岩波書店「ホビットの冒険」各版翻訳比較
ここでは、2000年8月に岩波書店より刊行された少年文庫版「ホビットの冒険」新版とそれ以前の版との訳の相違について記述している。
新版では翻訳の一部改定が行なわれているとの情報に基づき、当会会員が以前の版(少年文庫の旧版)との比較を行なった。さらに愛蔵版(ハードカバーの一冊本)とも食い違いがあり、愛蔵版との比較もあわせて行なった。
見たところ、今回の改定の主な特徴は以下の通りである。
- いわゆる禁止用語の類をすべて言い換えている。
- ひらがな表記でかえってわかりにくくなるような語句を、漢字にしているものが多い。(むろん漢字→かな化されたものもある)
この改定は「2.漢字の改定」にまとめた。
- 少年文庫旧版から愛蔵版になる際、訳の改定をだいぶ実施したが、さらに今回新版になるにあたって、そのうちの一部がもとに戻ってしまっている。
つまり、愛蔵版で改定された訳がそのまま少年文庫新版でも使われている場合(愛蔵版での改定が引き継がれたもの)と、使われていない場合(愛蔵版の改定が採用されなかったもの)とある。
この改定は「3.愛蔵版との比較」にまとめた。
なお、少年文庫旧版と愛蔵版との訳の相違についての考察は、当会正会誌「the White Rider Vol2」に掲載されている。(復刻版に収録)
この他、一部訳の改定も行なわれている。
それにしても何故、愛蔵版で改訳したものの中で今回採用されたものとされなかったものがあるのか。単なる表現だけではなく、文章の意味が変わってしまう訳もその中に含まれている。
なお今回の比較に使用した版は次の通り。
・少年文庫新版上下2巻(新上または下と記述)2000年8月発行、第一刷
・少年文庫旧版上下2巻(旧上または下と記述)1980年10月発行、第三刷
・愛蔵版(愛と記述)1983年9月発行、第10刷改版
比較は各項目毎に、初出ページの順に並べた。
最初に新版の訳をおき、そのあとに旧版および愛蔵版の訳を並べた。同じ訳文の場合は重複せずにまとめた。
文章の意味が変わった改定については、参考までに原書の英語をあわせて掲げた。
なお英語テキストにはAllen&Unwin社1977年3刷(1975年改版)を用いた。
1.訳の改定
むこうみずな冒険(新上20)
きちがいじみた冒険(旧上17、愛16)
蹄鉄鍛冶屋にもなったし、つらくてきつい石炭掘りまでしたことがある。(新上57)
つまらぬ蹄鉄鍛冶屋や、それどころか石炭掘りにまで、身をおとしたこともある。(旧上52、愛47)
すこしやすんで、(新上104)
すこしわたしたちの家へとまって、(旧上95、愛85)
一刻も早く晩ごはんにありつきたくて、やすまずに、(新上105)
晩ごはんだけを、できるだけさっさとごちそうになって、(旧上96、愛86)
But the dwarves were all for supper as soon as possible just then,…
みんなわけがわからないまま(新上133)
みんなきちがいになったように(旧122、愛108)
眼がみえなくなった(新上144)
めくらのくせに(旧上132、愛118)
魚をねらい(新上145)
めくらの魚をねらい(旧上133、愛118)
眼のみえない(新上144)
眼のない(旧上132)
めくらの(愛118)
かりたてているのかが(新上168)
きちがいじみさせているのかが(旧上155、愛136)
やみくもに(新上168)
めくらめっぽうに(旧上155、愛137)
ああ、そうか!(新上193)
なるほど、そうか!(旧上178、愛158)
足をひきずりながらも(新上197)
びっこをひきひき(旧上182、愛161)
アクマイヌ(新上201,203,204,207,209,257,258,259,260,265,下218,225)
きちがい犬(旧上186,187,188,189,192,193,239,240,241,247,下201,206、愛164,165,166,167,168,171,211,212,213,217,436,441)
気がくるったように(新上244)
きちがいのように(旧上227、愛200)
ひた走る牡ジカ(新上284)
ひた走るシカ(旧上263、愛233)
牝ジカも、子ジカたちも(新上286)
牡ジカも、牝ジカたちも(旧上265、愛234)
そのことしか話せぬなら、(新上294)
あることについてしっかり話せぬ時は(旧上272、愛241)
In fact if you can't talk about something else,…
ひどいことは(新上299)
ばかげたことは(旧上277、愛245)
バギンズどのなら連中もこわがるまい(新上299)
バギンズどのならこわがるまい(旧上277、愛245)
足をひきずったり(新上320)
びっこをひいたり(旧上297、愛262)
この種族は、西のくにへいったことはありません。西のくにでは、(新上326)
この種族からは、西のくにの妖精族になったものはありません。この種族は、(旧上302、愛267)
…were descended from the ancient tribes that never went to Faerie in the West. There…
むかしからずっと森エルフたちは、(新上326)
むかし森エルフたちは、(旧上302、愛267)
ひどいことを知って(新下47)
わからないことをきいて(旧下41、愛299)
遠くにいたガンダルフは、(新下47)
遠くにいたガンダルフが、(旧下41、愛299)
結びめだらけの細いつなでは、(新下78)
結びめだらけのつなでは、(旧下71、愛325)
そのうれしがりようと同じくらい、たまげてもいました。(新下96)
そのうれしがりようは、ビルボがたまげたくらいでした。(旧下87、愛339)
…and as delighted as he was surprised.
