世界探偵小説全集27

The Body in the Silo

「サイロの死体」


ロナルド・A・ノックス


1933

★★★
国書刊行会
澄木柚訳


あらすじ
 インディスクライバブル社委託の私立探偵マイルズ・ブリードンは妻のアンジェラとともに、ラーストベリに住むハリフォード夫妻のハウスパーティーに招待されます。パーティーの夜、車を使った追いかけっこ<駆け落ち>ゲームが催されるのですが、その翌朝、招待客のひとりがサイロのなかで窒息死しているのが発見されます。自殺か事故死か、はたまた殺人か?死亡推定時刻はちょうど<駆け落ち>ゲームが開かれている最中でした。

感想
 解説にも書かれている通り、『陸橋殺人事件』とは一味違った本格ミステリに仕上がっています。解決編に手がかり索引を施してあるので判るのですが、実に綿密に伏線がひかれています。それも数箇所では無く、事件当夜の関係者の一挙手一投足に意味を持たせているのだから驚きです。しかし、中盤から解決編に向かうまでの盛り上がりに欠けたり、一部の人物が何のために登場しているのか判らなかったりするため、小説としてのおもしろさが減ってしまっているのが残念です。

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