The Murderer of Sleep

「スリープ村の殺人者」


ミルワード・ケネディ


1932

★★
新樹社
大澤晶訳

 ボートを漕いで川を上ってきたグラント・ニコルソンはスリープ村に上陸するやいなや、絞め殺された村の司祭を発見します。また、ホテル・ベルビュではレディー・トーマスが殺害され、宝石が盗まれる事件がおきます。小さなスリープ村で次々と発生する盗難事件と殺人事件。地元警察は村の一軒家を借りるために外部から来たグラント・ニコルソンが怪しいと考えます。

 何故か読みにくいなあと思っていた時に、日本推理作家協会報の逢坂氏のコーナーを読んではたと気付きました。視点が定まっていないのです。心中を表す場面が多用されているのですが、それが誰の言葉か判らなくなる時が何度もありました。最後に探偵役によって真相が明かされるのですが、推理の過程が全く説明されておらず、犯人の動機も今ひとつ不明確です。川という地形を利用した設定がとてもいいだけに残念です。

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