川の水が蒸気となってはげしくたちのぼりました。(新下99)
川ははげしく波立ってうちあいました。(旧下89、愛342)
…the waters rose in fierce whistling steam,…
いつ何時、上から(新下100)
いつ何時上から(旧下90、愛342)
あなだったのです。ビルボはそれをとりあげていってやりたい気がしました。やがて、まったくとほうにくれた人のつねとして、(新下103)
あなになっていて、ビルボもそれをとりあげていいました。こうなると、まったくとほうにくれた人のつねとして、(旧下93、愛344)
which had always been a weak point in their plans,as Bilbo felt inclined to point out.Then as is the nature of folk that are thoroughly perplexed,…
竜の眼もとどかず、(新下102)
竜もとどかず、(旧下92、愛344)
竜が眠っているすきをねらおうなどという気はおこさなかったでしょう(新下106)
そんなやつの寝ているところへいく気はおこらなかったでしょう(旧下95、愛346)
…and less hopeful of catching this one napping.
おくりものをいただきにきた(新下108)
みつぎものを持ってきた(旧下97、愛348)
I did not come for presents.
大きな穴がある(新下116)
大きなつぎがあててある(旧下105、愛355)
…there is a large patch in the hollow…
蒸気(新下117)
湯気(旧下106、愛355)
腹がけ(新下120)
腹巻(旧下108、愛358)
ひかれて(新下136)
ひかされて(旧下123、愛370)
さいげんもなく(新下139)
きちがいのように(旧下126、愛373)
大きな入口(新下143)
さきの入口(旧下130、愛376)
戦うべしと命じてほしいと(新下157)
戦うべしと、統領から命じてほしいと(旧下142、愛387)
人々の鼓膜をやぶり、(新下162)
人々をつんぼにし、(旧下146、愛390)
進むしたくをしました。(新下171)
進んでいきました。(旧下156、愛398)
眼がみえず頭のまんなかがはげていて、(新下175)
めくらで、頭のまんなかがはげていて、(旧下160)
頭のまんなかがはげていて、めくらになりかけて、(愛401)
大きなしらせがはいってきております。(新下176)
しらせがたくさんはいります。(旧下161、愛402)
…there are great tidings…
さて、およろこびはこれまでですぞ(新下177)
これは、まことにうれしききわみでございます(旧下162、愛403)
So much for joy,
(これはたいへんなまちがいでした。)そして、この問題を平和のうちにおさめるためなら、自分のわけまえをそっくり投げだしてもいいとさえ思いました。(新下179)
これはたいへんなまちがいでした。かれはこの問題を平和のうちにおさめるために、自分のわけまえをそっくり投げだすことになるのです。(旧下164、愛405)
- in which he was much mistaken - and he would have given most of his share of the profits for the peaceful winding up of these affairs.
