イメージ


前回では、治療する時は手の感覚を重視する、と述べた。では、その時何を考えているのか?

治療の段階として、まず検査と診断、それから治療、最後にその確認となるわけだが、その全ては手によって行われる(ときには鍼を用いる事もあるのだが)。検査の時は、心を”無”にして行う。患者さんの訴えに振り回されて、その事を考えると意識がそちらばかりに集中してしまい、正しい診断が出来ない事になってしまう。診断を間違えれば、当然結果は出ない。一番大事なのはここなのだ。

正しい診断が下せれば、あと必要なのは正確な治療という事になる。そのときは、その部分を”視覚化”する。脊柱を矯正する時は、そのリスティング(骨の変位の状態を記号で現したもの)をイメージする。クレニオを調整する時は、頭蓋骨の状態やクレニオリズムをイメージする。鍼を打つ時は、選んだツボの経絡の流れをイメージする。

治療が進むにつれて、最初の崩れた状態のイメージがだんだん変わってくる。例えば、腰椎の治療をしている時、始めに触った時はネジレたり傾いたりしていたイメージが、だんだん緩んできて元の状態に動いてくる。さすがに何年も悪い状態の場合は1回で治る事は困難だが、確実な手応えと確かなイメージの変化があれば、その時の治療の終了のサインとなる。

他にもいろいろあるが、あまり専門的な事は止めておく。何もイメージしないで治療するという事は、僕にとっては何の意味もなくただ人の体を触っているだけになってしまう。



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