しんどふじ
身土不二   4    都会も農家も忙しい


四月、今年になって二度目の佐渡訪問。山々は雪、里は桜や桃が満開で,この春,二度も美しい桜に会えて、わくわくするようなうれしさでした。
今回は有機米の生産者グループや雑誌の生産者の方と五月の田植ツアーの打ち合わせ、そして交流会など時間に追われながらも楽しい顔合わせでした。自然とむき合う生産者から「生の声」が聞ける良いチャンスであり、食べる側にとって農村を知るかけがえのない学びのときです
 佐渡にも輸入農産物の影響が押し寄せて,シイタケは売れなくなった、とJA佐渡の職員の話がありました。そのときに島内の「生の魚」が昨年の四月ころから、売れなくなったという話も出ました。
 「だって島の人は魚が好きでしょう? ずっと食べてきたし」
と私。
 「それが焼き魚とか加工品は売れるんですよ」

 私は村の人たちの食卓が、全く都会と同じ方向に向いていると感じました。
 農家はサラリーマンのようなわけにはいかない、時間に縛られない分、時間に区切りのない仕事です。とにかく忙しい。女性たちもパートに出かけています。手を抜いて、早くできる食材、つまり加工してあれば有りがたい、都会も村も気持ちは同じです。
 ただ健康面から考えると、輸入農産物など食材の安全性には大きな不安があります。農家なのに、野菜を買う人が多いのに驚きます。おばあちゃんが畑で作っている同じ野菜をお嫁さんはスーパーで買ってくると嘆くお年寄りたち。忙しい時代の波をかぶって農村も都会も仕事第一、食は二の次。このことが「素材」を大切にする姿勢を押しのけ、インスタントや安値に走る傾向を作ったと思います。この延長線上にあるのは、安い輸入品の食卓です。

 輸入に右往左往する現状の中で、基礎的な「食材の選び方・食べ方」を生・消・流で考えなてはいけないと思います。

 作る人は、高値で売れれば、それで良いのか
 売る人は、単にもうかれば良いのか
 食べる人は、安くて、腹一杯になれば良いのか

 食べるものを作る人、売る人、食べる人が、目先だけにとらわれて走りまわるのではなく、農業を生命の産業としとらえた視点と意識で向き合っていくことが、輸入問題への解決の糸口の一つにならないだろうか。そんなことをしみじみと思うのです。

                   浅井まり子 H13,4,27
              



                        

しんどふじ
身土不二   3     地元農業と提携
 一日から改正JAS(日本農林規格)法が施工されたので、食品の表示がどのようになっているのか、デパートの野菜売場をのぞいてみました。
 熊本産のスイカ、神奈川産のトマトやキュウリ、韓国産バブリカ(赤、オレンジ、黄)、果物はほとんど輸入のもですが、きちんと生産国が表示されています。
 残念ながら、有機JASマークのついた野菜(三年以上無化肥・無農薬、)は見当たらず、減農薬のピーマンとトマトが健康野菜表示で出ていました。
 今まであれ程目についた有機栽培の表示は何だったのでしょう。 しかし現実には有機農法で野菜を生産するのは簡単ではないかも知れませんね。化学肥料を使用せず土をつくるー土の中の微生物や生きものを生かす堆肥づくりは時間と労力が必要です。
手間を省くことは許されない土づくりからスタートです。
健康な土あってこそ病気になりにくい野菜ができます。
健康野菜を食べたい消費者は増えていますが、見た目や不ぞろいの形、虫喰いなど丸ごとを受け入れていく姿勢が必要だと思います。

 私たち食生活研究会(食研)二十年前地元の相原伸光,佐江子夫妻(宮原)と根元新之助さん(村岡)に出会い、有機農法による野菜づくりを頼みました。
以来、週一度、会員に有機野菜が届けられています。
この長い年月、私自身は、一般の店で、野菜を買ったことはありません。
 食卓メニューは届けられた野菜を見てから考えます。メニューを考えてから食材を選んだときとは大違い。
まず野菜ありき、です。食卓のむこうには、生産者の田畑があり、生活や農村風景が見えます。
季節の香りがそのまんま伝わる食卓です。

