体が次から次へ変わるので、ちょっと「今誰?」と思ってしまう時もあります。女性作家ならではのやさしいお話です。ちなみにこの作品は「大あたり殺人事件」に出てくるモーナ・マクレーンの屋敷の泊り客の名前に由来しているマイケル・ヴェニング名義で発表されていました。でもなんでマイケルっていう男名にしたのだろう?
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