日本におけるトールキン著作一覧
以下のリストは、次の基準により選んだものです。
- トールキンの著作またはトールキンについて書かれた著作であること。
単行本であり、かつ明確にトールキンについて書かれたものに限り、例えばファンタジー全般を論じる中で言及されているようなものははぶきました。
雑誌については「トールキンの作品が掲載されている」または「特集記事が組まれている」ことを選定基準とした上で、個別に判断しました。
- 活字出版物であること。(絵本・画集・フィルムブックも含む)
レコードやCD-ROM、グッズ類は除外しました。
- 日本で出版された日本語の書物であること。
- 商業出版物であること。(同人誌、単なる論文集などは含まない)
なおゲーム関連出版物については手が回らず、今回は除外しました。
これらは、「白の乗手」の正会誌VOL6に掲載したリストをやや簡略化して載せてあります。
97年夏時点での情報を基本に、その後出版されたものも若干加えてあります。もしこのリストにもれているものがありましたらお知らせいただけると助かります。
以下の3種類に分類してあります。
<トールキン自身の著作およびその派生物>
(*)評論社「指輪物語」と岩波書店「ホビットの冒険」については、版が多数になって煩雑なため
出版年などの詳細は別ページにまとめています。
- 【「指輪物語」】 評論社
- 【「ホビットの冒険」】 岩波書店
- 「シルマリルの物語」上下巻 1982年 評論社
訳者 田中明子 表紙はトールキン直筆のエルフの紋章。
創世から「指輪物語」の時代に至るまでの数々の物語を描いた、トールキン神話の集大成。下巻の半分は索引と言語学的解説で占められている。
「トールキン小品集」 1975年 評論社
訳者 吉田新一・猪熊葉子・早乙女忠 挿絵 ポーリン・ベインズ
収録作品は「農夫ジャイルズの冒険」「星をのんだかじや」「ニグルの木の葉」「トム・ボンバディルの冒険」の4篇。
「ファンタジーの世界」 1973年 福音館書店
もともと「木と木の葉」というタイトルで、「ニグルの木の葉」とまとめて刊行されていたものの中の「妖精物語について」の方のみを訳出したもの(「ニグルの木の葉」は「トールキン小品集」の中に入っている)
なおここでは作者名は「J・R・R・トーキン」と表記されている。
「サンタ・クロースからの手紙」 1976年 評論社
トールキンが自分の子供たちに毎年書き送った「サンタクロースからの手紙」集。自筆の絵つき。編者はトールキンの息子クリストファーの夫人である。
「サンタ・クロースからの手紙」クリスマスレター付き版 1995年 評論社
編者 ベイリー・トールキン 訳者 瀬田貞二・田中明子
内容は既に出ている「サンタ・クロースからの手紙」と同じだが、サンタクロースからの手紙部分がちゃんと年毎に別々の手紙として、そなえつけの封筒に入っているという趣向の本。
「ブリスさん」 1992年 評論社
トールキン自身の筆による絵本。初めて車を運転する「ブリスさん」がまきおこす騒動を面白おかしく描いたもの。
「ビルボの別れの歌」 1991年 岩波書店
ビルボが西に渡る前に残したとされている短い詩。詩そのものはかなり前からあったはずだが、イギリスで絵本として出版されたのは1990年のことである。薄い本で文字も少ない。
「農夫ジャイルズの冒険」 1991年 評論社(てのり文庫)
「トールキン小品集」の中の「農夫ジャイルズの冒険」を独立させて子供向け文庫(岩波少年文庫風」にしたものである。訳者はおなじみ吉田新一氏。
「星をのんだかじや」 1991年 評論社(てのり文庫)
これも「トールキン小品集」の中の「星をのんだかじや」を独立させたものである。訳者は小品集と同じ猪熊葉子氏。
「農夫ジャイルズの冒険」 1972年 都市出版社
「小品集」より先に出版された「ジャイルズ」である。「小品集」のものと訳者は同じ。
なお、これも作者名は「トーキン」と表記されている。
「農夫ジャイルズの冒険」(英語教材) 1975年 研究社
中学・高校などの英語のサブリーダとして使われるもの。「ジャイルズ」の本来の訳者が注釈しているためか、注釈が非常に詳しく、かつ楽しい。
「妖精物語について」(英語教材) 1976年 北星堂
「ファンタジーの世界」の名で翻訳されているのと同じものである。
これは作者名を「トルキーン」と表記している。
「星をのんだかじ屋」(英語教材) 1975年 弓書房
