世界探偵小説全集40

The Fashion in Shrouds

「屍衣の流行」


マージェリー・アリンガム


1938

★★★
国書刊行会
小林晋訳


あらすじ
 女優ジョージア・ウェルズの婚約者で、三年前に失踪してから行方不明になっていたリチャード・ポートランド-スミスが白骨死体となって発見されます。そのニュースに動揺するジョージア・ウェルズ。彼女は既にレイモンド・ラミリーズと結婚しており、航空機会社社長アラン・デルとも仲のいい関係を築いていました。それから数週間後、アフリカに向かうレイモンド・ラミリーズの歓送会で、今度はレイモンド・ラミリーズが謎の死を遂げるのです。

感想
 事件の中心人物となる女優ジョージア・ウェルズ、ファッション・デザイナーでキャンピオンの妹ヴァル・フェリス、それとアラン・デル航空機会社社員でキャンピオンの婚約者となるアマンダ・フィットン、この三人の女性が物語の中心をなしており、彼女たちの感性がうまく描き分けられ、それぞれの価値観を表現しています。とにかく女性強しという印象を受ける作品です。紆余曲折を経て、それぞれがそれぞれの結末を迎える終わり方も気に入りました。女性たちが忙しく作用するなかで、アルバート・キャンピオンはテコの中心となって事件の真相を見極めます。

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