震撼武田薬品事件 
 2008年2月、風光明媚な湘南の地にP3レベル遺伝子組換実験計画が浮上し、山影冬彦は腰をぬかしかけた。あな恐ろしや、なんと不粋な製薬会社か。
 目視不能の恐ろしい病原体が相手とあっては、三十六計逃げるに如かずと逃げ出すのが賢明だが、その前にささやかな抵抗を試みたのが、以下の腰抜け奮戦記である。
 及び腰ながら、神奈川県知事への「意見書」の提出から「公聴会」まで身がもてば、それでもうけものと心得える。
  神奈川県知事への「意見書」は日本全国から誰でもだせる。提出期限の3月17日ははや過ぎた。「公聴会」の公述人には資格制限があるが、その開催は7月5日(土)に決定した。それをどうにか乗り切った。
 乗り切ったら、まだ先があった。これからが正念場だと気を引き締めて取り組んでいきたい。
 義を見てせざるは勇なきなりという。意気に感ずる方のご支援を乞う。



サイト更新停止のお知らせ 2008年8月19日

 7月21日に武田問題対策連絡会が急遽結成され、8月半ばにはその専用サイトも立ち上がりました。武田事件を専用に扱うサイトは、既設の「P3施設を考える会」のサイトに加え、これで2つ目となりました。

 当「震撼武田薬品事件」サイトは、もともと急場しのぎに立ち上げた粗悪品です。武田事件専用のサイトが2つも存在するようになったからには、粗悪品の存在意義は薄らいだと判断し、今後の更新作業を停止することにします。ただし、事件の経過についての資料価値はあると判断して、現状のまま、もうしばらくは削除しないでおきます。

 今後の武田情報は、2つの専用サイトから取得してください。

*武田問題対策連絡会のサイト

*P3施設を考える会のサイト



7月9日開催 神奈川県環境影響評価審査会 傍聴報告
それは三戸地区発生土処分場への関心を喚起するものだった。
   

 7月9日の審査会では武田薬品の件は、分厚い資料は出たものの、実質審議をせずにわずか15分程度で終わってしまった。次回に7月5日の公聴会の報告を予定し、そこに審議を集中するつもりらしい。

 せっかく傍聴したのに期待外れだったが、收穫もあった。武田薬品新研究所の件の代わりに、京浜急行が進めている三浦市三戸地区発生土処分場建設事業の件をじっくり聴くことができた。

 三戸の件は武田の件よりは半年前からアセスの手続きを開始したものだが、当地特有の生態系をどのように保全するかでなかなか難しい面があって(「生命の星・地球博物館」学芸員・瀬能宏論文「初声町三戸地区の谷戸の重要性」を参照)、武田の場合のようにとんとん拍子には手続きが運ばなかった。手続き上まだ「意見書」の受け付けの段階だから、半年後から開始の武田に追い抜かれて、さらに半年弱の差をつけられた格好になっている。とはいえ、両者はほぼ同期に建設計画が練られたと見て間違いない。

 この同期ということには大いに注目すべきかと思う。一方の武田は、一事業体が出す量としては膨大な量(26万立方メートル)の発生土を外部に搬出する計画を立てている。他方の三戸は今後7年間にわたり220万立方メートルの発生土を受け入れる施設として建設されようとしている。ちょうど辻褄が合う。そこで、想像をたくましくした。

 武田新研究所建設問題はさまざまな問題を抱える。とりわけ「土壌汚染」については、その調査をろくにしないで膨大な量の発生土をどこに持ち出そうとするのか、その受け入れ先が見つからないだろうと思っていたのだが、あった。三戸である。京急作成の三戸に関する「環境影響予測評価書案」を借りて覗き見したところ、案の定「土壌汚染」の項目が選定されていなかった。発生土処分場建設のアセスにおいて「土壌汚染」の項目を選定しないとは、呆れ返った話で、受け入れる発生土の汚染状況を調査しないということにほかならない。武田からの無調査発生土は三戸においてフリーパスで受け入れられる計画が練られていると見て間違いない。あまりにも辻褄が合いすぎる。

