世界探偵小説全集24

The Red Right Hand

「赤い右手」


J・T・ロジャーズ


1945

★★★
国書刊行会
夏来健次訳


あらすじ
 これから結婚しようとしていた若い男女がヒッチハイカーである不審な男を車に載せる。その男はボロボロの服をまとい、眼は赤く、耳が裂けていた。その後カップルの男の方が、この不審な男により数マイル離れたところまで連れて行かれ殺される。そして何故か死体から右手が無くなっていた。その後も付近で次から次へと起きる連続殺人。果たしてこの異常殺人の実体は?

感想
 作者が読者を混乱させようと行なった行為にはまり過ぎてしまい、混乱したまま読了してしまった。ミス・ディレクションのテクニックは見事であるけれども、解決編ぐらいは事件全体を整理して読者を納得させてほしかった。そう言う意味では巻末の小林晋氏の物語の再構成が非常に良くできており、理解の助けになった。勢いのある作品であることには間違いないでしょう。

「閲覧室」へ戻る