Murder on the Way!

「死の相続」


セオドア・ロスコー


1935

★★★
原書房
横山啓明訳

 パトリシア・デイルは弁護士トゥーセリーネの突然の来訪を受け、タヒチに住む伯父イーライ・プラウドフットが殺害されたことを告げられます。そしてパトリシアはイーライの遺産の相続人の一人であり、葬儀並びに遺言状読み上げの場に出席するよう求められるのです。その遺言とは、ある人物に十万ドル相当の全ての財産を譲るが、その人物は二十四時間はその屋敷を離れてはいけないと条件が付いていました。もし離れた場合は、次の人物に相続権が譲られ、その人物にも同条件が課せられていたのです。結局パトリシアは最後の八番目の相続候補者になっていたのです。そして、その遺言が読み上げられた数時間後、最初の相続人が何者かによって射殺され、さらにその後も相続候補者が次々と殺害されるのです。

 ものすごく勢いのある作品。クセのある相続候補者が紹介されるや否や、アッと言う間に殺害されます。密室のなかで頭頂部を撃ち抜かれていたり、口にボールをくわえたまま胸をビリヤードのキューで刺されたりと、殺害方法も多種多様です。これら本格的な要素に加えて、ヴードゥー教やゾンビ話がからまり、息つく暇なくラストに流れ込みます。さらにロマンスまで取り入れて、最後にはきちんと全ての説明を付けているから驚くほかはありません。

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