
《ポイント1》
育児・介護休業に関して、必要な事項を就業規則に記載して、これを労働基準監督所に届け出る必要があります。
労働基準監督所においては、常時10人以上の労働者を使用している使用者に対して、就業規則を作成し、これを所轄の労働基準監督長に届け出ること、 就業規則の内容を変更した場合にいても同様に届け出ることを定めています。したがって、常時10人以上の労働者を使用している事業所においては、 育児・介護休業に関して就業規則に記載し、所轄の労働基準監署長に届け出る必要があります。
なお、育児・介護休業等に関する事項を、統一的に就業規則本体中におさめることは困難な場合もあり、また、就業規則があまり大部になることは労働者にとっても 不便ですから、これらに関する事項を別規則にすることも一つの方法です。
別規則にした場合にあっても、就業規則であることに変わりはありませんから、その作成・変更の際には、 所轄の労働基準監署長に届け出る必要があります。
《ポイント2》
育児・介護休業は労働基準法上「休暇」に該当しますから、その取扱いについては就業規則に記載しなければなりません。
1 労働基準法第89条第1号から第3号までに定められている事項(始業・終業の時刻、休日、休暇、賃金、昇給、退職に関する事項等)は、 いわゆる絶対的必要記載事項であり、就業規則に必ず記載しなければなりません。 (1)育児・介護休業法による育児・介護休業もこの「休暇」に該当することから、就業規則に、について記載する必要があります。
- 育児・介護休業の付与要件(対象となる労働者の範囲等)
- 育児・介護休業取得に必要な手続
- 育児・介護休業期間
なお、育児・介護休業法の定めるところにより育児・介護休業を与える旨の定めがあれば、 これらの記載を省略することができます。
(2)賃金に関する事項については、
について記載する必要があります。
- 育児・介護休業中の賃金の支払の有無
- 育児・介護休業期間中に通常の就労時と異なる賃金が支払われる場合には、
イ、その決定、計算及びその支払方法
ロ、賃金の締切り及び支払時期
2 1歳に満たない子を養育する労働者で育児休業をしない者又は要介護状態にある対象家族を介護する労働者で 介護休業をしない者について設ける短時間勤務の制度、時差出勤の制度等(育児・介護休業法第19条第1項及び第2項並びに 「育児休業、介護休業等育児又は家族の介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(以下「則」という。) 第34条第1項及び第2項)については、始業及び終業の事項等について記載する必要があります。
《ポイント3》
育児・介護休業期間中の教育訓練や育児・介護休業後の臨時の賃金等について定めをする 場合には、これらについても記載しなければなりません。
労働基準法第89条第3号の2から第10号までに定められている事項(退職手当、賞与等臨時の賃金、職業訓練等の定め及びその他労働者のすべてに適用される定め)は、 その定めをする場合においては就業規則に記載しなければならないいわゆる相対的必要記載事項ですから、育児・介護休業期間中の教育訓練や賞与等臨時の賃金等について定めをする 場合には、それらに関する事項を就業規則に記載する必要があります。
《ポイント4》
育児・介護休業制度について、育児・介護休業法の条件を下回る、より厳しい条件を設けた取り決めをした就業規則の当該部分は無効と解されます。
育児・介護休業法に示された育児・介護休業の制度は、労働者の権利としての最低基準を定めたものです。 したがって、休業期間に関して、育児・介護休業法の内容を上回るような制度を設けることは自由であり、むしろ、事業主に対して、そのような努力が求められています。
しかし、逆に、休業期間等について厳しい条件を設けることによって、育児・介護休業法に定められた最低基準を下回るような制度を設けることは許されず、このような取り決めをした 就業規則の当該部分は無効と解されます。
《ポイント5》
事業主は、労働者が育児・介護休業の申出をしたこと又は育児・介護休業をしたこと理由として解雇することはできません。
(1)育児・介護休業の申出をしたこと又は育児・介護休業を実際にしたこと理由として行う労働者に対する解雇の意思表示は無効と解されます。
(2)「理由として」とは、育児・介護休業の申出をしたこと又は実際に育児・介護休業をしたことが、事業主が行う解雇と因果関係があるという意であり、 育児・介護休業期間中の解雇をすべて禁止する趣旨ではありません。