トーリンの気分を(新下183)
気分を(旧下168、愛408)
ところかまわずつき出される槍(新下223)
めくらめっぽうにつき出す槍(旧下204、愛440)
(みなさんは、おぼえておいででしょうが)あのけわしい(新下256)
おぼえておいででしょうが、あのけわしい(旧下236、愛467)
統領はやはりあの竜の(新下266)
このしんせつがあだになって、統領はあの竜の(旧下245、愛475)
but being of the kind that easily catches such disease he fell under the dragon-sickness,…
2.漢字の改定
むすこ(新上15,59)
息子(旧上12,53、愛12,48,49)
押しうり人(新上19)
おしうり人(旧上16、愛15)
カップ(新上22,55)
コップ(旧上19,50、愛18,45)
首飾り(新上38,下124)
首飾(旧上34,下112、愛31,361)
確信する(新上46)
かくしんする(旧上41、愛38)
拝見(新上46)
はいけん(旧上41、愛38)
読んで(新上60)
よんで(旧上54、愛49)
注文(新上61)
ちゅうもん(旧上56、愛50)
服(新上63)
ふく(旧上58、愛52)
五月晴れ(新上69)
五月ばれ(旧上63、愛57)
毎晩(新上71)
まい晩(旧上66、愛58)
災難(新上73,84)
さいなん(旧上67,77、愛60,69)
真下(新上99,下21)
ま下(旧上90,下18、愛81,279)
ぐるぐる折れ(新上100)
ぐるぐるおれ(旧上91、愛82)
気持ち(新上11,15,32,40,41,42,45,63,72,77,92,106,110,121,124,142,147,165,176,184,196,217,221,228,269,284,301,327,
新下28,38,55,64,75,79,82,89,104,112,124,125,130,131,142,192,199,203,206,209,228)
気持(旧上9,13,28,36,37,38,41,58,66,71,84,97,100,111,114,131,136,152,162,170,181,200,201,204,211,249,264,279,303,
旧下25,34,50,57,58,67,71,74,80,94,101,112,113,118,129,176,183,186,189,191,209、
愛9,12,26,33,34,35,37,52,59,63,75,87,90,99,102,116,120,134,143,150,160,177,178,181,187,220,233,246,267,285,292,306,313,322,325,327,328,333,346,351,361,362,366,375,415,421,424,426,428,444)
真昼(新上115)
ま昼(旧106、愛94)
器用(新上127)
きよう(旧117、愛105)
盾(新上130)
たて(旧120、愛107)
護衛兵(新上134)
ごえい兵(旧124、愛110)
見はった(新上136)
みはった(旧125、愛112)
外から(新上144)
そとから(旧上133、愛118)
追われ追われて(新上149)
おわれおわれて(旧上137、愛122)
勝った(新上166)
かった(旧上153、愛136)
いなずま(新上176,186)
いなづま(旧上162,172、愛143,153)
真上(新上176,下82,224,231)
ま上(旧上162,下74,206,212、愛143,327,441,446)
立ちあがって(新上180)
立ち上って(旧上166、愛147)
雲間(新上182)
雲ま(旧上167、愛148)
くだり(新上183)
下り(旧上169、愛150)
何百という目(新上201)
何百という眼(旧上186、愛164)
枯枝(新上209,210)
かれ枝(旧上193,194、愛171)
とびあがりました(新上219)
とび上がりました(旧上202、愛178)
たきぎ(新上220)
たき木(旧上204、愛180)
歓呼(新上244,下63)
かんこ(旧上227,下57、愛201,313)
夜中(新上254)
夜なか(旧上235、愛208)
困難(新上262)
こんなん(旧上243、愛214)
不安げな(新上266)
不安気な(旧上247、愛218)
手をつくした(新上285)
てをつくした(旧上264、愛234)
気持ちの(新上292)
気持の(旧上271、愛239)
運ぶ(新上294)
はこぶ(旧上272、愛241)
真横(新上295)
ま横(旧上273、愛242)
加勢(新上304)
かせい(旧上282、愛249)
糸目(新上310)
糸め(旧上287、愛254)
情け(新上330,下190)
情(旧上305,下174、愛269,413)
森の中(新下13)
森のなか(旧下10、愛272)
追いすがった(新下13)
おいすがった(旧下11、愛273)
告げない(新下15)
つげない(旧下13、愛275)
損(新下20)
そん(旧下17、愛278)
ご想像(新下20)
ごそうぞう(旧下18、愛279)
表門(新下28)
おもて門(旧下24、愛284)
気持ちよい(新下30)
気持よい(旧下26、愛286)
水の中(新下39)
水のなか(旧下35、愛293)
気持ち(新下39)
気持(旧下35)
いい気持(愛293)
盛り(新下49)
さかり(旧下43、愛301)
看護(新下63)
かんご(旧下57、愛312)
尻尾(新下66)
しっぽ(旧下60、愛315)
