− レースマニアル/レースコースについて −


レースコースについて

トレーニングレースで使用されるコースは、少ない運営でレースを行うために特別なマークの配置です。(Fig−01)
スタートラインのアウターが下マークを兼ねています。またフィニッシュラインはスタート本部船の下に設置して、スタート本部船でフィニッシュを取ることが出来ます。この配ですと、実際には1隻の運営船でもレース運営することが可能です(レース中に風の振れによるマーク打ち直しは出来ませんが)

レースコースは、参加する選手全員が公平にレースが行えるように設置することが原則です。そのために、レース参加艇数や艇の種類によって適したレースコースがあります。ここでは、一般的なレースコースの紹介と、その特徴について説明します。
ところで、これからのコースの説明を読んでみると、ヨットのレースの運営で、選手に対して公平なコースを常に維持すること、すなわち何時も正しく上マークが風の吹いてくる方向に設置されていることを維持する為に、運営作業が大変なことがわかると思います。コースの短縮やマークの変更のための運営艇が必要ですし、運営役員も増えます。また選手が正しくマーク回航したことを確認する運営艇もいります。さらに荒天の場合のレスキュー艇の用意など、ディンギーレースの運営には、艇と役員が他のスポーツに比べて多いと思います。このことが、レースエントリーフィーにも反映しているわけです。逆説的には、エントリーフィーが安いレースなら、風が振れてもこまめにマークの打ち変えを期待することに無理があるかと思います。

とは言っても、実際のレースになれば、少しでも選手が良い条件でセーリング出来るように、運営メンバーは努力しているわけです。トレーニングレースの運営は藤沢市ヨット協会のメンバーを中心に江ノ島ヨットハーバーのセイラーがボランティアで参加しています。たまには、レース運営ボートの乗って運営の手伝いをしてみる事も、レース自体を深く理解する為には良い事だと思います。
何時でも運営のお手伝いを歓迎します。


コースの特徴

コースの名称 利点 欠点 コメント
トライアングルコース
(中央スタート/フィニッシュ)
スタートとフィニッシュが同一運営艇で行えるので少ない運営艇数およびスタッフで実施可能。 上マーク迄のコースが短いので、マーク回航でケースがおき易く、艇数が多い時はトラブル多い。 練習レースや少ない艇数でレース回数をこなしたい時に採用できる。
選手の側からは、面白くないかもしれないが、簡単に行えるレース形態の一つとして採用できる。
ソーセージコース
(上下2回)
マークの数が少ないので、運営がやり易い(少人数と少ない運営艇数)
非対称スピン艇には向いているコース。
スピンを持つ艇にとっては、コースが単調で面白くない。艇数が多いと、上マーク回航後にクローズとフリーの艇の間でケースがおきやすい。 クルーザーのレースや、非対称スピンを持つ艇のレースで使われる。
クォーターのコースが無いので、スピンを持つ艇種には向かない。
旧オリンピックコース
(トライアングル+ソーセージ)
色々なコースが含まれるのでレースが充実する(旧オリンピックや各艇種の世界選手権で採用されてきた) 上でフィニッシュで、再スタートに下に戻る時間がかかり、ショートコースでレース回数を増やす形態には向かない。
マーク数が増えるので、運営の人と艇が多くなる
参加艇数が多い場合、サイドマークの位置を高くすることで、ジャイブマークまでに集団をバラケさせることが出来、運営面でも自由度がとれるコース。
トラベゾイドコース
  (1) インナー
  (2) アウター
(1)フィニッシュとスタート位置が近いので、連続してレースを行える。
(2)インナーとアウターの両方のコースを使うことで、数艇種のレースを一度に実施できる。
(1)マーク数が多くなり、人員、艇数が他のコースより多くなる。
(2)コースに必要なエリアが広くなり、魚網が設置してある海域での海面設定が難しい。
(3)風向の変化に対してのマーク変更が難しい
オリンピックでも採用されている。
ショートコースでレース回数を増やす方向にディンギーレースがなっているので、それに対応したコース。