 食研は、全国に提携している仲間(農家)をたくさん持っています。米・雑穀(キビ・大麦・小麦・豆類)、季節の果物、緑茶、紅茶、樟脳(衣料防虫剤、日本で唯一人の生産者)など、食研創立以来三十年の間つみ重ね支え合っている仲間たちです。

 今でこそ「有機」が表示される時代となりましたが、変人扱いの中、よくぞ今日まで一緒に歩いてこれたなあと感じます。
 「生産者は、消費者の生命を守る」
 「消費者は生産者の生活を支える」。この支え合いをモットーにきましたが、現実には生産者の生活を支えることは出来ません。それでも続けられるのは、環境を汚染しない生き方や有機農業運動が、未来への大きな遺産となると信じるからです。
藤沢の農村部をまずは歩いてみてはどうでしょうか。

                  浅井 まり子   H13,4,13
              


しんどふじ
身土不二  2      旬の食卓
 「イチゴは今が旬です。大いに食べて下さい」こんな記事が冬の寒い時期、よく目につきます。
作る人、売る人が懸命に宣伝する姿を見るにつけ「イチゴは五月,六月が旬」と、子どもたちに教えるのも容易ではないなあ、とつくづく感じます。
イチゴばかりでなく、トマト、キュウリ、ナス、やピーマンなど夏野菜が溢れるほど売られています。特にこの二,三年は中国、韓国そして東南アジア諸国から同じような輸入野菜が、どんどん押し寄せています。

 財務省2000年の貿易統計のまとめによれば、生鮮、冷凍、乾燥を含む野菜全体の輸入量は281万トンで、過去最高です。
このうち生鮮野菜は92万トン。中でも日本農業を安値で脅かしているのは、ネギ・ショウガ・生しいたけ・トマト・ナス・ピーマンなどです。、
中国や韓国は、ハウス栽培で一年中、日本へ輸入できる体制を整えています。日本もハウス栽培で、鮮度や安全性で対抗しています。スーパーなどの店先は、ハウス栽培・安値合戦というところでしょうか。「旬」はどこかへ消えてしまった野菜売り場です。

 ご存知のように、恵みの太陽・大地・風などたっぷり受けた野菜たちの栄養価は抜群です。
ホウレン草の冬のビタミンCは、夏どりに比べて三倍も多いし、トマト、キュウリ、レタスなども二倍から三倍近くのビタミンC、しかも経済的です。
何の考えもななく「安さ」だけを追う野菜選びは、健康の面からいえばおすすめできません。
 その他に大切なのは、旬を選ぶ人が増えれば店先の「旬・地場ものコーナ」が大きくなり、常設されていくということです。
最近は藤沢市内のデパートに、地場ものを大きくだしているとことがあります。鮮度良し、値段も手ごろということで、結構売れているそうです。
地場産が売れれば地元が活気づきます。農業のほとんどは、生産物をわざわざ遠くへ出すより、地元で売れることを望んでいます。

 私たち台所をあずかる食べる側が、どんなものを食べるのか、選ぶのか、このことが日本の農業の行方を決めるのではないでしょうか。
 売る側もただ、売れれば良いだけでなく、日本農業の崩壊を招くような行動を問い直し、厳しい出荷基準や価格の低迷で、生産者の意欲を低下させている現状の打開策に取り組んでほしいと考えます。
 店先に並ぶ「きれいすぎる野菜」は誰が望んでいるのでしょうか。安全性の高い地場・旬の野菜の食卓こそ健康的と言えるでしょう。
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 浅井まり子・・・・健康のための食事のあり方を研究し,有機栽培作物の生産者と利用拡大の活動に取り組む。食生活研究会主宰。鵠沼神明。

