Too Soon to Die

「死はあまりにも早く」

ヘンリー・ウェイド


1953

★★★
ROM叢書
小林晋訳

 ジョン・ジェロッド大佐は医師から肝臓癌と診断され、余命六ヶ月と宣言されます。大佐はジェロッド家の財産を既に息子のグラントに譲っており、莫大な相続税を免れるためには大佐自身があと九ヶ月生存しなければなりませんでした。なんとしてでもジェロッド家の財産を守りたい父子は、大佐が六ヵ月後に死亡しても、九ヶ月後まで生きていたように偽装する計画を立てます。

 ユニークな設定で、最後まで読者を飽きさせません。まず、倒叙物と思わせておきながら肝心なところをぼかして書いてあり、結末でひっくり返るのではとの期待感を持たせています。また、完全犯罪の様相を呈しながら、プール主任警部がいかにして物的証拠を見つけるかも読者を惹きつける要素となっています。視点を変える技術も素晴らしく、追う側追われる側それぞれの心の動きがよく伝わってきます。

 なお本書はROM叢書の第3巻として出版されました。ROM会員以外の方にも販売するそうなので、ご希望の方は以下までお問い合わせください。

 〒175-0082 東京都板橋区高島平3-8-7 キャニオンM第5高島平102号 加瀬義雄氏
 e-mail:debrisk37@hotmail.com

「閲覧室」へ戻る