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●「もう一度会えたら」 ジェームズ・ヴァン・プラグ著 光文社 より引用

  人類は高等な存在や天使が実在するものと信じてきました。神話的概念とはいえ地上のわれわれを誰かが見おろしているという考え方は広く受け入れられています。宗教的な文献によれば天使は霊的に進化した存在で天界にいて迫りくる危険や災厄から私たちを守ってくれるといいます。私たちの大半は幼い子供のころに天使の概念を初めて知りました。私たちにはそれぞれ守護天使がいるのだと教えられたのです。

  この守護天使という概念は、組織化された宗教が破棄せずに守ってきた数少ない真理のひとつです。というのも実際にわたしたちには守護天使やガイドがいてわたしたちのために仲介し、私たちの地上の任務を援助してくれるからです。ただし、しばしば描写されるやり方とは違います。言い換えれば私たちのガイドや天使には翼はありませんし、雲の上に座って竪琴を弾いたりもしていません。こうしたイメージはもともと神話に由来するもので画家たちによって装飾が加えられてきました。実際のところ、翼とは天使を取り囲む美しい色彩の帯のことです。天使のオーラとかエネルギーの場と言ってもいいでしょう。植物や動物、樹木から私たち自身、そしてこの貴い地球までありとあらゆる生命体を取り巻くものです。

●霊のメッセージは微妙で繊細

  ガイドにはさまざまなタイプがありますが、わたしにとっては守護天使もガイドもまったく同じです。わたしたちは生まれる前に人生の行程について克明な青写真を描いてきました。ですから、人生の道筋からそれるとガイドの助けで正しい進路に戻ることができます。個人の霊的な進度の度合いや地上での仕事に応じてわたしたちは三つの異なるカテゴリーからヘルパーたちを招き寄せるのです。

  第一のカテゴリーはパーソナル・ガイドです。前世や親しみを共有する中間生で知り合いだった人々です。このガイドたちは霊的領域からわたしたちの心に働きかけ、わたしたちをある状況に関連づけようと誘導します。このような印象を受けたらそれが霊的ガイドからのサインです。たいていの場合こうした指示は微妙でとらえにくく、気づかないで終わります。しかしじっくりと耳を傾けながら一日を振り返れば霊のメッセージが見えたり聞こえたりするようになるかもしれません。

  大半の人びとにとっては霊からのガイダンスを感じ取ることは簡単ではありません。大天使ガブリエルが角笛を吹き鳴らすような華々しい指令を望んだり、期待してしまうからです。残念ですがそんなふうにはいきません。メッセージやガイダンスは微妙で繊細な働きかけなのです。

  霊の交信がどのように行なわれるか、一般的な例をお話ししましょう。木曜日です。あなたにはビジネスのパートナーになるかもしれない人物と面会の約束があります。途中であなたは相手の住所をなくしてしまうか、あるいは場所を探しているうちに迷ってしまいました。土地勘のある街なのでこれは妙です。三十分ばかり車を走らせてようやく相手の建物を見つけましたが今度は駐車場がありません。数ブロックも離れたところでやっと見つかりました。建物に到着すると正面玄関に鍵がかかっていて別の入り口を探します。警備員にドアを開けてもらいました。エレベーターで目的の階に向かいます。エレベーターを降りるとオフィスは施錠されていて別の階の別のオフィス指示するメモがドアに貼り付けてありました。やっとのことでそのオフィスを見つけ将来のビジネスパートナーと会います。話の内容を聞きながらそのあいだじゅう、胃にさしこむような不快感を覚えて仕方ありませんでした。何かを感じるのですがそれがなんなのかはっきりしません。それでもあなたは彼とのビジネスを承諾してしまいます。数ヶ月後、貯金を全額投資したあげく新しいパートナーにお金をすべて持ち逃げされ結局は詐欺にひっかかったのだと気づくのです。

  ずいぶん極端な例を持ちだしてしまいましたが霊のガイダンスの働きを端的に示したかったのです。この話にはひとつのパターンがあります。…道を間違えたり方向が違っていたり、ドアが閉まっていたり。この微妙な手がかりを少し検討してみればきっと気づいたでしょう。誰かが何かを訴えようとしている!そうです、あなたの霊的ガイドが警告を送ろうとしていたのです!

  残念なことにわたしたちは濃い霧に包まれて人生を送っているようなもので頭をバットで一撃でもされない限り周囲のできごとにはなかなか気づかないものなのです。

  一方霊の交信がこんなふうにうまく働く場合もあります。あなたは前々から仕事を探していますが運には恵まれません。そんなとき長らく音信不通だった友人から電話が入り昼食に誘われました。手帳を調べてみると彼女の指定した日は唯一ほかに予定の入っていない日でした。彼女に会ってみると久しぶりという感じがまったくしません。何もかも最高の気分です。求職中の苦しい身の上を話したところ、わたしも心当たりを探してみるわと言ってくれました。その翌日ふたたび電話がかかってきて近くの部署で求人が出たと知らせてくれます。早速あなたは友人の紹介だと告げて面接を申し込みます。翌日には面接してもらえることになりました。あなたは充分ゆとりを持って面接に出向きます。面接のさいちゅう、いつもはいない部長がたまたま居合わせ、その場であなたに会います。彼女はあなたを気に入ってくれました。そしてあなたはめでたく就職できたのです。

  違いがおわかりですか?二番目の例ではすべてがとんとん拍子に運んでいきます。わたしは偶然とかツキといったようなものを信じません。霊的ガイドがわたしたちのふさわしいところへ導いてくれるのです。この求職中の女性は霊のサインに従って行動しました。友人に会わないという決断もできたのに自分の意志で会うことを選んだのです。彼女のガイドがたえず働きかけていてそれに従う分別が彼女にはあったのです。あとは勝手に収まってしまったという感じですね。

