オステオパシーのテクニック PART5 〜筋膜リリース〜


筋膜とは、筋肉、骨、内臓、血管を覆っている結合組織で、連続して全体として1枚の立体的な膜になっています。筋膜は3層からなります。一番表面の筋膜は皮膚の内面に付着していて、密度が粗く網目状の組織です。その筋膜の内部は脂肪、神経、血管があります。網目状であるため、皮膚は自由に動くことが出来ます。深部の筋膜は密度が高く、表層よりもより強い筋膜です。筋肉や内臓を包んでいるのはこの筋膜です。さらに深部の奨膜下の筋膜は緩い網目状の組織です。役割はいろいろありますが、筋の保護、血管や神経が全身に行き渡る事の支持、などです。また内臓はお腹の中でお互いくっついていますが、体をねじったりしても摩擦が起こる事なくスムーズに動くのも、内臓をつつんでいる筋膜のおかげです。

身近のわかりやすい例としては、鳥の胸肉でしょうか。肉の上に薄い透明な膜がありますね。それが筋膜です。何らかの原因で一部が縮んだりねじれたりすると、筋膜は1枚の膜であるため他の部位に影響を及ぼします。シーツは一部がよじれると他の部分もよじれてしまいます。それと同じです。人間の筋膜は立体構造になっているためもっと複雑に影響します。例えばイスに座るときにいつも脚を組んでいたりすると、骨盤がズレてきて腰の周りの筋膜もひきつれてきます。そうすると背中や首の周りにまで影響を及ぼします。最初は腰が痛いだけだったのに少し経ったら首も痛くなってきた、というのも一つの例です。

筋膜が異常をきたすと、筋膜に包まれている筋肉も緊張します。筋肉が緊張すると、筋肉が付着している関節も動きが悪くなり、固まって可動性が減少します。筋膜リリースの具体的な方法としては、手のひらで軽い持続的な牽引と圧迫を筋膜に与えて筋膜を開放するのですが、患者さんの呼吸を利用してやる事もあります。

私が筋膜リリースを使う場合は、治療の一番最初に行う事が多いです。筋膜を正常にしておく事により、その後で行う骨格の調整が行いやすくなるからです。



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