 武田も京急もアセスに応じると見せかけて、その上手い抜け道を考えついたものである。もちろん、この抜け道は私企業だけでは難しい。県や市の役人による指導〜黙認があってはじめて成立するものだろう。

 本拠地大阪に土壌汚染の「実績」例があるように、薬品製造工場として40年以上にわたって稼働してきた跡地からでる武田の発生土はさまざまな有毒物質によって汚染されているに違いない。そういうヤバイものであったとしても、三戸の谷間の一番奥底に埋め込んでその上を汚染のない発生土で覆ってしまえば、バレることはないと官民一体で知恵を絞って考えたものと推測される。

 しかも、形の上ではアセスの手続きを踏んでいる。だから環境保全上は安心だと人心に訴えることもできる。アセスを隠れ蓑に使った実に巧妙な手口である。

 私はこの巧妙な手口にはひっかからない。三戸地区発生土処分場建設事業についての京急による「環境影響予測評価書案」に対しては、「土壌汚染」の項目を必ず選定して、現況のみならず搬入されてくる発生土の汚染状況をも調査するようにという内容の「意見書」を提出することにしたい。

 このような「意見書」を審査会がどう受けとめるか、審査会の見識が問われている。傍聴を重ねて、見守りたい。

 なお、三戸地区発生土処分場建設事業についての京急による「環境影響予測評価書案」に対する「意見書」は、その提出期限が7月17日(木)必着という形で、迫っている。前掲の瀬能宏論文「初声町三戸地区の谷戸の重要性」を参照されるか、または、この拙文を読まれるかして、思いを同じくされる方がいれば、「意見書」の提出を呼びかけたい。「意見書」の数は一通でも多い方が、効果があると考える。なお、「意見書」の様式については、必要事項さえ記されていればよいので、例えばハガキにて提出することも可能。

http://www.pref.kanagawa.jp/press/0806/004/index.html を参照のこと。


三戸発生土処分場へ


<バイオリンク>

P3施設を考える会 ←武田任意説明会開催情報あり
*武田問題対策連絡会
*バイオハザード予防市民センター
*学習院バイオ施設建設反対の会(目白の杜を守る会)
*藤沢エコネット


公聴会の模様を伝える毎日新聞 2008年7月6日 地方版 


武田薬品:新研究所環境評価で公聴会 住民の反対意見相次ぐ−−藤沢 / 神奈川

 ◇「ずさんな内容で不安」

 武田薬品工業の新研究所(藤沢、鎌倉両市)の環境影響評価手続きで、住民らの意見を聴く公聴会が5日、藤沢市弥勒寺の村岡公民館であった。5月に知事へ出した意見・見解書などで、人体に危険性がある微生物を扱う「P3レベル」実験施設に関し安全性を強調する同社に対し、出席者からは「環境アセスメントとは言えないほどずさんな内容で不安」などと反対意見が相次いだ。

 公聴会には両市民約200人が出席。建設予定地から3キロ以内に住む無職、木村直人さん(60)ら21人が「予定地周辺は住宅密集地で、学校や病院もある。私たちはモルモットではない」「実験動物の死骸(しがい)で汚染された排水が江の島に流れるのは湘南人として耐えられない」などと意見を述べた。地震や大気・土壌汚染の対策に対する疑問も相次いだ。

 一方、同社の大川滋紀取締役らは「みなさんご心配の病原体は現在は持っていない。しかし将来の約束まではできない」と陳述。これに対し住民側は「前に聞いた説明と同じ」と反発。「何で話し合いのテーブルにつかない?」と怒号も飛ぶ中、閉会した。(永尾洋史)


〔補足説明〕

 公述人21人全員が批判的意見の持ち主。推進派の発言は一人もなし。開けてビックリ玉手箱。県の姿勢は公述人には各自10分の発言しか認めないのに、武田薬品には20分の発言を保障するもので、明らかに武田薬品寄り。公聴会とは住民の意見を県が聴くための制度ではなかったのか。そこで、山影冬彦は県を相手に重大な決意を固めた。

