Puzzle for Wantons

「悪女パズル」

パトリック・クェンティン


1945

★★★★
扶桑社ミステリー
森泉玲子訳

 休暇中のダルース夫妻は女性大富豪ロレーヌ・プレイゲルの招待を受け、彼女の屋敷を訪れていました。ロレーヌの旧友であるドロシー、ジャネット、フルールの三人の女性も招かれており、彼女たちは夫と離婚を検討中という共通点を持っていました。そこへロレーヌが彼女たち三人の夫を連れて現れます。険悪なムードが漂う中、ロレーヌは招待客全員をカジノとダンスに連れ出します。そしてダンスの真っ只中、ドロシーが突然倒れ、そのまま死亡するのです。さらに翌日、今度はジャネットがプールで溺死、その翌日にはフルールが車に乗ったまま崖から転落するのです。

 読み応え抜群のダルース夫妻物です。章のタイトルに女性の名前が付けられ、章ごとにその女性が次々と死んでいくという構成、三件の事件が起きるもどれも殺人事件と断定できない状況、警察に知らせられない状況下でダルース夫妻が独自に事件を捜査する展開、どれもが本格ファンを喜ばせます。複雑な人間関係が様々な伏線を生み出し極上のミステリに仕上がっています。犠牲者の名前が並ぶ章のタイトルの最後がダルースの妻アイリスになっているところも見逃せません。

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