実践・エルフ語講座
第五回「発音 子音」
いよいよ発音の仕方に入ります。トールキンの原書では、英語が共通語と同じという視点にたっています。
従って、英語読みしてはいけない場合がよくあります。例えばCelebは英語では普通「セレブ」ですが、
「指輪物語」の中では「ケレブ」と発音されるといった具合です。このへんが私たち日本人にはつらいところで、
原書を読まなければ、その言語の虚構の徹底ぶりが分かり難いのです。
今回は子音の発音をとりあげてみましょう。(【 】内は発音記号)
C:k【k】come
sと発音することはない。
エルフ語なら、この音はC、異種族語ならKで表わす。
cf.Celeb(ケレブ)
CH:独語のBach【x】
ヌメノールではchと発音したものはhへ変化した。(ただしtの前と語尾を除く)
cf.Rochann→Rohan(ローハン)
DH:these【】
F:find【f】
但し語尾においては【v】。
cf.Nindalf(ニンダルヴ)←旧訳ではニンダルフと表記。
G:get【g】
GH:暗黒語。オーク語でのみ独語のchにgがかかった発音。
H:単独であるならhouse【h】。
HT:上エルフ語(クゥエンヤ)でのみ独語のchtの音。
cf.Telumehtar(テルメフタール)←旧訳ではテルメタールと表記。
I:灰色エルフ語(シンダリン)でのみ、語頭で他の母音がすぐ後に続く場合にyouの音【j】。
灰色エルフ語ではYがIのかわりに母音として働く。他の言語ではIは母音として扱う。
K:エルフ語以外で用いる。エルフ語のCと同じ。king【k】
KH:オーク語、ヌメノール語ではエルフ語のchと同じ発音。
cf.Grishnakh(グリシュナク。新訳ではグリシュナッハ)
ドワーフ語では、英語のbackhandのように発音する。(hを伴ったk)
L:let【l】
初期の言語ではeやiと子音の間、またはeやiの後で語尾にある場合は、lの音は口蓋化された。
LH:lの無声音。
上エルフ語でHLと書く。この表記は第三紀においてはlの発音をする。
NG:finger【g】
語頭、語尾ではsing【】
PH:find【f】
fでなくphと表記するのは次の場合。
(1)fの音が語尾にある。cf.alph
(2)fの音がpから派生したものである。cf.i-Pheriannath
(3)長音のff。cf.Ephel
(4)アデュナイク(アドゥナイク)や西方語。cf.Ar-Pharazon
QU:【kw】
R:巻き舌のr。
子音の前でも音が消えない。
オーク語、一部のドワーフ語では口蓋垂音のr。
RH:無声のr。
S:so【s】
zooのような【z】音はエルフ語にはない。しかしドワーフ語では【z】で発音することがある。
SH:ship【】
TH:cloth【】
上エルフ語ではsと同じ発音。ただし表記は二種類ある。
ドワーフ語では英語のboathouseのように発音する。(hを伴ったt)
TY:tune【tj】
V:vine【v】
W:wine【w】
HW:無声のw。white【hw】
Y:上エルフ語でのみ、you【j】
HY:無声y。huge【hj】
TT、LL、SS、NNなど
長い子音、または二重子音の発音を表わす。
二音節以上の単語の語尾では短くなる。cf.Rochann
MMは分けて発音する場合が多い。
以上に含まれていない文字については、普通の英語のように読んでかまわないようです。