間近(新下67)
ま近(旧下60、愛316)
中へ(新下81)
なかへ(旧下73、愛326)
消え去った(新下84)
消えさった(旧下76、愛329)
牡ネコ(新下92)
雄ネコ(旧下83、愛336)
走り去りました。(新下101)
走りさりました。(旧下91、愛343)
消え去りました(新下106)
消えさりました(旧下94、愛347)
帰って(新下111)
かえって(旧下100、愛351)
完全無欠(新下116)
かんぜんむけつ(旧下105、愛355)
逃げ去る(新下116)
にげさる(旧下105、愛355)
飛び去って(新下121,174)
飛びさって(旧下109,160、愛358,401)
真夜中(新下154,193,196,204,205,206,97)
ま夜中(旧下140,177,179,180,187,188,87、愛384,416,418,425,426,340)
いま示されている(新下154)
いましめされている(旧下140、愛385)
壷という壷(新下155)
つぼというつぼ(旧下141、愛386)
御代(新下158,266)
み代(旧下144,245、愛388,475)
仮りの(新下167)
かりの(旧下152、愛395)
飢え(新下168)
うえ(旧下153、愛396)
保護される(新下170)
ほごされる(旧下155、愛398)
一騎当千(新下179,201)
一き当千(旧下163,185、愛404,423)
気持ちよく(新下232,258)
気持よく(旧下213,237、愛447,468)
北寄り(新下244)
北より(旧下224、愛456)
3.愛蔵版との比較
(a)愛蔵版での改定が引き継がれたもの
(1)訳の改定
旅をするばかりではないのだと(新上72、愛59)
旅をすることではないと(旧上66)
何かしら、トロルのからだからすりとったり(やってみるねうちはあります)、(新上77、愛63)
何かしら(ねうちのあるものにかぎります)、トロルのからだからすりとったり、(旧上70)
…picked the troll's pocket - it is nearly always worth while,if you can manage it …
と、そくざにウイリアムがふりむいて、ビルボが木のうしろにかくれるまもなく、(新上78、愛64)
ウイリアムはあたりをながめて、ビルボが木のうしろにかくれるまえに、(旧上72)
and William turned round at once and grabbed Bilbo by the neck,before he could duck behind the tree.
おもしろいほどぴったりな悪口のありったけをどなりあっているひまに(新上81、愛66)
名まえとあだ名のありったけをどなりあっているひまに(旧上74)
and calling one another all sorts of perfectly true and applicable names…
ちょっとばかりうねったり、おれたりはしても、(新上142、愛117)
うねうねまがったり、右か左へおれたりしないで、(旧上131)
…in spite of a twist and a turn or two.
すがたがわかります。影ができるからです。でも、それもうすくて、あまりはっきりはしていません。(新上164、愛134)
すがたがすっかり見えます。つぎに、影だけになって、やがてそれもかすかになり、消えていきます。(旧上151)
…only in the full sunlight could you be seen,and then only by your shadow,and that would be shaky and faint.
どうしていいかわからなくなっている。(新上176、愛143)
だいじなものをなくしている。(旧上162)
And he was miserable,alone,lost.
ドーリはいちばん下の枝までおりて、できるだけ手をのばしましたが、あわれなビルボはドーリの手にとどきません。(新上201、愛164)
あわれなビルボはいちばん下の枝にのぼって、できるだけ手をのばしても、ドーリの手にとどきません。(旧上181)
Poor Bilbo could not reach his hand even when he climbed down to the bottom branch and hung his arm down as far as ever he could.
それはやみのなかでの不意打ちだったからです。(新上317、愛260)
それはみんなが気を失ってやみのなかにいたからです。(旧上294)
but that had been unawares and in the dark.
自分の影(たいまつのあかりでしたから、もう本当にうすくて、ゆれて定まらないものでした)のことがありましたし、(新下17、愛275)
たいまつのあかりで自分の影が、おぼろにゆらゆらとうつりますし、(旧下14)
今晩はくたくたになるほどいそがしく、からの酒だるを運び出すことになるだろうから、(新下23、愛281)
今晩はくたくたになるほどいそがしく酒だるをどんどんからにするだろうから、(旧下20)
I shall be hard at work tonight clesring the cellers of the empty wood,
今でも日照りで水がかわきあがると(新下49、愛301)
水がかわきあがったある年のこと(旧下44)
…when the waters sank in a drought.
