自然治癒力


前回は治療と治癒との違いについて述べた。人にはそれぞれ自然治癒力というものが備わっているわけだが、これには個人差がかなりある。私が行っている治療は強い力を使わず安全なため、下は4歳から上は90歳以上の方まで来院いただいている。「肩がこった」「腰が痛い」とおっしゃる方が多いのだが、若い人は治療に対する反応が早い方が多く、一通りの調整が終わって「どうですか?」と聞いてみると、「すっかりよくなりました」とか「さっぱりしました」とお答えになることが多い。これは治療と同時に治癒が起こってしまうくらい免疫力が強く、体力が充実している証拠だと思う。

それに対して、年配の方や疾患が長年にわたって慢性化している場合は、「うーん、前よりはいいかもしれない」とか「なんだかよくわかりません」といった反応を示されることが多い。そう言われてしまうと、それじゃもっとわかるように治療してみようかとも思うのだが、刺激しすぎるとかえって逆効果になりかねないので、注意している。

治療後すぐに自分の体の変化に気が付かなくても、しばらくたって実感できる人もいる。「治療が終わった時はまだ膝に痛みが残っていたんですが、家に帰ってから痛くなくなっていることに気が付きました」という方、肩が痛くて腕を挙げられず来院され、治療直後は「まだ痛くてだめです」とおっしゃっていたが、家に帰って高いところの物を整理しようとしている時に奥さんから「あら、あなた腕が挙がってるじゃないの」と言われて初めて肩が痛くないのに気が付いたという方、治療の2〜3日後が一番調子がよいとおっしゃる方・・・と、さまざまである。このように、治療しても治癒するまでに時間がかかってしまうのは、免疫力が弱って体力が低下しているか、症状が重い場合に多い。

だが、治癒力というのはある程度努力によって高めることもでできる。年齢はどうしようもない。仕事もおいそれと変えることはできないし、ストレスだって簡単には減らせない。やはり、食事に気を配り、適度な運動を心がけることにより体調を整えることがよいのではないだろうか。また、定期的にオステオパシーや整体、鍼灸等の治療を受けることにより、免疫力や治癒力を高めることも一つの方法であろう。



戻る ホーム 次へ