連句衆の紹介
小口秀子 俳人 
秋山参森  俳人
山本 洋  俳人 作家
宮原西北  芥川賞作家、俳人 「誰かが触った」で第67回芥川賞
他に「龍のいる海」「陽炎の巫女たち」「土と火の巫女」「女たちの祭り」など。

歌仙「鰯雲」の巻 作品30


 
鰯雲風なき午後の海に出て  山本 洋
    椋鳥集ふ島裏の樹々    秋山 参森
報復は人の世のことと月わらふ 小口 秀子
  いずれは下山せねばならねど   宮原西北
独り来て峡の秘湯に身をゆだね      森
  夜店の射的来客もなく       洋
蚊遣火のかほり残りて更けゆきぬ      北 
  たれを待つのかカンパリソーダ      秀
項から顎への線に魅せられて         洋
  権現様の森に誓へば         森
ひざまづき祈る娘のふるへをり         秀
 手術室より洩るるささめき          北
冬枯れの野に一筋の川光り         森
  天馬のわきに寒月青く         洋
宴なかば回転扉すり抜けて          北
  好みのタバコ煙ゆらゆら        秀
花の庭ひとり留守居の昼さがり        北
  蝶の飛び交ふ里の便り来         森
西行忌偏屈庵も今はなく            洋
大波小波跳んでひと息             秀
追ひつけば滋賀の都に宿をとり     森
  二十年ぶりときめく思ひ     洋
目をそらし異国の虹を仰ぎけり        北
  麦藁帽子空に投げ上げ           秀
釣り竿のしなる手に持つカップ酒      洋
  影取といふ魔物ひそみて       森
天窓に映る星にも願ひかけ         秀
  湯殿のあかり三十ワット          北
大ぶりの玉兎の絵載るカレンダー      森
  椎の実落ちる主なき家          洋
そぞろ寒”銃後”は遠くなりぬれど      北
  オオボエの音は優しき天使      秀
自転車のサドルの高さ気にしつつ      洋
  岬の小屋に届く弁当     森
ひとひらの花手に受けてほほゑまむ     秀
  日差眩く今日卒業す           北



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