荷車で(新下49、愛301)
車で(旧下43)
ぼくのたるは、リンゴのにおいでいっぱいだったんだ。(新下55、愛306)
ぼくのたるには、リンゴがいっばいあったんだ。(旧下49)
'I hope I never smell the smell of apples again!' said Fili,'My tub was full of it.
しなびてしまいました。かといって、あきらめて帰ってしまう気にはなりませんでした。(新下80、愛326)
しなびてしまいました。(旧下72)
but now they sank into their boots;and yet they would not give it up and go away.
自分の経験から、そういったのだとは思いませんがね……。(新下105、愛346)
わたしの経験では、そうも思えないのですが……。(旧下95)
though I am sure it was not from personal experience.
なんとか、そんなとりきめをしたんだろうが?(新下112、愛352)
なんとかいったな?(旧下102)
わたしのわけまえはわたしが自分でえらんでいいって、確かに、そういったんだ。(新下136、愛370)
わたしにわけまえをえらべというだろう。(旧下123)
They did say I could pick and choose my own share.
ああ、あのビヨルンの木のどんぶりから、元気づけのうま酒をいっばいでも飲めたら、ここにある金銀の大さかずきをいくらでもくれてやるのに、なあ。(新下142、愛375)
ああ、ビヨルンの木のどんぶりから、あのすばらしい酒をくんで、こんなすごい大さかずきで、万歳万歳といくらでも飲めたら、なあ。(旧下129)
'I would give a good many of those precious goblets,' he thought,'for a drink of something cheering out of one of Beorn's wooden bowls!'
それを教えてくれたら、たっぶり朝ごはんをごちそうするんですがね。(新下149、愛380)
それをさぐるには、たっぷり朝ごはんを食べたいものですね。(旧下135)
I would give a good breakfast to know.
竜の腹が(新下162、愛390)
竜の下腹が(旧下146)
わたしたちのうしろから、ずうっとひどい悪口をあびせていたのを(新下174、愛400)
わたしたちのあとをつけて、いやな名まえをよびつづけたのを(旧下158)
…the ugly names they were calling after us.
今よりかぞえて三晩まえ、月ののぼるころに、(新下177、愛403)
月ののぼるころよりかぞえて、今から三日まえの夜、(旧下161)
…the third night back from now at the rising of the moon.
なんの危険もなく、地下のやかたへ帰ってゆけますし、(新下177、愛403)
さあ、なんの危険もなく、地下のやかたへ帰ってゆけますぞ。(旧下162)
やつがれは、ご意向のよしあしは、申したてますまい。なれどやつがれになしうることはいたしましょう。(新下179、愛404)
やつがれのすすめのよしあしは、申したてますまい。なれどやつがれは申すべきことは申しあげましたぞ。(旧下164)
'I will not say if this counsel be good or bad,' croaked Roac;'but I will do what canbe done.'
二十人(新下207、愛427)
十二人(旧下190)
われらのものをいただくかわりに、あなたのものをかえそうというのだ。(新下209、愛428)
あなたのものを、こちらの考えでかえそうというのだ。(旧下192)
Your own we will give back in return for our own.
自分の首がゴブリンの兵士たちがふりまわす切っさきの目立った的にならずにすみます。(新下223、愛440)
ゴブリンの兵士たちがふりまわす切っさきにかからぬように頭をひややかにしておくことができます。(旧下205)
…and it prevents your head from being specially chosen for a sweeping stroke by a goblin swordsman.
山の南の尾根からでなければ、まだ何も見えなかったのですが、谷間ではなんだろうといぶかって、天空を見あげました。(新下230、愛445)
谷間ではなんだろうといぶかって、山の南の尾根にさえぎられて何も見ることもできないのに、天空を見あげました。(旧下211)
Many wondering eyes looked up,though as yet nothing could be seen except from the southern shoulders of the Mountain.
