世界探偵小説全集22

The Man from Tibet

「チベットから来た男」


クライド・B・クレイスン


1938

★★
国書刊行会
門倉洸太郎訳


あらすじ
 チベットに関する物のコレクターであるシカゴの大富豪が謎の男からチベットの秘伝書を買う。その直後、秘伝書を売った男はホテルで殺された。時を同じくして、秘伝書の本来の持ち主であるラマ僧も秘伝書を奪還すべくシカゴを訪れていた。このラマ僧も含め、大富豪の家に集まった面々の前で、家主である大富豪が密室のチベットコレクション室で殺される。

感想
 チベットに関して造詣深い作者がその知り得た知識を思う存分生かして書かれたのが本書です。いたるところに散りばめられたチベットやアジア文化に関する記述が特色を出しています。密室や謎の秘伝書などミステリの大道具小道具は揃っているのですが、全体に詰めが甘いです。せっかくの犯人の意外性が今一つ生かされていません。

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