うつ状態

(軽い抑うつ気分からうつ病まで)

鶴井医院  高岸 泰


うつ状態

みなさんが気軽に精神科の診療所を訪れるようになった現在、最も
よくみられるのが「うつ状態」だとおもいます。うつ状態とは一過性に
憂鬱になり、気分がおちこみふさいでいて、元気(活力の源)が失せ
て、心身の不調をきたした状態といえそうです。例えば電池が弱って
いる、きれかけている状態に似ています。


いろいろなうつ状態 うつ状態の症状
*誰にでも見られる気分のおちこみ。
(何となくブルーな状態、単なる小さな波
 としてのおちこみがやや長く続くもの。)
*原因の明確なおちこみ
(脳の器質性疾患に見られるおちこみ)
(薬物の作用によるおちこみ)
*ストレス障害によるおちこみ。
(配偶者との死別、離婚、結婚、挫折、
 対人関係のトラブル、昇進、配転、
 失恋、引っ越し、感冒、病気などの
 ストレスによって引き起こされる
 おちこみが長く続くもの。)
(心身の過労・疲弊状態に伴うおちこみ)
(更年期や初老期の人に見られる
 おちこみ・・・子離れ、閉経、退職、
 更年期障害や身体の老化、記憶や、
 その他の能力の減退に伴うおちこみ)
*うつ病
(うつ状態を主とした感情の病気による
 おちこみ)
*感情の異常
 憂鬱、不安、イライラ、
 落ち着かない、さびしい、辛い、
 劣等感、絶望感、疎隔感。
*意欲の異常
 やる気が起きない、根気がない、
 朝起きれない(床離れが悪い)、
 本や新聞が読めない、
 人に会いたくない。
*思考の異常
 頭が重い、判断がつかない、
 集中できない、まとまらない、
 死にたい。
*自律神経系の身体異常
 体が重い、だるい、疲れやすい、
 不眠、朝早く目覚める、
 食欲がない、痩せてくる、
 日内変動、特に朝方が悪い。


うつ状態への対処について、周囲の人たちへ
1)心身の安静を計ってあげて下さい。
 充分な休養が必要です。静かに見守り、受け入れ、
 支えてあげることが大切と思います。
2)話をよく聞いてあげて下さい。
 すべてを受け入れ、傾聴してゆくことが大切と
 思います。
3)適切な医療をうけるように配慮して下さい。
 *診断に基づいた説明ができ、みんなでどう対処する
  のがよいか検討できます。
 *職場や学校、家庭内での環境調整ができ、患者さんの
  の負担を軽減できます。
 *辛い状態を回避するために、診断書を出して休んで
  治療することができます。 
 *適切な薬物療法ができます。これが最も大切です。
4)あとのフォローも大事です。
 *職場や学校への復帰を上手にして下さい。
 (治ったら、配慮は必要ですが病人扱いはしないで。)
 *そして、再発の予防です。
 (これには御本人の心構えが必要です。これは次へ)
是非とも避けて頂きたい
ことは次のとうりです。
1)善意からでも、
 叱咤激励は止めま
 しょう。
 から元気を出させよう
 としたり、脅したり、
 追いつめては
 いけません。
2)悲観的な、絶望的な
 話は止めましょう。
3)重大な決定事項は
 先に延ばして下さい。
 治ってからにしま
 しょう。
 (退職・退学、
  転職・転校、転居、
  契約、物の売買、
  離婚・など)


うつ状態になりやすい人たちへ

 
 *几帳面な人はもっとズボラに、律儀な人はもっと不義理に、
  責任感も結構ですが、もっとイイ加減に生きて行こうではあり
  ませんか。
 
 *社会や集団、周囲の人に合わせるより、マイペースを大切に、
  もっとのんびりしようよ。

 *人の評価を気にするよりも、人にイイ顔するよりも、
  もっと自分に優しく、自分関係をよくして行こう。

             そして、重要なことは、

 *もしも、また来たな・・と思ったら、まず適切な治療を受けましょう。
 (そのためにも、気の合う医師を日頃から確保しておくことです。)

 *大切な人たちを悲しませないために、絶対に自殺だけはしないでおこう。

           必ず治るのだから

   (ということを胸にしっかりと刻みつけておいて下さい。)