15KHzモードのゲームを救う研究


時の流れ・・・

解決法1(ソフトによる方法)

解決法2(TVに映す)

解決法3(アップスキャンコンバータを使用する)


実験結果報告<これがメインです!


と き
時代の流れ・・・

     X68000には、31KHzの高解像度モード(#1)の他に15KHzの低解像度モードがあります。このモードはアーケードゲームや家庭用ゲーム機などに近い表示が可能であり、それらの移植ものなどで多用されました。
     ところが、近年パソコン用のモニタは高解像度のマルチスキャンモニタが主流となり、モニタを買い換える場合の選択肢に15KHzを求めるのはかなり困難な情勢となっています。
     もちろん通常の作業は31KHzの解像度で行えますので、くたびれた純正モニタをダイヤモンドトロンなどの最新のモニタに買い換えることは大いに結構なことです。68に繋がらないものなんてまずありません(#2)。映りも全然違いますし、躊躇せずに買い換えに走るべきでしょう。

     しかし、問題は「15KHz専用のゲーム」をどうするかということです(#3)。最善の方法はこれらのゲームのためにCZモニタを残しておく方法でしょうが、日本の住宅事情はそこまで豊かではありませんね。というわけで、ここではそれ以外の解決法について研究します。






(#1)というかこれが通常の画面モードなのですが






(#2)ただし、68側に問題があるとノイズが出たりするものもあります。特に三菱の安いやつは要注意です。




(#3)ここで「あきらめる」という選択肢は当然ありません



解決法その1(ソフトによる方法)

     おそらく一番現実的な解決法でしょう。すなわち、15KHzが映らないならばそのモードを使わずに他の画面モードで代用してしまおうというわけです。ソフト側に隠しスイッチなどがある場合はまったく問題ありませんが、そうでない場合は少々強引な方法が必要になってきます。

  • F31Kを使用する

      これはT.Furihata氏作の常駐ソフトで、15KHzに切り替わる部分を乗っ取り、強制的に31KHzで実行させるものです。初期のソフトや同人ソフトなど、IOCS周りのベクタを書き換えていないソフトに有効です。

  • パッチを当てる

      これはソフトのプログラム自体を書き換えるものです。理論的にはこれで不可能なソフトは無いはずですが、すべてのソフトにパッチがあるわけではないのが欠点です(#4)



 問題点として、画面の周波数で同期を取っているソフトなどではゲームスピードが極端に上がる、もしくは下がる、画面が崩れるなどの症状が出ることがあります。
(#4)68ユーザーなら自分で作れと言われそうですが。



解決法その2(TVに映す)

     これはどういう方法か説明しますと、要は15KHzの信号というのは家庭用ゲーム機の再現のためにあるわけですから、それならいっそTVに映してしまえばいいというわけです。68をゲーム機感覚でテレビに映して遊ぶわけですね。
     この方法を実践するには68のRGB信号をTVに映せる方式に変換する機器が必要になります。

  • ビデオボード
  • カラーイメージユニット

 
等を所有していればそのまま使用できると思いますし、秋月電子などで売っているRGB>VIDEOコンバータのキットなどを自作しても良いと思います。


 この方法は大画面を利用できるというメリットがある反面、実際にはモニタが2台あるのと同じなわけで(#5)根本的な問題解決になっていないというのが問題です。さて・・・
 
(#5)しかも、HDDに入っているソフトを動かす場合などは、結局専用モニタも使用する必要がありますしね。ただし、RGB入力を持っているモニタは別です。これについては後述します。



解決法その3(アップスキャンコンバータを使用する)

     いよいよ本命です。
     まずこの方法に至った経緯を説明しましょう。

     我が家にはX−RGB2というアップスキャンコンバータがあります。これはゲーム機などの信号(RGB・S・VIDEO)をマルチスキャンのディスプレイに映すための周波数変換器(#6)です。
     問題なのはこの機械、パソコン用の入力端子もついているのですが、スルー出力のみなのです。どういうことかというと、このX−RGB2の電源が入っている間はゲーム機からの信号が選択され、電源がオフのときにはパソコンの信号が出力されるという、一種のセレクタの役割をしているわけです。もちろんこれはこれで便利ですが・・・。

     しかし、よく考えてみれば68の画面モードにだって15KHzのモードがあるのだから、この信号もアップスキャンしてくれても良さそうなものです(#7)

     ここでカンの良い方ならば「それならゲーム機用の21pin端子に直接信号を送り込めばいいのではないか」ということを思いつかれるでしょう。しかし、その方法を採るには一つ問題があったのです。それは・・・
    15PINと21PINのRGBの同期信号(#8)の扱いが異なるという事実です。

     簡単に言ってしまえば、同期信号には垂直方向と水平方向の二本があり、パソコン用(15PIN)はこれが別々の信号線ですが、RGBマルチ(21PIN)の信号は一本になっている(複合同期信号)のです。
     アーケードゲームの基盤を68用モニタなどで使用している方ならよくご存じだと思いますが、基盤やゲーム機のRGBマルチ信号を68用のモニタに映すには「同期分離」という回路を使用する必要があります(#9)。しかし、この逆の例、すなわち別々の同期信号を複合同期にする方法というのはどこにも解説されていないのでさっぱりわかりませんでした。

     ところがある日、インターネットで68ユーザーのページを回っていたところ、木場さんのページで「家庭用TVを接続しよう」という項目を発見! このページでは趣旨は多少違うものの、68の15pinRGBを21pinに変換してRGB入力のあるモニタに映すことに成功しています。ここまで実践している例があれば、後はこの信号をX−RGB2に入力してやるだけですべての問題は解決するはずです!


     ということで、さっそく実験してみました。その成果は・・・「実験結果」のページでどうぞ。









(#6)要するに15KHz>31KHzのアップスキャンコンバートを行っているわけです。電波新聞社製、定価\24800





(#7)実際、満開製作所から発売予定のアップスキャンコンバーターではこの機能がサポートされる予定だそうです。高いけど。





(#8)画面の表示タイミングを決める信号です。これがないと画面が流れてしまいます。









(#9)実際、X-RGB1(2の前)を導入する前にこの回路を制作しました。しかしPSだけはうまく映らなかったのでX-RGB1導入に踏み切った経緯があります。