  なお、公聴会当日、会場に記者を取材派遣したのは、「毎日」・「神奈川」・「朝日」の3社(他にミニコミ紙の「タウンニュース」)で、上記事の「毎日」の他に「神奈川」も翌日の地方版に小振りながら記事を載せたが、「朝日」だけは載せなかった。
 不審に思い、「朝日」の湘南支局(0466−26−4911)に問い合わせたところ、紙面の都合上ということだった。武田問題に関して住民の動きを報道する姿勢はないのかと尋ねたところ、住民の半数以上が反対するようになれば記事にするかもしれないという答えが返ってきた。新聞報道機関としての社会的使命感を欠落したあまりにもひどい答えだったので、もう「朝日」を購読するのを打ち切ることにした。





                武田事件・経過と今後の予定
                                                                 

県アセス条例上、住民による意見書の提出を終了。武田側が提出した見解書も縦覧終了。ついに公聴会も終わった。いよいよこれからが山場です。
経過のあらまし
*2008年2月の説明会にてP3遺伝子組換実験問題浮上
*3月17日、県知事への意見書提出締切り。
*4月1日、5日、鎌倉と藤沢で学習会開催、参加者多数
*4月上旬、目白学習院近隣の住民との交流開始。
*4月19日、藤沢エコネット学習会。
*4月20日、住民組織「P3施設を考える会」発足。
  5月までは開店休業状態。
*4月25日、5月11日、目白の学習院にて住民への説
  明会開催。 → 報告はP3施設を考える会にある。

*5月23日、武田「見解書」の縦覧開始。7月5日
  公聴会開催の告示。
*6月7日、P3施設を考える会主催・「見解書」検討会。
*6月23日、公聴会公述申出期限。
*6月29日、P3施設を考える会主催・模擬公聴会。
*7月5日、神奈川県主催・公聴会開催。公述人21名。
  チラシ・パンフ・公述意見集等を配布。
  終了後、住民集会。
*神奈川県環境影響評価審査会開催。
*7月12日、鎌倉市を中心に住民組織「湘南の環境を
  守る会」発足。
*7月21日、午前10時〜、P3施設を考える会主催
                  公聴会の報告会。
        午後1時半〜、武田薬品主催
                地域限定任意説明会。


最新情報
7月21日は
会合特集日!
公聴会報告会
    &
地域限定任意
説明会


*午前の部  10時〜12時
   P3施設を考える会主催・公聴会の報告会
     藤沢市村岡公民館1階学習室

*午後の部  1時半〜3時半
   武田薬品主催・村岡玉縄地域限定任意説明会
      藤沢産業センター6階会議室

午前午後を通して参加すると、事態の真相に迫れます。

目白で学んだこと
目白の学習院の場合は、アセスメント法制の枠外の動きなので、同法制外での取組方における工夫を学んだ。任意説明会や工事用説明会等の折に参考になる。

各種会合予定
〔各団体・地域で開催される会合の予定を掲示〕

*7月28日(月)
神奈川県環境影響評価審査会

公聴会への対応
















公聴会への対応

















公聴会への対応

















公聴会への対応

















公聴会への対応



















山影冬彦が県に提出した「公述申出書    意見とその理由」

T.意見
日本の医薬品業界を代表する武田薬品が信用失墜を招来するほど杜撰な環境影響予測評価書案を作成したことを率直に恥じて、湘南工場跡地での新研究所建設を自主的に断念することを要請する。断念する意思がない場合には環境影響予測評価書案の全面的なやり直しを求める。

U.理由の本文
 次の諸項目にわたり、選定如何から調査・予測・評価に到るまで、脱法的言い逃れや杜撰極まりない扱いが目立ち、とうてい環境影響評価の名に値しない状態であり、その惨状は住民に対する説明会や住民の意見書に対する見解書においても改められることがなかった。万一こんないい加減な環境影響予測評価書案を認めるならば、神奈川県環境影響評価条例の根幹を揺るがせ、将来に禍根を残す事態を招くとともに、新研究所の工事や稼働によって地域住民への多大な健康被害や地域文化の破壊が生ずると懸念されるから。

V.理由の諸項目(項目の分類は「神奈川県環境影響評価技術指針」を参考にした)

@大気汚染  様々な有毒物質が発生する多数の実験室からの大量の強制排気(換気)を一切考慮に入れていない点で、杜撰。化学物質過敏症をどうしてくれる?