  かつてロサンジェルスで会った霊能者のひとりは非常に深遠なことを話してれました。わたしは今でも鮮明に覚えています。それをここにご紹介しましょう。「何もかも順調で何の不調もないようであればあなたは霊に心を開いてそのガイダンスに従っているのだ。反対に何一つうまくいかないと思うならあなたはガイドに耳を傾けていないわけだから結局は道を誤ってしまうだろう」まさにそのとおりです。

  パーソナルガイドはあなたがこの世で知っていた人物の場合があります。たとえば母親や父親、祖父母、あるいはすでに霊の世界に去った友人。人は亡くなってもあなたのことをずっと忘れません。現世で培われた愛の絆は霊界でも続くのです。

  天国に行った霊はそこでみずからの人生を振り返り、生きている間にもっとあなたを助ければよかったと考えます。その機会がめぐってきたわけですから、霊はそれを最大限に活用してあなたを援助してくれるでしょう。日常の出来事や家族の心配事を助けてくれたり、あるいはあなた自身の心の動揺や変化に支援の手を差しのべてくれるかもしれません。

  パーソナルガイドは日常生活のなかで私たちを導こうと熱心に働きかけ、状況を改善する最良の方法をなんとか示そうと努力します。けれどもその一方で現世のわたしたちはさまざまな教訓や難題を経験することによって学習したり向上したりするわけですから最愛の霊といえどもそれに干渉することはできないのです。

  わたしたちの学習過程は決して容易ではありません。困難な状況や人生の試練からわたしたちが最大の恩恵を得られるように、ガイドがただ傍観し、わたしたち自身の決断を見守っている場合も多いのです。時には耐え難い場合もありますが、そういうときにこそわたしたちは最も大きなことを学び取るのです。

  そうしたガイドはいつもわたしたちのそばにいるのか、それともわたしたちの方から手を伸ばして来てくれるようにように頼まなければいけないのか、とたくさんの方から質問されます。わたしの答えはこうです。わたしたちは決してひとりではない。ガイドは常にわたしたちのすぐそばにいます。わたしたちを見守り、援助するのが彼ら霊の務めなのです。わたしたちが関わる課題に応じてガイドは時々代わるかもしれません。けれども、わたしたちのほうから呼ぶ必要はないのです。彼らはわたしたちの求めをわかっていますし、いつでも喜んで手を貸してくれるからです。

  第二のカテゴリーは熟練技能、あるいは専門知識を持つヘルパーです。わたしたちが従事している活動や仕事に関して導いてくれる霊たちです。この専門ガイドはわたしたちが努力して取り組んでいる分野の専門知識を持っています。たいていは特定の知識分野でのエキスパートです。たとえばあなたがミステリー小説を書こうと決心すると同じ分野の著作活動に従事していたか、もしくは専門としていた作家の霊がその決意に引き寄せられてきます。このガイドが創作活動を高める方法や着想の活用法をあなたの心に吹き込んでくれるかもしれません。音楽家や芸術家、数学者、科学者、教師、ソーシャルワーカーといった人々にもこれはあてはまります。あなたが助力を求めればその分野のガイドたちが来てくれるでしょう。印象やフィーリングをあるがままに受け入れれば受け入れるほど、有効なメッセージが伝わり、好結果が生まれます。これはすべての人にあてはまります。どれだけ受け入れられるか、その一点にかかっているのです。あらゆる作品、特に偉大な大家たちのそれは霊界からの霊感を受けているのです。

  なぜガイドたちはわたしたちを助けたいのでしょうか?答えは簡単。それが自然だからです。霊の世界に移ると、わたしたちはすべて平等なのだと強く意識するようになります。人類が成長し、学習し、同じ考えを分かち合い、向上できるように、なんとか助けたい。霊的ガイドは自分たちの想念を人類に伝え、援助することで、あらゆるものに内在する霊的エネルギーに人類が同調できるように助けるのです。繰り返しになりますが、わたしたちがどれだ心を開いているかによって畏敬の念を感じずにはいられないほどすばらしいインスピレーションがもたらされることもあるでしょうし、そうでなければ霊は気づいてもらうまで辛抱強く待っているかもしれません。

  第三のカテゴリーに属するヘルパーは霊の教師あるいはマスターです。彼らは霊的に極めて高い存在で、物質界には生きたことがないかもしれませんし、何度も転生を重ねながら、なんらかの霊的な仕事に携わっていたのかもしれません。他のガイドたちと同様、わたしたちの霊的な発達や理解度に応じて引き寄せられてきます。霊の教師はわたしたちの霊的な進歩を助けたいと強く願っています。霊的な才能や可能性を与えようとする場合も多いのです。霊的啓蒙の途上にあるものにとってこのガイダンスははかりしれない恩恵となります。

  転生を繰り返して魂を進化させていくわたしたちには、たいてい一人か二人のマスターが一貫して付き添ってくれるでしょう。わたしたちの霊的自己に同調し、わたしたちが物質界で過ごすあいだは霊的な成長を助け、中間生でも援助してくれます。しかも個々の生においてはそれぞれにマスターガイドが現れるでしょう。やはりわたしたちの魂の進化の度合いに応じてガイドが惹きつけられ重要な教訓や人格の諸相の改善を手助けしてくれます。たとえばガイドの導きで無条件の愛を学べるかもしれません。「生徒の心構えが整うと教師が現れる」というのはまさに真実です。(P61〜P69)

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