信じるものは救われる?


この言葉は良く耳にするが、この言葉は私の仕事にも当てはまるような気がして仕方がな かった。

私の治療院には、実に様々な方が来院される。お子さんからご年配の方々、運動不足で調子が悪い人や、プロスポーツの選手で体を酷使し過ぎた人など、いろいろだ。その一人一人が性格や考え方などもそれぞれ違うわけだ。素直な人、疑い深い人、臆病な人、敏感な人、鈍感な人などあげればきりがない。

今までいろんな方を治療させていただいたわけだが、やはり性格によって治療効果が異なってきてしまう事に気がついた。やはり、早く治療効果が現れるのは、素直な人と敏感な人のような気がする。逆に、効果が現れにくいのは、疑い深い人、鈍感な人のような感じだ。疑い深い人というのは、最初から疑ってかかっているので、体が自然に防衛体制に入っている場合が多い。治療しようとしている所の力を完全に抜いてくれないのだ。

私の治療は、以前にも述べたが非常にソフトなので、人によっては何もやってないとか、気を送ってるとか、ただ触わっているだけだとかしか感じない人もいる。ハードに無理矢理に行う場合は、少しくらい力が入っていようが強引に治療できるが、ソフトな刺激の場合はそれではお手上げだ。

鈍感な人の場合は、治療効果が現れているにもかかわらず、本人が気がついていない場合が多い。例えばこんな感じだ。先週、五十肩で腕が痛くて上に挙げられない患者さんが来られた。最初に本人に腕を挙げてもらった感じと、治療後にもう一度挙げてもらった感じは、私が見た感じではあきらかに違っていた。私は見た感じで「ああだいぶ良くなったな、本人もだいぶ楽に違いない」と思ったが、一応本人に尋ねてみたところ、私の意に反した答えが返ってきた。「全然さっきと変わってません」。えっ?私は、一瞬自分の耳を疑った。もう一度尋ねてみたが、同じ答えだった。結局、本人は不本意な顔をして帰られたが、しばらくしてその患者さんを紹介してくれた奥さんから電話があった。「ありがとうございます。主人はだいぶ良いみたいで、店に出てます。」

その方は夫婦で飲食店をやられてる方で、ご主人が肩が痛くて仕込みが出来なかったのを、奥さんが見るに見かねて、嫌がるご主人をなかば無理矢理連れて来たのだった。本人は、奥さんに言われてようやく、自分の肩が良くなっているのに気がついたらしかった。

素直な方や敏感な方というのは、私の指示通り治療を受けてくれるし、効果に対してもそのまま気がついてくれるので、とてもやりやすい。やはり、お互いの気持ちが一致しなければ、治療効果が半減してしまう気がする。患者さんはなんとか自分の疾患を治したいと思い、それに対して私はなんとかしてあげたい、と思う。その双方の気持ちが一致して信頼関係が出来た時に、真の治療効果が現れるような気がする。

もちろん、最初から私の言う事を全部信じる必要はないと思う。しかし、疑ってかからないでほしい。



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