(2)漢字、改行などの改定
挿し絵の扉、中開きに(新上17,29,下265、愛17,23,474)
挿し絵の扉、外開き(旧上15,25,下243)
巣立った(新上48、愛40)
す立った(旧上43)
「冒険も悪くないと思うようになってきました。」と「長いあいだ、」の間に1行空白(新上68、愛56)
空白なし(旧上63)
シノビット(新上78、愛64)
しのビット(旧上72)
「玄関は広々とあけはなされておりました。」と「ところで、」の間に1行空白(新上106、愛87)
空白なし(旧上97)
「そこを承知していたのでした。」と「ガンダルフは」の間1行空き(新上116、愛96)
空きなし(旧107)
「そりゃそうでしょう。だけど」(新上196、愛160)
「そりゃそうでしょう。」「だけど」(旧上181)
灯心草(新上248、愛203)
燈心草(旧上230)
どろぼう(新下17、愛276)
泥棒(旧下15)
気持ち(新下19、愛277)
気持(旧下16)
立ち去った(新下50、愛302)
立ちさった(旧下45)
「思いつきに走るな!」と「これは、」の間に1行空白(新下109、愛349)
空白なし(旧下99)
「命じました。」と「日はすぎ、」の間に1行空白(新下213、愛431)
空白なし(旧下195)
(b)愛蔵版の改定が採用されなかったもの
(1)訳の改定
「いやそのまえから、たいへんじゃ。東への道を知っているわしの見つもりでは、長くかかるぞ。」(新上52、旧上47)
「いや、東への道を知っているわしの見つもりでは、そのずっとまえから、たいへんじゃ。」(愛43)
"A long time before that,if I know anything about the roads East."
この山々のかげにはさまる谷あいに、昔は町があったところじゃ。(新上52、旧上47)
あの山の谷あいに、昔は町があったんじゃ。(愛43)
外に出ていた(新上56、旧上50)
よそにいっていた(愛46)
十四人きりだ。(新上73、旧上67)
十四人いるんだ。(愛60)
うしろにあき、(新上91、旧上83)
内がわにあき、(愛74)
前に読める折がなかったわけなのに、いまここでエルロンドにはじめて読まれたことが、しゃくにさわるようすでした。このさきもこんな折がいつくるかわからないだけに、なおざんねんだったのでしょう。(新上110、旧上102)
前に読める折がなかったわけだし、このさきこんな折がいつくるかわからなかっただけに、なおざんねんだったのでしょう。いまここでエルロンドにはじめて読まれたことが、しゃくにさわるようすでした。(愛90)
おそらく、あの立派な小馬たちは、これがこの世の見おさめだったでしょう。(新上127、旧116)
おそらく、ドワーフたちには、これが、あの立派な小馬たちの見おさめだったでしょう。(愛104)
"I am afraid that was the last they ever saw of those excellent little ponies."
「左がしとつ、右がしとつ、右が二つ、左が二つ。」(新上174、旧上160)
「しだりがしとつ、右がしとつ、右が二つ、しだりが二つ。」(愛141)
きってはなすためにひきしぼった(新上175、旧上161)
ひきしぼった(愛142)
ビルボが番人たちをやりすごし、ゴクリの上をおどりこえ、(新上190、旧上175)
ビルボがゴクリの上をおどりこえ、番人たちをやりすごし、(愛155)
寝おき(新上204、旧上189)
寝こみ(愛167)
火花を(新上207、旧上190)
火を(愛168)
食事を食べた(新上248、旧上230)
食事をした(愛203)
今さらこの冒険が(新上263、旧上244)
今さらに、この冒険が(愛215)
そちらへ足を早めました。(新上295、旧上273)
道をいそぎました。(愛242)
たての湖までくる(新下22、旧下19)
たての湖までゆく(愛280)
おひるごろ、一本の柱のようにつっ立った大きな岩のうしろにはいあがってみて、ビルボは、そこの上へのぼる石段を荒くきざんだような場所へ、出たのです。(新下76、旧下69)
おひるごろ、ビルボは、一本の柱のようにつっ立った大きな岩のうしろにはいあがってみました。すると上へのぼる石段を荒くきざんだような場所へ、出たのです。(愛323)
どうだ、こっちへ来い。なんでもないぞ。まったくあれは、(新下111、旧下100)
さあ、どうだったんだ?なんにもなしか!まったく、(愛351)
それできさまは、おれさまが、その、見張っていない時に、ぬすめるものをぬすんだ。ところで、わけまえはよかったか?(新下111、旧下100)
おれさまが、見ていないすきに、ぬすめるだけぬすむのか、やつらのために?それで、わけまえをもらうのかね?(愛351)
"and get what you can when I'm not looking…for them? Andyou will get a fair share?"
