ここが痛い


当院へ来られる方は、だいたい「ここが痛い!」と訴えてくる。他の所を触っていると、「そこじゃなくて、ここが痛いんです」と自分の指で示す方もいる。

しかし、人間の体というのは、痛い所だけが必ずしも悪い所とは限らないものだ。例えば、膝が痛い方は腰が悪い場合が多いし、その逆の場合もある。膝が悪い人は、そこをかばって歩くため、他の部分にも負担がかかる。大抵最初はどちらか一方だけだが、そちらをかばうため反対側にも負担がかかる。そのうち腰にも負担がかかり、首や背中まで悪くなる事がある。

このように、一個所悪くなると、色々な所がそれに伴って悪くなる事が多い。でも、人間は自分が一番痛い所だけが気になるものなのだ。では、痛い所だけ治療すれば良いのか?それではいけないと思う。

膝が痛くて、腰は本人は特に感じないが悪い場合に、膝だけ治療したならば、腰の悪さが残ってしまう場合が多い。こういう場合は、少し時間が経つとまた膝の痛みが出てきてしまう場合が多い。要するに、草に例えると、根っこは残った状態で上だけ取るから、またすぐに生えてくるようなものだ。

では、どうすれば良いかと言えば、悪い所は全部治せば良いのだ。本人が痛さを訴えていなくても、僕が見て異常がある所は必ず治療する。また、本人が痛いと訴えていても、異常がなければ治療する必要はない。

このように、僕は患者さんの訴えよりも体の訴えを重視する。でも、それで患者さんの訴えを解決できる。



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