「指輪物語」(点字版) 1992〜1993年 大阪ライトハウス
図書館の検索で発見したもの。1992年版を現本とするとのこと。詳細不明。
「ホビット ゆきてかえりし物語」 1997年 原書房
トールキンの「ホビットの冒険」本文に、世界各国で出版された「ホビット」の挿し絵をつけて解説したもの。
各国の画家の絵は見事だが、翻訳が…。瀬田訳「ホビット」と全然雰囲気が違うだけならまだしも…。
「仔犬のローヴァーの冒険」 1999年 原書房
トールキンが「ホビット」よりもはるか前に、息子のために書いた物語。
翻訳は同じ原書房版「ホビット」と同じ人。
「サー・ガウェインと緑の騎士」 2003年 原書房
イギリス中世の物語をトールキンが現代英語訳した物語集。「サー・ガウェインと緑の騎士」「真珠」「サー・オルフェオ」の三編と、
短い詩「ガウェインの別れの歌」が入っている。
「新版 シルマリルの物語」2003年 評論社
「シルマリルの物語」改訳版。名詞表訳がだいぶ変わっている。旧版の上下巻を1冊にまとめ、トールキンの手紙も1つ収録されている。
「妖精物語の国へ」2003年 ちくま文庫
エッセイ「妖精物語について」(福音館から出ている「ファンタジーの世界」と同じ、但し訳者は別)、長詩「神話を創る」、十世紀のイギリスに材をとった対話劇「ビュルフトエルムの息子ビュルフトノスの帰還」の3編を収録する。
「終わらざりし物語」(上)(下)2003年 河出書房新社
トールキンの遺稿集「Unfinished Tales」の翻訳。
「妖精物語について―ファンタジーの世界」 2003年 評論社
以前に福音館書店から出ていた「ファンタジーの世界」(やはり猪熊葉子訳)に「ニグルの木の葉」(本来、この2編は組になっていた)をあわせ、さらに「神話の創造」を加えた版。
「「中つ国」のうた」 2004年 評論社
「指輪物語」内の詩を集めたもの。評論社オリジナル編集。
<評論その他の周辺本>
- 「トールキンの世界」 1977年 晶文社
「トールキンについて書かれた本」といえば、長いことこれしかなかった。トールキンの簡単な伝記、「指輪物語」のあらすじ、古今のファンタジーというものについての解説、「指輪物語」の固有名詞のルーツ探し、等、紹介図書としての内容はひととおりそろっている。
「トールキンとC・S・ルイス」 1985年 笠間書院
日本人が書いた「トールキンについて」の単行本としてはおそらく最初のもの。
「トールキン神話の世界」 1992年 人文書院
日本人の手による本格的なトールキン研究書、論文集である。
「トールキンズ ワールド」 1994年 評論社
トールキンの世界を描いたカラーイラスト集。編者不明(イギリスの誰か)。収録されているのは以下の人の作品。 インゲル・エデルフェルド/トニー・ガルイディ/ロジャー・ガーランド/ロバート・ゴールドスミス/マイケル・ヘイグ/ジョン・ハウ/アラン・リー/テド・ネイスミス/キャロル・エメリー・フィニックス。
「J・R・R・トールキン 或る伝記」 1982年 評論社
トールキンの”公認”伝記。トールキンや「指輪物語」の背景を知るには必読の書。
「トールキン指輪物語事典」 1994年 原書房
著者 デビット・デイ ピーター・ミルワード監修
訳者 仁保真佐子(協力バベル・インターナショナル)
「トールキン指輪物語伝説」 1996年 原書房
とにかく「リング」をキーワードに、世界中(?)の神話伝説のなかの「リング」を探してそれを、トールキンの「指輪」と関連づけている本。
「フィルムブック 指輪物語 前編」 1981年 評論社
1979年に公開された、バクシのアニメ映画のフィルムブック。アメリカで出版されたものの訳である。映画が前編だけで終わったためフィルムブックも前編しかない。
「絵物語ホビット ゆきてかえりし物語」 1999年 原書房
アメリカンコミックス版「ホビットの冒険」。
出版元はまた原書房で、翻訳はまたこの人。原書房いったいどうしたのだろう。
「ファンタジー画集 トールキンの世界」 1998年 原書房
「トールキン 指輪物語を創った男」 2001年 原書房
トールキンの伝記。評論社の「或る伝記」の簡易版とでもいうべきか。
「『中つ国』歴史地図」 2002年 評論社
著者 カレン・ウィン・フォンスタッド 訳者 琴屋草
世界の創造から第四紀までの詳細な地図、「シルマリルの物語」「ホビットの冒険」「指輪物語」との関連、
