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生地の物理性測定

コムギ粉生地が伸展性、弾性など独特の物理性を持っているのはグルテンの存在に起因する。

左の図は生地の物理性を測定機(注)1にかけてグラフ化したもの。コムギの産地や銘柄により差が見られる。 P> そのなかで Eの国内産(内麦)は平べったいパターン。これは長く伸びるが弾力に乏しいためで内麦の欠点。実際の製パンの場合、生地は弾力に乏しく、発酵後ダレ、べたつきに悩まされる。

これに対しCオーストラリア産ASWは、面積は小さいが強力コムギに似たパターンを示す。(注)2


(注)1
ブラベンダー社製エクステンソグラフ装置による。
生地を棒型に整形し一定時間寝かした後、生地棒の真ん中にフックをかけて切れるまで引き伸ばし、その間、伸びに対する抵抗値を連続的に記録紙に描く。この動作を45分後、90分後および135分後の計三回繰り返す。

引っ張るにつれて縮もうとする力(弾力)が増加して右上がりのパターンになり、やがて切断しカーブは抵抗ゼロに落ち図のようなグラフが描かれる。寝かし時間45分、90分、135分と繰り返す毎に、大抵のコムギでは、弾力の最高点は高くなり、切れるまでの伸びは減少してゆく。

注目したいのはEの国内産(内麦)で、上述のような繰り返しによる弾力の増加は僅かで、且つ伸びの減少は殆ど見られず、平べったいパターンになっている。このことは生地のダレ易さという国内産の欠点を類推させる。原因にはグルテン自体の性質、および蛋白分解酵素活性の強さ等と考えられる。
以上のことは、国内産コムギの品種改良上の要点として、でん粉の質と共に注目したい。

(注)2
オーストアリア産のASWは、うどん用に向いているとされ、その原因は、でん粉の質とされるが、グルテンも忘れてはならない。


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