Murder by Owl Light

「フクロウは夜ふかしをする」

コリン・ホルト・ソーヤー


1992

★★★
創元推理文庫
中村有希訳

 老人ホーム<海の上のカムデン>で働く庭師ロロが、雑草を刈るための大ばさみで刺殺されます。ちょうどその1週間前、カムデンの自動販売機を管理していた男も何者かによって背後からナイフで刺され死んでおり、カムデンはこの連続殺人事件の話題で持ちきりになります。一方、カムデンの新入居者リナ・ガーデナーは何かと寂しがってばかり、歓迎会ではアンジェラの付けていたブローチを自分の物だと主張して甥に部屋まで連れ戻される始末。そんなカムデンを仕切っているのは、やはりキャレドニアとアンジェラのコンビ。いつものマーティネス警部補に代わって捜査をしているベンソン部長刑事を困らせて、自分達なりの捜査を開始します。

 快調に飛ばす「老人たちの生活と推理」シリーズ第三弾。相変わらずテンポが良く、洒落っ気たっぷりなところが読んでいて実に楽しいです。ウェートレスのチータと警部補助手の<ちびすけ>スワンソンとの恋の進展などサブ・ストーリーもしっかりと描かれており、シリーズを意識していることが良く判ります。ミステリ的には不満な点がありますが、老人ホームを舞台にするというオリジナリティが気に入っているので、引き続き読んでみたいと思っています。

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