いかだの作り方


このコーナーでは、狛江市の古代カップ多摩川いかだレースに出場するためのいかだの基本的な作り方を紹介しています。
これから出場を検討している人や作ったけど上手く浮かばなかったという人は、参考にどうぞ。
なお、いかだレースの参加加規定は、こちらを参照して下さい。

 7/20現在の多摩川の状況

  多摩川の四季 第12回多摩川いかだレース デジタル写真館へのリンクです。
 大量の画像データがあります。


まず、いかだレースに出場するに当たって、レース部門に参加するか、企画部門に参加するかを決めなければいけません。
レース部門ならスピードを出すために、いかだは出来るだけ細く、企画部門なら安定させるために、ある程度の幅を持たせる必要があります。
おおまかな検討項目は、以下のようになりますので参照下さい。

1.乗員数の決定

これは、参加者の好みで良いですが、お祭りなので多い方が楽しいです。
大物を造る予定の場合は、人数は多い方が疲労が少なく、スピードを求める場合は、これといった決まりは無く、コースコンディションによって、有利不利は変化してくると思いますので、上位を狙う場合は向かい風に対応するためにも4人以上で漕ぐのがお薦めです。
なお、近年のレースを見るとスタート地点周辺の水量が少ない場合が多いので、4人と5人のどちらにするか判断が難しいところですが、データがないので、どちらの方が良いか定量的な判断基準が無いのが辛いところですが、結果から見ると3人組による上位入賞はきびしそうです。

2.いかだ大きさの決定

乗員の数によって、いかだの寸法が変わります。3人ならば3人分の、5人ならば5人分の体重を支えられるだけの浮力が必要となります。
大人の場合、平均体重60kgとすると、3人で180kg、5人で300kgの浮力が必要で、いかだが水に浮くようにするには、いかだの容積がいかだと乗員の重量を足したものより多くなければなりません。
いかだの重量を50kgとした場合、総重量は350kgで、水の比重1から、いかだ全体の容積(排水量)は、350L以上必要であることが判るので、最低でもこの容積より大きないかだが必要ということになります。

いかだの大きさ=乗員の体重の合計+いかだの重量+水面上に出す部分の大きさ

と考えると良いかも知れません。

3.いかだの設計

スピード部門にも企画部門にも共通することですが、重心は出来るだけ低くした方が、いかだは安定します。
いかだの横方向の安定性(復元力)は、いかだの浮力の中心点と重心点の位置が近いほど良いので、乗員は可能な限り低い位置に座るのが良く、スピード部門について言えば、近年の入賞チームのいかだは全て低重心になっているのが分かります。


低重心化のメリットは、いかだが安定するため横幅が狭くでき、よりスピードを出しやすくなるので、スピード部門では、設計の段階で良く練っておくことは必須であると言えます。

最終的な、いかだの寸法は、これらの要件に加えて会場まで搬送可能な大きさで決まってきますので、この長さと横幅と必要な浮力を得るための高さで決定することになりますが、例年スタート地点の水深が浅いので、あまり幅を狭くし過ぎると座礁の可能性が高くなり、レースのかけ引き上不利になることがありますので、コースのどの辺にターゲットを絞るかも重要な判断材料となります。
ex.
・スタートから本流までの浅瀬で速い。
・本流に入ってから速い。
・上記の中間くらい。
・とにかくパワーでがんばる。

寸法が決定したら、いかだの具体的な構造を決めなければなりません。
いかだの曲げ強さはいかだの高さの3乗に比例するので、細長く低いいかだほど強い材料と構造が必要となります。
いかだの高さは乗員の重さとの兼ね合いで決まりますので、十分検討して下さい。

4.いかだの先端および底の形状

いかだの先端および底の形状は、走破性能に大きく関係しますが、規則で水切りをいけないことになっているので難しいところです。
窪んでいる分には、特に規制はないので、これを巧みに利用しているチームが数多くありますので、参考にしてみると良いかも知れません。

先端の角度は、傾いているほど抵抗が少なくなりますが、その分いかだの全長も長くもなりますので、適当なところに納めるのがよいでしょう。
ただし、この部分が立っていると抵抗が非常に大きくなりますので、先端と後端の角度は60度以上傾ける必要があります。

ところで、いかだの全長を5mとした場合の限界速度は、いかだがプレーニングしないという前提で約10km/h程度となるそうです。
この限界速度とは、いかだの抵抗が速度の2乗に比例する境目のことで、これを超えると、いくら漕いでもそれ以上速く進まない状態になります。
よって、長さ5mのいかだは、頑張れば最高速度10km/hを出すことも不可能ではないことになりますが、水流内におけるいかだの抵抗は十分大きいので、ゴールまでそのスピードを維持するのは人力では非常に難しいといえます。
因みに、過去のレースにおける平均速度は、最高で7Km/h程度です。

参考までに、いかだの船底形状ごとの特徴を上げると
タイプ フラットタイプ 双胴タイプ 一見丸太組みタイプ
メリット 設計製作が容易 直進性が良い 直進性が良い
抵抗が少ない
デメリット 直進安定性が悪い
抵抗を小さくしにくい
高さが大きい
製作が難しい
製作が難しい
いかだのタイプ POOH
スペースプラン丸
00型ラフティーU ラフティーU、長門号


画像




喫水線の断面


ところで、スピードを出すには、まず抵抗を減らさなければなりませんが、規定内で設計する場合、抵抗ばかりに重点を置いた設計にすると直進安定性の低い、蛇行してしまういかだになる可能性があります。
蛇行は、走行距離が伸びるばかりでなく、不安定な横滑りによる抵抗増や修正舵による推進ロスなど、タイムが1〜2分簡単に落ちてしまうくらいの影響があるので十分注意して下さい。

5.パドルの製作

両面パドルと固定パドルは、禁止されているので、片面パドルにしなければなりませんが、この片面パドルは力を入れるのが難しいので、選定には注意が必要です。

選定時の要点は、
・軽い
・適度な柄の長さ
・適度なパドル面の大きさ
ですが、これらは、いかだの大きさ、重さ、乗員の体力との兼ね合いですので、良く検討して決定して下さい。

なお材質ですが、木材をベースにすると、加工の面で適当かと思います。



以上で終わりますが、内容についてのご質問は、分かる範囲でお答えしますので、メールにてご連絡下さい。
それでは、みんなでいかだを作くって楽しみましょう!

問い合わせはこちらmishima@cytyfujisawa.ne.jp