A水質汚濁  実験系排水を公共下水道につなげることを理由に水質汚濁の項目自体を選定しない点で、専横。武田薬品による垂れ流しによって湘南海岸が水俣化する恐れあり。

B土壌汚染  薬品工場跡地としての土壌汚染調査をごく一部でしか行わないまま、膨大な量の土砂を掘り起こし、周辺に埃をまき散らしつつ外部に持ち出すという点で、傍若無人。

C悪臭  煙と臭いの出る実験動物の火葬場を町中に設置するという点で、無神経。

D廃棄物・発生土  迂闊に廃棄できないP3系・RI系廃棄物の処理を委託業者任せにする点で、無責任。発生土についてはBで言及済み。

E水象  A絡みで、目前に流れる柏尾川の調査も省く点で、いい加減。

F植物・ 動物・ 生態系  人体に付着して侵入する動物への警戒心を欠如した点で、、無防備。

G文化財  埋蔵文化財包蔵地直上での工事がないと偽って文化財を選定項目から外し、前非を悔いることなく再び十二天遺跡を踏みにじろうとする点で、悪辣。

H安全  年末年始・年度末・海の季節の渋滞期間を外した調査で工事中の渋滞予測値を操作し、既存建物の危険物倉庫まで基礎免震だと装おうとした点で、卑劣。

I有害化学物質の排出抑制措置  創薬研究開発のための諸実験に有害化学物質が必要不可欠だという常識を尻目に、有害化学物質の排出抑制措置を選定項目から外す点で、厚顔無恥。

J遺伝子汚染防止措置  大阪府茨木市彩都の並のバイオ規制を逃れて人口が密集する湘南にP3遺伝子組換実験室を造ろうという点で、狡猾。この狡猾が、バイオ施設に関する「実績」詐称と、安全なら敷地内に社宅を造って体で示せという住民要求に対する敷地内社宅「実績」隠しを生む。老人や子供と親しく接する女の目はこの狡猾を見逃さない。

K地震等の自然災害による二次災害の防止措置  電気なしには有毒微生物の漏洩を防げない構造なのに大規模震災時に非常用発電装置が機能する保障がない上に、大量の上水なしには有害化学物質の漏洩を防げない構造なのに断水対策が皆無という点で、お粗末。

Lヒートアイランド現象の緩和に寄与する措置  秘かに研究実験空間と位置づけつつ屋上緑化を口実に、遺伝子組換植物の栽培やかつての麻酔剤用ケシか大麻の復活栽培が懸念される点で、疑惑。

Mその他  P3やRIの実験室等、危険が懸念される諸点については省いたチラシを配って説明会を催すというやり方は、詐欺的。説明会において神奈川県環境影響評価条例の流れを説明した折、公聴会を抹殺したのは、越権行為。こうした詐欺的越権行為は、武田薬品の地元住民軽視の体質を如実に物語る。


〔神奈川県の公聴会担当部署への要望〕
 以上の諸項目のうち、時間の許す範囲においてA・B・D・G・I・J・K・L・M等を選んで重点的に公述する予定だが、各人の公述時間を10分程度とする制約はあまりにも短すぎる。公述人希望者が多くてとても各人に割り当てる時間に余裕がないならともかく、全体の設定時間と公述人希望者の数を考慮して時間に余裕がもてる状態ならば、各人の公述時間を10分程度とする制約を緩和するよう善処されたい。そうでないと、地域住民の声をつぶさに聞いて環境影響評価に反映させるという公聴会の存在意義を損なうことになるのではないか。


公聴会後

公聴会後には創作活動に専念するつもりだったが、武田薬品が工事用の説明会を開催するというので、それまで付き合うことになった。ああ、しんど。

 ただし、公聴会後には鎌倉に住民組織が立ち上がる予定なので、これは朗報。公聴会をテコに武田新研究所包囲網の結成なるか。これはみもの。山場はこれから、それまでは体力温存。


問い合わせのメール