              浅井まり子    H13、3,13


しんどふじ
身土不二  1     (しんどふじ)
「身土不二」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
これは古い中国から伝えられました。
 「身」とは身体であり、「土」とは住んでいる土地のことで、私たちの身体は住んでいる場所や環境と「一つ」という意味です。
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 私たちは気候風土に深いかかわりを持ちながら、季節が育てた食べ物で生命をつないできました。
寒いときには,身体を温める根菜類(大根、人参、里芋、ごぼう、レンコンなど)が育ち、暑い夏には、身体を冷やすもの(トマト、キュウリ、ナス、ピーマンなど)が育ちます。
 季節に逆らわず、旬を食べることは体がよろこびます。元気になります。冬に冷たいものは欲しくありません。身土不二的食べ方とは「地域のものを旬にたべる」ということでしょうか。
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 気がつけば、私たちのまわりはすっかり変わりました。私たちは、世界中の食べ物を季節を問わず手にすることができます。
 豊かになりました。好きなものは、いつでもどこでも食べられます。しかしどうでしょうか。日本は世界一の長寿国と言われながら何と病人も多いことでしょうか。
 食溢れて病多しーですね。それは食料品の「質」と「食べ方」が問題だと私は感じています。
 日本人の体を作ってきたのは、「米」を主食に山のもの、川海のもの、畑のものを近場から手に入れ(地産地消)、季節に従って食べ伝えてきました。
 今、「米」の消費量が減っています。日本は、アジアモンスーン地帯にあり、雨が多く温暖多湿の国です。雑穀に適した気候風土で早ばつや冷害に強い雑穀を作ってきました。
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 私が、この雑穀に出会ったのは、娘のアレルギー喘息に悩んでいるときでした。医者をめぐり薬だけでは治りきらない、根本は「食」なりと気づき、私の作るメニューを見つめました。
 まず主食を白米から玄米やアワ,ヒエ、キビ、ハト麦などを混ぜたものに変えました。
 玄米はビタミンB1、Eや、食物繊維が多く、便秘を解消し胃腸病、糖尿病の改善に役立つと言われるほど栄養的に優れています。その他の雑穀も然りです。
 娘は玄米や雑穀飯をしっかり噛んで食べる習慣を重ねていくことで健康になっていきました。健康にとって「主食に何を選ぶのか」は最も大切なことだと思います。
 日本は瑞穂の国、米を食べて身体を作ってきたのです。私たちは今、地域や旬をを忘れ、生命育てる「食べ物」を二の次にしていないでしょうか。
                  浅井 まり子 H13,3,2
しんどふじ
身土不二96 黒い色を食べる
秋の風が吹いています。夏、豊かな緑の樹木の葉が、だんだんに色づき始め、風が吹く度にハラハラと舞い落ちています。少しずつ寒さがしのび寄っています。
季節の変わり目です。こんな時はちょっと立ち止まり、ゆっくり歩き、変わってゆく景色を眺めながら朝の散歩。体いっぱいに、新鮮な空気を吸う。とっても気持ちの良いものですね。
「黒いたべもの」
中国には、古くから食物には、性質があり、食べたときに、人体がどう反応するか、という理論が脈々と伝えられています。
例えば、食べた後、体が暖かくなるもの、体が涼しくなったり、冷えるものがること、それを調理方法によって、冷えるものを暖める性質に変えたり、その他、きめこまかく「食べ物」と「人体」のかかわりを教えています。
先日、食研主催の"つどい"で「黒いたべもの」の話をさせていただきました。これから寒い季節をむかえるに当って、体を暖めるものを食べてほしいと思い「食べ物の色」、特に黒を中心のメニューの昼食でした。
メニューは@黒豆入り玄米ご飯AひじきのサラダB磯辺焼きCわかめとじゃがいものみそ汁Dデザート(黒酢餅)
それぞれ味わいがあり好評でした。Aのサラダは、さっと出来ますからお試し下さい。
<ひじきサラダの作り方>
(材料)
◎ひじきは乾いたもの10g→水にもどし、よく洗い、熱湯をくぐらせ、ざるにとり、水を切っておく。
◎黒豆100g→やわらかに煮ておく。塩で少々下味をつけておく。
◎長ねぎ(1/3個)→みじん切り
◎人参少々→せん切り
◎ドレッシング→黒酢大さじ1、ぽん酢大さじ1、サラダ油大さじ1
以上のひじき、黒豆、長ねぎ、人参をドレッシングで和えれば出来上がりです。
黒豆は、お正月以外、余り食卓に登場しませんが、玄米に黒豆、緑豆、うずら豆などの豆を入れて炊くと、栗ごはんのような感じになり食欲をそそります。繊維もたっぷりありますからお腹の調子も良くなります。ただし、よく噛むこと、それに胃腸が余り丈夫でない人は、ほどほどに。
体に良いからと一方づいて大量に食べることは良くありません。私の友人でコンニャクが体に良いと聞いて一度に大量食べ、逆にお腹をこわし、ひどい目に合いました。気をつけましょう。