妊娠後賢く退職する法

雇用保険、健康保険の知識があれば、損をせず賢く退職することができます。


はじめに

できれば、子どもができても細く長く働く方法がないか考えて欲しいと思います。
周りの三歳児神話に迷いを感じるかもしれません。でも、先輩のワーキングマザーたちは、 三歳児神話に疑問をなげかけています。また、育児不安や育児ノイローゼは、専業主婦に 多く見られるという調査結果もでています(平成10年度厚生省白書P84)。
今は妊娠・育児に関する制度も整いつつあるので、やるだけのことをやってそれでも駄目なら 退職するという選択肢もあります。
辞めた後に、あの時仕事を続けていればよかったと後悔することがないように、 まずは、自分のこれからの人生をどうしたいのか考えてから退職を選択してください。
育児の専念したい方、さまざまな理由で退職せざるをえない方は、今まで働いてきて得た権利を 無駄にしないよう、賢く退職してくださいね。

”VOICE!”で 三歳児神話をどう思う? に 9人の先輩ワーキングマザーの声がよせられました。 こちらをご覧ください。


保険のしくみ・相談先

自分の給与明細所をみると、保険料、税金がひかれていますよね。 まずは、大事な4つの保険のしくみをお勉強しましょ。

※短時間の労働者・・・週20時間未満、年収見込み90万円未満、雇用期間が1 年未満と見込まれる場合
  労災保険 雇用保険 健康保険 厚生年金保険
適用される事業 株式会社や有限会社など法人がおこなう事業。 個人経営の場合に一部の事業は適用されないこともある
被保険者 適用事業所で働くすべての従業員 ※短時間の労働者以外の従業員 臨時または季節的業務に使用される者を除いて、 適用事業所で働くすべての従業員
保険料負担 会社 会社と従業員が一定の割合で負担しあう
保険給付が受けられるケース 仕事中や通勤中のケガ、病気、死亡など 失業した場合など 仕事中以外のケガ、病気、死亡、出産など 老齢、障害、死亡など
保険給付の種類 療養(補償)給付、休業(補償)給付、障害(補償)給付など 失業給付(求職者給付、就職促進給付)、育児休業給付など 療養の給付、傷病手当金、出産手当金など 老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金など
退職後の手続 脱退 ‘労災’とは無関係 脱退 職安に行く 脱退 国民健康保険などいずれかの保険に加入 脱退 夫の加入する年金組合あるいは国民年金に加入
問い合わせ窓口 労働基準監督所 職業安定所 社会保険事務所、健康保険組合 社会保険事務所


計画的な退職の準備

雇用保険の失業給付、健康保険の出産手当金などをもらうためには、 知らなかったばかりに損したことにも気づかないということが起こります。
今まで頑張って働いてきたんだもの、せっかく払ってきた保険料のもとをとらなくちゃ。 これらの制度は、たった1日の違いでもらう金額に差が出たりもらえたりもらえなかったりするのです。 まずは、退職すると決めたらその退職するタイミングをおさえましょう。
◆タイミングをおさえるチェック項目◆
1離職日以前の1年間の雇用保険被保険者期間 失業給付の受給資格の有無の分かれ目。6ヶ月過ぎて退職すると失業給付の受給資格があります
2健康保険の被保険者期間 健康保険の被保険者期間が1年以上あり、離職日から6ヶ月以内に出産すると、健康保険の出産手当金の受給資格があります。
出産予定日は遅れることもあるので、6ヶ月より少し余裕をもって退職日を決めるといいです。
3離職日から出産日までの期間


雇用保険 失業給付の手続

退職イコール失業給付の受給資格ありというわけではありません。 まずは「失業の状態であること」が前提です。
知識の有無により、損得がはっきりでますのでよく目を通してくださいね。
妊娠・出産を理由に自己都合退職した場合には、職安が正当な理由と認めると 給付制限なしにすぐに支給されることもあるし、受給期間の延長もできます。

詳しくは雇用保険 失業給付の手続へ
(Sorry! 2001年4月雇用保険法の改正により現在内容を更新準備中)


継続療養給付の手続

退職前に継続した1年以上の健康保険の被保険者期間があり、 退職前から治療を始めている場合、必ず退職日の翌日から10日以内に 手続をしましょう。
保険料はタダ、治療費の自己負担は2割になります。
また、子どもがうまれると、自分の通院でさえしづらくなりますから、 安定期になったら歯科治療やその他必要な治療を受けておきましょう。
継続療養給付の受給期間は、該当する治療の初診日から5年間です。

◆継続療養給付の手続◆
手続き期間 退職の翌日から10日以内
必要書類 健康保険被保険者継続療養受給届
書類提出先 会社所在地を管轄する社会保険事務所
または、加入している健康保険組合


健康保険の手続

継続療養給付の手続きをしても、退職前の病気やケガだけに限定されるので、 いずれかの健康保険に加入する必要があります。
選択肢は以下の3つです。
一番トクなのは、保険料がタダなので夫などの健康保険の被扶養者になることでしょう。 健康保険任意継続は、今まで会社が負担してくれていた分の保険料も払わなければならないので、 支払いは今までの倍になります。 国民健康保険の保険料、医療費負担などを考慮に入れて、選択してください。