さらには中つ国の気候・植生・人口分布図まで実に盛り沢山の、お得で楽しい地図の本。
「ロード・オブ・ザ・リング 公式ガイドブック」 2002年 角川書店
映画「ロード・オブ・ザ・リング」の公式ガイドブック。監督やスタッフ、各役者の談話などがあり、超豪華な映画パンフといった内容。
「ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間」 2002年 角川書店
映画「ロード・オブ・ザ・リング」のキャラクター解説書。すでに「指輪物語」をよく知っている人にとってはよく知っている内容であり、
それだけに「この内容でこの値段では…」と思ってしまう。上記「公式ガイドブック」と装丁が似ているので間違えないように。
「ロード・オブ・ザ・リング 指輪物語 完全読本」 2002年 角川書店
1977年に晶文社から出た「トールキンの世界」の改訳再版。映画関連本の体裁をしている上、だいぶ大判になっている。文庫版も同時刊行。
「指輪物語 完全ガイド」 2002年 河出書房新社
映画関連本だが、「ホビットの冒険」改訂の話や映像化の話などけっこう盛り沢山。
1979年の「児童文学世界」のトールキン特集の記事の一部も再録してある。
「『指輪物語』のファンタジーワールド」 2002年 コアラブックス
トールキン関連WEBサイトの記事を集めて構成された本。「白の乗手」の記事も掲載されている。
「『指輪物語』冒険の手引き」 2002年 KKベストセラーズ
「『指輪物語』の秘密の教科書」 2002年 データハウス
「指輪物語ガイドブック」 2002年 イースト・プレス
著者 イアン・ローソン/ダニエル・オブライエン/キース・マーシャル 訳者 仁保真佐子
イギリスで作成された映画関連本。「指輪物語」映画化の歴史やいきさつが面白い。
「ロード・オブ・ザ・リング 聖なる旅の黙示録」 2002年 PHP研究所
著者 カート・ブルーナー/ジム・ウェア 訳者 鈴木彩織
「『指輪物語』中つ国の歩き方」 2002年 青春出版社
「『指輪物語』その旅を最高に愉しむ本」 2002年 三笠書房
「指輪物語」のあらすじ、年表、人物事典などの概説本。文庫。
「トールキンによる『指輪物語』の図像世界」 2002年 原書房
著者 W・G・ハモンド/C・スカル 訳者 井辻朱美
「『指輪物語』世界を読む われらが父祖トールキン」 2002年 原書房
様々な人がトールキンについて語った文を集めたアンソロジー。
「指輪物語の真実」 2003年 角川書店
著者 マーク・エディ・スミス 訳者 三谷裕美(斎藤兆史監訳)
「ファンタジー画集『指輪物語』の世界」 2003年 原書房
著者 ジョン・ハウ 訳者 鈴木淑美(井辻朱美監修)
「指輪物語」の映画にかかわる、中つ国を描いた様々な絵を紹介している。映画の写真も有り。
「ロード・オブ・ザ・リング 公式メイキングブック」 2003年 角川書店
「ロード・オブ・ザ・リング 公式アートブック」 2003年 角川書店
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」 2003年 角川書店
「フロドの旅」 2003年 評論社
フロドのたどった旅を日刻みで詳細に地図の上に記した本。「指輪物語」の旅を地図の上でたどることができる。
「ロード・オブ・ザ・リング QUIZ 1000」 2003年 二見書房
著者 クライブ・ギフォード 訳者 ミドルアース指輪クイズ研究会
「指輪の力 −隠された『指輪物語』の真実」 2003年 早川書房
<雑誌>(出版順に配列)
- 「幻想と怪奇」 1974年1月号 歳月社
関連記事は以下の2点。
トールキン「ニグルの木の葉」翻訳(重光真友子訳)
蜂谷昭雄「現代フェアリー・テールズの系譜」
「ペーパームーン」 1979年1月号 新書館
バクシの映画「指輪物語」の紹介が主。関連記事は次のもの。
荒俣宏「『指輪物語』の国への旅立ち」
手塚治虫「『ウィザーズ』から『指輪物語』へ」
山田ミネコ「ネヴァーランドなんて呼ばないで」
「ペーパームーン」 1979年4月号 新書館
これもバクシの映画「指輪物語」の紹介が主。関連記事は次のもの。
手塚治虫・小野耕世「『指輪物語』を見て」
荒俣宏「トールキンは語る」(架空インタビュー)
鏡明「指輪をめぐる善と悪との戦い」
小野耕世「闇を征く騎士たちのひびき」