もうけただろう?(新下111、旧下100)
もうけたのか?(愛351)
トンネルに(新下116、旧下106)
トンネルを(愛355)
えぐるのといういろいろなわざや(新下120、旧下108)
えぐるのといろいろなわざや(愛358)
十四分の一とっていただこう(新下123、旧下111)
十四分の一をご自分でえらんでいただこう(愛360)
困難なく(新下150、旧下136)
困難もなく(愛381)
山ぎわから、(新下181、旧下166)
川ぎわから、(愛406)
弓隊(新下182、旧下166)
弓矢隊(愛407)
これらの宝は、わたしのでもあるが、あなたのものだ。前の話しあいがなりたたなかったのも、宝をとるのやらぬのであまり欲が強すぎたからだった。(新下242、旧下222)
これらの宝を手に入れ守り通すにあたっては、幾多の人びとの貢献が認められる以上、前のとりきめはいまや用をなしません。とはいえ、これらの宝は、わたしのでもあるが、あなたのものだ。(愛455)
"This treasure is as much yours as it is mine; though old agreements cannot stand,since so many have a claim in its winning and defence."
(2)漢字・ルビ・改行等の改定
じみ(新上18、旧上15)
じみ(傍点あり)(愛14)
「お菓子を。ビールを。コーヒーをどうぞ。」(新上31、旧上27)
「お菓子を。」「ビールを。」「コーヒーをどうぞ。」(愛25)
おき(新上92,254、旧上15,235)
おき(傍点あり)(愛14,208)
才智(新上42、旧上38)
才知(愛35)
緑ガ原(新上44、旧上40)
緑が原(愛36)
悪どく(新上55、旧上50)
あくどく(愛46)
ハンケチ(新上67,68、旧上61,63)
ハンカチ(愛55,56)
ウイリアム(新上76,77,78,79,80,85,86,87,88,89,90、旧上69,70,71,72,73,74,78,79,80,81,83)
ウィリアム(愛62,63,64,65,70,71,72,73,74)
かた(新上96、旧上87)
肩(愛78)
空地(新上100、旧上92)
あき地(愛82)
夏至の祭り(新上108,113、旧上98,103)
夏至祭り(愛88,92)
いろはにほへと(新上123、旧113)
「いろはにほへと」(愛101)
ちりぬるをわか(新上123、旧113)
「ちりぬるをわか」(愛101)
かん(新上142,175,,旧上131,161)
かん(傍点あり)(愛116,142)
すぐれた眼(新上208、旧上192)
すぐれた目(愛170)
眼に(新上208、旧上192)
目に(愛170)
眼の下(新上224,272、旧上207,252)
目の下(愛183,223)
くだされい。ドーリです。(新上239、旧上221)
くだされい。」「ドーリです。(愛196)
お役に立てば……。オーリです。(新上241、旧上223)
お役に立てば……」「オーリです。(愛197)
目に(新上289、旧上268)
眼に(愛237)
奥底(新下21、旧下18)
おく底(愛279)
せい一ぱい(新下37、旧下33)
せいいっぱい(愛292)
番兵長が前へ出てきました。「して、(新下57、旧下51)
番兵長が前へ出てきました。(改行)「して、(愛308)
その眼は(新下80、旧下72)
その目は(愛326)
つつ(新下84、旧下76)
つつ(傍点)(愛329)
よくもとくも(新下104、旧下94)
欲も得も(愛346)
ちく一(新下119,228、旧下107,209)
ちくいち(愛357,444)
いこう(新下234、旧下215)
憩う(愛449)
おくぞこ(新下240、旧下221)
おく底(愛452)
(3)愛蔵版の改定が採用されなかったが、旧版ともちょっと異なるもの
真夏の夜のお祭りになると、(新上20)
ま夏の夜のお祭りになると、(旧上17)
夏至祭りの前の晩には、(愛16)
昔トックじいさまの真夏の夜の祭りにした(新上191)
昔トックじいさまのま夏の夜の前の祭りにした(旧上177)
昔トックじいさまが夏至祭りの前の晩にした(愛156)
真夏の夜祭り(新上210)
ま夏の夜祭り(旧上194)
夏至のよい祭り(愛172)