◆退職後の健康保険の種類◆
  保険料負担 本人負担 家族負担 備 考
健康保険の被扶養者 なし 入院2割
外来3割
  被扶養者の認定が必要
年収130万円未満
健康保険任意継続 全額 2割 入院2割
外来3割
資格喪失の前日までに継続して2ヶ月以上被保険者であることが条件。 退職日の翌日から20日以内に、組合健保の場合はその事務所で、政府管掌保険の場合居住地の 社会保険事務所で手続き
国民健康保険 全額 3割 3割 保険料は前年度の所得で計算


出産手当金の手続

復職しなくても以下の条件を満たせば支給されます。退職後6ヶ月以内に分娩しなければ支給されないので注意が必要です。 6ヶ月ぎりぎりに退職をして予定日が遅れたら1円も支給されないので、退職予定の人は6ヶ月+数週間 たってから退職した方がいいでしょう。
もし、退職日から6ヶ月たった後に出産しそうな場合は、健康保険を任意継続 するという方法があります。 任意継続すると、保険料はばかにならないのですが、現役扱いになるので出産手当金がもらえます。 ただし、任意継続は退職後20日以内でないと手続きができないので注意が必要です。

支給対象 自分自身が健康保険に1年以上加入していて、退職日から6ヶ月以内に出産した人。
金額産前42日分(双子以上は70日間)、産後56日分の計98日×退職前の標準報酬日額の6割
※(例)給料15万円で、29万4000円
手続法社会保険の加入者は会社を通じて、 会社の経理担当者が知らない場合には、会社を管轄する社会保険事務所に申請する。退職した日から2年以内なら請求できる。 退職した場合は産前・産後まとめて受給することが多いようです。
申請書類には、本人記入欄、事業主が証明する欄、分娩を担当した医師の記入する欄があります。


出産育児一時金の手続

出産育児一時金は、国保にも健保にもある制度。退職後は、 配偶者の扶養に入れば、配偶者出産育児一時金がでます。金額は30万円。 出産は子どもの数に比例、双子なら倍額になります。妊娠して85日以上経過していると、 死産・流産・早産・人工中絶でも対象になります。

◆出産育児一時金の種類◆
出産育児一時金 健保・国保の加入者が出産した場合
配偶者出産育児一時金 健保の被扶養者である妻が出産した場合


年金の手続

年金は強制加入です。退職後年金手帳を渡されたら、きちんと種別の変更の手続きしましょう。 年金制度が信用できないので加入しないという考えもありますが、 交通事故などで障害を負う可能性もあり、加入していれば 障害年金がおります。加入していないと、いくら重い障害を負っても 障害年金はおりません。

◆退職後加入する年金◆
  種別 手続き 保険料
配偶者が会社員または公務員で、厚生年金・共済年金に加入 第3号被保険者として国民年金に加入 配偶者が加入する年金組合に手続き 配偶者の加入する年金から支払われるので保険料は不要
配偶者が国民年金に加入 第1号被保険者として国民年金に加入 市区町村の年金窓口で手続き 平成10年度で月額13300円。毎年500円ずつアップ


確定申告の手続き

年の途中に退職した場合、確定申告して払いすぎた税金を返してもらおう。 2/16〜3/15までに税務署に申告します。出産にまつわる費用の申告とともに お忘れずに。


年次有給休暇のまとめ取り

法的に言えば、有給休暇は基本的にいつでも、好きなだけ、 どのような理由でも自由に取得できます。ですから、以下の条件を満たせば、 退職前の年次有給休暇のまとめ取りは可能です。

ただし、会社側が時季変更権(年次有給取得希望者がいないと 会社の仕事が回らず、業務上重大な支障をきだす場合、取得日を変更してもらう権利) を主張した場合、時季変更権が正当であるかどうかが問題になります。
繁忙期単に人手が足りないという理由では時季変更権は不当ということになるので、 年次有給休暇の取得はできます。

◆有給休暇の権利取得の条件◆
有給休暇の発生の条件
  • 採用されてから半年以上継続して勤務している
  • 前年の全労働日の8割以上出勤している
  • 入社して半年勤務の場合、その間の全労働日の8割以上出勤している
【時季変更権が主張された場合】 【時季変更権が主張されない場合】
その権利が不当(忙しいという理由だけでは業務上重大な支障をきたさない)と判断されれば、
有給休暇取得可能
有給休暇取得可能


とはいっても、退職前はいつも以上に忙しくてとてもじゃないが休みなんて 取れないということもあるかもしれませんね。自分の身体の状態をよくみきわめ、 会社の上司などと相談して取得を考えてください。

有給休暇が残った場合、年休を買い上げてもらえる可能性があります。 一般的に有給休暇は、疲労・ストレスの解消が目的で実際に休まなければ意味がないので、 「有給休暇の買い上げ」は違法なのです。
ただし、以下3つの例外があるので、会社との交渉次第では 可能性がでてきます。

もめる場合には、労働基準監督署に相談を。


住民税の支払い

所得税は先払いですが、住民税は後払いなので、退職後は自分で支払わなければ なりません。市区町村の税金の係から住民税支払いのお知らせが届きます。 前もって心積もりして、お金の準備をお忘れずに。


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