「ユリイカ」 1979年8月号 青土社
関連記事は以下の2点。
W・H・オーデン「探究物語としての『指輪物語』」(中谷一義訳)
秋山さと子「『指輪物語』の現代的意義」
「児童文学世界」 1979年 第二号 中教出版
かなり充実した特集。記事は以下のもの。この他にアニメ「ホビットの冒険」紹介、トールキン関連の写真含む。
中野節子「妖精の輪の中で」
原昌「冒険的な旅のファンタジー」
脇明子「ポケットの中の指輪」
水井雅子「妖精の国の神話」
蜂谷昭雄「作家としてのトールキン」
P・ミルワード「学者としてのトールキン」(安西徹雄訳)
吉井紀子「父から子供たちへ」
肥後充「ファンタジーのメタモルフォーゼ」
谷川渥「『ミュトロギア』としての『指輪物語』」
西村徹「トールキンと読者」
高桑啓介「トールキンからM・ピークへ」
谷本誠剛「トールキン協会のこと」
定松正「J・R・R・トールキン年表・研究文献」
「幻想文学」 1985年 第十二号 幻想文学会出版局
トールキンに重点をおいた記事は以下の2点。
赤井敏夫「インクリングスの中のトールキン神話」
種田又右衛門「友情と孤独と−トールキンの手紙を読む−」
その他関連記事として、
別役実、天沢退二郎「別世界創造の方法と実践」
蜂谷昭雄「The Fellowship of the Inklings」
斎藤惇夫、菅原啓州「回想の瀬田貞二」
石堂藍編「インクリングスを読む」
「ユリイカ」 1992年7月号 青土社
生誕百年の特集。トールキン作品の翻訳として、
「失われた道」(The Book of the Lost Talesより)(赤井敏夫訳)
「領主と奥方の物語」(物語詩)(辺見葉子訳)
「密かなる悪徳」(講演)(松田隆美訳)
その他関連記事は次の通り。
吉田新一「中つ国はイギリスにあり?」
来住野恵子「Homo Mentiensの指輪」
柳沢富夫「時と空間のイメジャリー」
辺見葉子「ブロセリアンドの森の伝承」
P・S・ビーグル「トールキンの魔法の指輪」(安野玲訳)
N・ウォームズリー「トールキンと六十年代」(岩井茂昭訳)
井辻朱美「トールキンの『第三世界』」
鶴岡真弓「『ベーオウルフ』と怪物」
忍足欣四郎「中世文学者としてのトールキン」
高宮利行「女子学生に漫画を贈った大学教授」
宮原弥子「ヒーローになろうよ」
赤井敏夫「『密かなる悪徳』その結末」
小谷真理「リングワールドふたたび」
月館敦子・山本まみ「果てなき世界/トールキンのこだわり」
「鳩よ!」 2002年4月号 マガジンハウス
記事は以下のもの。この他にトールキンのイラスト、文献一覧など有り。
J・R・R・トールキン「魔法使いについて」(高橋勇訳)(Unfinished Talesの「イスタリ」の抄訳)
トム・シッピー「時を超えた誘惑と魅惑」(辺見葉子訳)
井辻朱美「ホビットはうたう」
中山星香インタビュー「妖精たちの国へ」
小谷真理+ひかわ玲子「光と闇に魅せられて」
「ユリイカ」 2002年4月臨時増刊 青土社
記事は全部「指輪物語」に関するもの。この他に地図、年譜、映画の紹介あり。
J・R・R・トールキン「航海譚」(辺見葉子訳)
C・S・ルイス「トールキン『指輪物語』」(高岸冬詩訳)
エドマンド・ウィルソン「ああ、あの恐ろしいオークたちよ!」(高橋くみこ訳)
アーシュラ・K・ル=グィン「『指輪物語』におけるリズムのパターン」(北沢格訳)
レイモンド・E・フィースト「みんなのおじいちゃん」(高橋くみこ訳)
マリオン・ジマー・ブラッドリー「人間と小さい人と英雄崇拝」(安野玲訳)
コリン・N・マンラブ「二つのファンタジー」(鈴木淑美訳)
辺見葉子「西方の楽園への航海者たち」
河合隼雄「ファンタジーがなぜ読まれるか」
富士川義之「トールキン談義」
萩原規子「これは祖父の物語」
恩田陸「ファンタジーの結末」
宇月原晴明「<主>という呪い」
上橋菜穂子「大シャーマンの旅の跡」
高橋勇「『指輪物語』をめぐる七つの問題」
津原泰水「ろーど・おぶ・ざ・りんぐ鑑賞記」
田中純「人間的な、あまりに人間的な」
斎藤環「ロード・オブ・ザ・リング敗戦記」
北小路隆志「歴史VSファンタジー」
風間賢二「『指輪物語』の下に二匹目のドジョウがうじゃうじゃ」
黒沢清「『指輪』と『歴史』と『映画』の中ではなにかが突然起こってしまう」
円堂都司昭「越境なきYAノベルの異世界」
天沢退二郎+井辻朱美「いまなぜ『指輪物語』か」